二つ目の話 焚き火と焼き芋

十月某日。紅葉の時期。

「あつっ!あつい!なにをする!」

「キリノちゃんいたの!?ごめん!」

 ハナオが落ち葉を燃やしていると、その近くからキリノが顔を出した。

「よいにおいがしたから、きてみたが……。やきいもか?」

「キリノちゃん、鼻いいねー!そう、焼き芋!」

「できればひとつほしいな」

「一つといわず、いくらでも!キリノちゃん、イモ好きだよねー」

「しゅしょくだからな。いもはよいぞ。うまいし、はらもちもいいし」

 地中から、頭だけ出すキリノ。焚き火のおかげで地温が高いらしい。

「……キリノちゃん、この時期から、外だと中々出てこないよね」

「さむいからな。われはさむいのはきらいだ」

「そんなこと言ってると、おっきくなれないよー?」

「ハナオにかわいがってもらえるなら、それでもかまわん」

「むー♪かわいいけどかわいくない奴めー♪」

「ふふん。われは、せがちいさいことをきにするほど、うつわがちいさくないのだよ」

 焼き芋を咥えて会話するハナオとキリノ。

「ハナオはさむくてもげんきだな」

「馬鹿は風邪をひかないってね!」

「……ハナオは、ばかじゃないぞ」

「キリノちゃん……!」

「あほだぞ」

「キリノちゃん!?」

「ふふふ。かわいいといういみだ♪」

「嬉しいけど、フォローにはなってないからね?」

 頬を膨らませるハナオ。

「まあ、ここからでないのも、ふべんがある。よいしょ」

「手伝おうか?ほら、手ぇ伸ばしてー」

「すまないな、ん。」

「ぐいー、っと!収穫!おいしそー♡」

「やくなよ!?」

「焼かない焼かない!冗談だよ!」

 キリノを抱えて笑うハナオ。そのまま膝に乗せる。

「それよりも、みょうにこげくさいのだが」

「え?……言われてみれば確かに!焼き芋焦げた!?」

「いや、おそらくだいじょうぶだ。だが、はやめにとりだすべきだろうな」

「りょーかい!えいや!」

 燃やしていた焚き火を、枝で掘る。

「なんだろう?不完全燃焼かな?」

「くろいけむりがでていたし、そうだろう。つぎからきをつけろ」

「わかったー……食べれるかなコレ?」

「あぐあぐ。ふむ、じゅうぶんくえるぞ。ちょっとしんがかたいが」

 気づいたら、取り出した焼き芋を、早くもキリノが食べ始めていた。 

「キリノちゃん、食い意地張ってるねぇ」

「なに、『よくたべるこは、よくそだつ』だ」

「小さい方がいいって言ってなかった?」

「それはそれ、これはこれ」

「都合いいなー」




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