第5話 『多幸迷宮』

GM:よし、では始めていくぞ。真銀物語第5話『多幸迷宮』


ミミィ:しあわせ。それはこたつの中のまどろみ


ヒルダ:炬燵の中には、猫が丸まっている


GM:まあそれに越した幸せはそうそう無いな(笑)


GM:さてと。君たちは引き続きクレイモルに滞在しており、今日は冒険者ギルドに集まっている。なんでも、ギルド長のマリアが話があるらしい。


ヒルダ:何かしらね?


マリア:「よく来てくれたわねん皆。話っていうのは他でもないの。魔剣の迷宮に挑戦してみないかしら?」


GM:ムキッムキッ、パツンッ


一同:(笑)


ミミィ:「藪から魔剣だにゃ」


マリア:「今後も邪王軍と戦っていくなら、戦力の増強は必要でしょ?まずは良い武器を見つけなきゃ」


リファー:「確かに、人手が足りない以上個々の戦力向上は必須……」


ヒルダ:「そうね?私達が使えない魔剣でもギルドを通してクレイモルに流して貰えばOKだしね?」フェンサー向けな魔剣とか……


マリア:「そうそう。もちろん自分達が使うっていうならそのまま貰ってくれて構わないから。もちろんギルドから報酬も支払うわん♡どう?やってみる?」


ミミィ:「まぁ、中々都合のいい魔剣ばかりとも限らないからにゃ」


ユスティーツェ:「ふむ、特に異存はないが」


ヒルダ:「私も異存はないわ?」


ユスティーツェ:「喫緊の課題もなかろう、やってもいいだろうな」


リーゼロッテ:「ええ。挑戦してみましょう」


ミミィ:「少し落ち着きのある間に、蓄えられるものは蓄えておくべきかにゃ~」


リファー:「(頷く)」


マリア:「OK、それじゃ迷宮の場所を教えるわね。まだ誰の手も付いていない迷宮だから危険も多いとは思うけど、その分見返りもあると思うわ」


ヒルダ:ヤバイフラグ来たわね……


手つかずの魔剣の迷宮、確かにお得な案件ですが、それ以上に危険でもあります。何事も最初は大変ですからね。


GM:マリアさんの大きな手からするとへし折れるんじゃねえかってくらい小さく細く頼りなく見える羽ペンでスラスラと経路を書いてくれますね。どうやら以前行ったドワーフの村に近いみたい。途中で寄ってもいいよ


ヒルダ:特にやる事も無いかなぁ


GM:んじゃ迷宮向かいます?


リファー:向かいましょう


GM:では迷宮の前にやってきました。外観ですが、大樹の洞に大きな扉が備え付けられています。大樹を建物にしたのか、大樹が建物を呑み込んだのかはわかりませんね。


ヒルダ:ふむふむ


GM:なんかやりたいことあればどうぞ


ヒルダ:探索する?


ユスティーツェ:とりあえず扉に聞き耳でもしてみるか


GM:まあどっちもどうぞ


これは全体的に出目が良く、GMが想定していた情報は全て開示することが可能になりました。


GM:探索はまあ特に何も見つからないですね。扉に罠が仕掛けられているとかは無さそう。聞き耳もそれだけあればわかるよ、花の香りがしますね


嗅覚に対応する判定は公式で定められていないため、ここでは特例で聞き耳判定をそうであるということで処理しています。


ユスティーツェ:ほう


ミミィ:フローラル


GM:嗅いだからといって別に体に不調とかはない。さて、どうします?


ミミィ:「んー、中はお花畑かにゃ?」


ユスティーツェ:まぁ無害そうだし開けてみる


リファー:「中は……」


GM:OK、では何事も無く開きます。花の香りが強くなりますね。屋内ですが、土の匂いもしてきます。壁や床には木の根が這っています


ヒルダ:「ふむふむ……木に近しい迷宮なのかしらね?」


リーゼロッテ:「魔剣もそういったものに縁があるものなんでしょうね」


ヒルダ:「そうね?一般的に、魔剣はその性質に近い迷宮を作ると言われているわね?」


ユスティーツェ:「特に罠があるというわけではなさそうだが…‥」


リーゼロッテ:「こういった迷宮ですから、毒なんかには気をつけた方が良いかも知れませんね」


ヒルダ:気を付け……るにはレベルが足りない!!(5レベルでインチキ毒耐性魔法が生える)


GM:まあ判定で頑張って(笑)さて、進みますか?


ユスティーツェ:進もう


ミミィ:とてとてにゃーお


GM:ではしばらく進むと、素晴らしい花園に辿り着きます。様々な花が(季節感などは無視して)咲いていて、どれも非常に美しいですね


ヒルダ:「あらあら、綺麗な花畑ね?」


リーゼロッテ:「すごい……迷宮の中であることを忘れてしまいそうです」


GM:奥には下に降りる階段が見えます。大分花に埋もれてる感じだけど


ミミィ:日差しは?


GM:太陽は無いけど明るい


ヒルダ:魔剣の迷宮、マジで常識が通用しないからねぇ……公式でも落下中の飛行船が魔剣の迷宮化した事あるし


GM:楽園ってのはこういうのを言うんだろうなくらいの代物


ヒルダ:ふむ……一応探索振ろうかしら?


ミミィ:そうだにゃ。自然……じゃないが安心の占い師!


ミミィはレンジャーを取得しているため、このような内観でも自然環境ではないと裁定される魔剣の迷宮ではレンジャー技能による探索判定を振ることは出来ませんが、ミスティックもまた探索が出来る技能だということを思い出し、ここではミスティック技能で振っています。こういった、追加技能で振れる判定については忘れがちですから気をつけたいところです。

ヒルダ、ミミィ、ユスティーツェの三人が探索判定を振ります。ここでヒルダは出目が悪く、GMが用意していたバッドイベントが発生することに。


GM:ヒルダさん、生命抵抗振って


ヒルダ:罠か……


生命抵抗力判定の達成値は14。想定していた目標値より高く、ダメージは免れることが出来ました。


GM:OK、抵抗はしましたが、しかし何かに攻撃されたようです。よくよく見ると、美しい花々の中に1つ、動くものがありますね。他のみんなも気付いていいよ


ヒルダ:「――――――敵ねッ!!」


リーゼロッテ:「えっ!?どこですか!?」


GM:では魔物知識判定どうぞ~


ヒルダは探索判定に失敗しているため前線エリアに配置されての開始になりますが、これは結果的に1ラウンド目からドルイドの魔法を使うことが可能になるため、彼女にとっては得な結果になります。魔物知識判定は、相変わらずリファーの出目が良く弱点まで判明。動く植物、ブラッディーペダルであることが分かります。

先制値は低いため、危なげなく先制は奪取。戦闘が開始されます。


ミミィ:んー、まあ軽く剣でも※命中力を上げる占瞳、星は剣を導くの略称……言って当たるか、じゃあ主動作で前2人にヴォーパルウェポン投げるにゃ


賦術は主動作で使うことで複数人にかけることも可能なため、占瞳を使わない選択肢としてはかなり賢いです。その後、リファーが弓を撃ちます。


リファー:(コロコロ……)(達成値12)(ブラッディーペダルは固定値を使用しているため回避)当たらない!?


ヒルダ:弱点抜けてるなら炎(魔法)の方が良いのでは……?


リファー:次から良い方の矢で撃つとしますか……


あくまで弓にこだわるリファー。まあ、この場合戦況に影響はあまり無いため構いませんが、周囲の苦笑を誘います。

その後ユスティーツェが魔力撃で花を1つ散らせ、ヒルダが2つめの花に一発命中させPC側の手番は終了。ブラッディーペダルがヒルダを狙いますが……


GM:固定値14ね


ヒルダ:(コロコロ……)達成値18


GM:こわっ


ヒルダ:ブレードスカート履こうかしら……?※回避達成値が目標値より4上回った場合相手にダメージを与える装飾品


こんな調子で綺麗に回避され、1ダメージも与えられることなく手番が返り、その後は適当に物理組が殴って戦闘終了。まあ、ミドル戦闘なため消耗が少ないことに越したことはありません。

剥ぎ取りは出目が奮わず少額。続いて最初の探索判定の処理に戻ります。


GM:えー、階段とは別に扉が見つかります。こっちは完全に花に埋もれてて見つけにくかった。どっち行きます?


リファー:どっち行きましょうか


ユスティーツェ:扉じゃないか?


ヒルダ:扉かしらねえ


ユスティーツェ:とりあえず扉に聞き耳振ろう(コロコロ……)


これまた出目が良く、音がするような部屋ではなかったため、再び匂いに対して言及することに。


GM:OK、まあ怪しい物音はしません。ちょっと花の香りが強いかな、狭い部屋なんでしょう


ヒルダ:生命抵抗が高い私が入るわ


GM:はい。では扉を開けると。花が飾ってあり、小動物が飼われている部屋に一人の少女が退屈そうに佇んでいます。良く見ると足が地面についておらず、人間ではないことが窺い知れますね


ヒルダ:「……貴方は、この迷宮の住人なのかしら?」


ヒルダ:まず魔物知識判定しようか(コロコロ……)は?(ピンゾロ)


GM:あらら


その後ミミィが達成値14を出し、正体が判明。フィルギャという妖精であることがわかります。


GM:足りた足りた


ヒルダ:フィルギャかー。強いわね


ミミィ:(データを見て)こいつの『さきがけ』って能力、美少女の形した妖精の能力名じゃなくない?


一同:(笑)


フィルギャは勇敢な者を好み、逆にその者が勇敢でないと判断したら罵倒して去る、という、なんとも男らしい性格の妖精です。


フィルギャ:「何、あなたたち。ここで何してるの?」


ヒルダ:妖精語持ってるのもしかして大賢者だけ?


リファー:然り


リファー:「ここで何をしているか、と問うています」翻訳


ヒルダ:「魔剣を求めて来たの」


フィルギャ:「そ。言っておくけど私は何も知らないわよ。目が覚めたら突然この場所にいてね。花園で平和に暮らすなんてまっぴらだし、かといって下には気持ち悪い生き物がいるしでもうやってられなくて」


ミミィ:「気持ち悪い生き物?」


フィルギャ「ええ。おっきなムカデ」


リーゼロッテ:「おっきなムカデ……」身震いしている


フィルギャ:「メートル単位の大きさね」


リファー:「ムカデ……なるほど」


ヒルダ:「プレーンセンチピードかしらね?」


リファー:「未知の類種でもなければ、おそらくは」


プレーンセンチピードは、巨大なムカデの姿をした動物で、囮攻撃と頭部の毒を用いた攻撃が厄介なエネミーです。騎獣にもなっており、そちらでも十分に強力なデータ。


フィルギャ:「詳しくは知らないけど」


ミミィ:「む、ムカデは確かに恐ろしいにゃ……」


フィルギャ:「あなたたたち結構強そうね。もし下のヤツを倒してくれたら何かお礼をしてあげる。協力はしないわよ。あんなものの体液浴びたくないし」


ヒルダ「気持ちはわかるわね……」それはそれとして殴る蹴るの暴行を加えるワケですが……


ユスティーツェ:「…………」(殺せば同じだと思うが言ったら顰蹙を買いそうなので黙っている)


GM:理性がある


ミミィ:おいしいサブクエスト的なアレかにゃ


GM:そうそう


フィルギャ:「倒してくれるかしら?倒してくれるわよね?」


ヒルダ:「えぇ。受けるわね」


リファー:「無論、妖精には普段から手助けして貰っていますので」


ミミィ:「その必要はありそうだしにゃ」


フィルギャ:「ありがと。階段降りてすぐの大広間にいるはずよ」


フィルギャ「あなた結構好みだわ、もうちょっと強かったら契約してあげてもよかったんだけど」大賢者


リファー:もうちょっと強かったら……(悔しそう)


ヒルダ:というワケでサブクエを受けつつ地の底へいくわよー!!


GM:では地下一階です。魔法陣が描かれた部屋の中心に、巨大なムカデが鎮座しています。今は寝ているようですが、近づけばすぐに起きるでしょうね。ただ、避けて後ろにある扉の様子を見ることは出来そうです


ミミィ:ふむ。勝ち戦※先制値を上げる占瞳といこうかにゃ


ヒルダ:プレーンセンチピード、部位数分かる?


GM:ああ、それは魔物知識判定どうぞ


これはリファーとミミィがバッチリ成功


GM:胴体3つですね


頭部合わせて4部位ということになります。前衛が2人しかいないため、あまり過剰な部位数にしてしまうと後衛に突っ込むことが出来てしまい、特にリファーなどは大変危険になるため、最後までこれくらいの部位数の敵が主になっていました。


ヒルダ:範囲攻撃が早く欲しいわ……


この時点では妖精使いであるリファーも範囲攻撃魔法は習得していないため、このように複数部位の魔物が相手になると、苦戦を強いられることになります。その後先制は無事取得し、いつも通りリーゼロッテの支援から戦闘が開始されます。


リーゼロッテ:モラル弾くしかないですね


このモラルはバッチリ巧奏値。継いで鼓咆堅陣の構え(制限移動距離+2m)を使用し、リーゼロッテの手番は終了。


ミミィ:ヴォーパルウェポンを坊ちゃんに投げて、剣を……(コロコロ……)(ピンゾロ)


ミミィ:「ミ゛ャッ!?」


リーゼロッテ:「ミミィさん!?」


ミミィ:「ぐにゃ、ロッドがお星……お月……なにかにゃ……になって……」


占瞳に自動失敗してしまうと、占瞳に使用した占具が破壊され、更に何かしらのペナルティを受けます。この場合は視界に星が舞う(ゲーム的なペナルティは無し)というもの。しかし占具が破壊されたことにより、この後ミミィによる命中支援は望めなくなってしまいました。暗雲が立ち込めはじめます。


GM:これは一旦撤退を考えなきゃいけないかもな


リファー:とりあえず魔法撃ちます。ファイアボルトで良いですね?


リファーは出目良く抵抗を突破。確実なダメージが入ります。


ヒルダ:じゃあ撤退視野に入れて自前のMPでキャッツアイマッスルベアー


ヒルダ:まず通常キック~(コロコロ……)(ピンゾロ)あらっ


GM:マジか


リファー:皆さん……


ミミィ:おっと……こわいにゃ……


その後のキックも普通に当たらず。プレーンセンチピードが少し格上かつキックによる命中のマイナス補正もあるため、そもそもの命中率が低いのですが、なんとなく悪い流れが来ているように感じてしまいます。


ヒルダ:パンチした方がまだ良いかもしれないわね……


ユスティーツェ:じゃあ普通に魔力撃で


こちらは出目11で命中。大きなダメージが入ります。ここで1ラウンド表は終了。プレーンセンチピードの手番です。

ランダムで対象を決め、ヒルダに囮攻撃が飛びます。


ヒルダ:(コロコロ……)(出目3)えぇ……?


どうやら今日はヒルダに不運がついてまわっているようです。2点しか防護点の無いヒルダに13点のダメージ。半分近くまで削れます。


GM:もう1回(コロコロ……)今度はユスティーツェ


ユスティーツェ:(コロコロ……)(出目3)あっ


GM:(コロコロ……)17点


ユスティーツェは2Hのソードを持っているため、防護点で言うとそう高くはありません。この攻撃もかなりまともに食らってしまいます。


リーゼロッテ:「お、お兄様!?ちゃんと避けて下さい!」


ユスティーツェ:(素に戻って)ちゃんと避けて下さいは酷くない!?


一同:(爆笑!!)


ミミィ:別に剣の恩寵のためのロールってわけでもないのに(笑)


確かに言葉選びが悪かった。リーゼロッテ、最初は儚げなヒロインという雰囲気のつもりだったのに、メンタルが強すぎるせいで変な方向に傾いていっています。

さて、PL達は笑っていますが、予断を許さない状況です。


GM:頭部は(コロコロ……)ヤバイ、ユスティーツェに飛んだ


金属鎧のため回避の下がっているユスティーツェではセンチピードの攻撃を回避出来ず、ダメージを食らい、更に毒が誘発します。


GM:15を抵抗してね


ユスティーツェ:あ、無理


魔力撃を放ったため、ユスティーツェの抵抗力にはペナルティがかかっています。この状態で生命抵抗力判定に成功することは絶望的です。


ユスティーツェ:厄払いさせてくれ(コロコロ……コロコロ……コロコロ……)※ダイスを素振りしています


GM:マジで怖い。キャンペーンの主役がムカデに殺されたらたまったもんじゃないんだが。


ユスティーツェ:よし―――――――


覚悟が決まったようで、ついに本番のダイスロールです。こういう時に一番ヤバイと思ってるのは多分GMだと思います。


ユスティーツェ:「―――――――ッ!」恩寵(コロコロ……)(出目4)


ユスティーツェ:ああああああああ!!!!!!


GM:死なないでお兄様(コロコロ……)(ダメージ15点)(気絶)あああああああああああ!!!!!!!!!


一同:(絶叫!!)


リファー:まだワンチャンあります…‥ワンチャン……


目標値としてはピンゾロしなければ大丈夫なのですが、生死判定ほどピンゾロが怖い判定はありません。全員が息を呑む中、ユスティーツェがダイスを振ります。


ユスティーツェ:失敗したのでもう一度恩寵を使う。


GM:頼む……


セッション中大きな権限を持つGMも、最早神に祈るしかありません。


ユスティーツェ:(コロコロ……)(出目10)(生存!)


一同:ッはぁ~!!(大きな溜め息)


ミミィ:せええええふ


GM:めっちゃヒヤヒヤした


リファー:こんなムカデなんかで死なないでくださいユスティーツェ様


リーゼロッテ:よし、ペットにモラル移譲しつつお兄様を起き上がらせます


ユスティーツェ:起き上がったら真の銀の剣使って倒す


リーゼロッテのアウェイクンで無事ユスティーツェは戦線に復帰。気絶した後起き上がると転倒のペナルティがつきますが、真銀王の剣の能力にそんなものは関係ありません。


リーゼロッテ:「お兄様、大丈夫、ですよね……!?」


ユスティーツェ:「…………すまん」


真銀王の剣による攻撃も無事命中。プレーンセンチピードの頭を潰し、戦闘は終了します。


GM:焦った~~~~


この戦闘で、想定外に全員が精神をすり減らすことに。少し休憩し、剥ぎ取りをします。

幸運のお守りを装備しているヒルダが剥ぎ取りをするのですが、ここでも出目が奮いません。


ヒルダ:(素に戻って)は??????ソシャゲのガチャも爆死するしよォ!!!!


一同:(笑)


どうしても運が向かない日というのはあるものです。


GM:えー、はい(笑)プレーンセンチピードが呑み込んでいたのでしょう。恐らく奥の部屋のモノだと思われる鍵が出てきます。とはいえ、一度撤退しましょう


リーゼロッテ:「お兄様、一度撤退して体勢を立て直しましょう」


リファー:とりあえず鍵手に入れたので他の冒険者に奥行かれることはないですね、良し


ミミィ:帰る! ができるのが迷宮のイイトコ 帰り道くれる魔剣ならだけどにゃ


GM:奈落の魔域にしないで良かった~。ではドワーフの村に戻って一泊出来ます。宿泊料30ガメル払ってね。買い物もしていいよ


撤退は想定していませんでしたが、村の近くということにしておいて本当に良かったと思います。流石にちょっとバランスを読み違えたと反省。

PC達は村で態勢を整えます。


ミミィ:オーブ予備1個と、ロッド3本だにゃ


GM:めっちゃ買うやん


ミミィ:「所詮は棒切れ、消耗品だにゃ……」


ミミィのPLさんも、先程のピンゾロが相当堪えたようです。こうして回復などを挟んで一泊。


リーゼロッテ:「お兄様、お怪我の具合はどうですか?」


ユスティーツェ:「問題はない、が、油断していたな……」


リーゼロッテ:「ご無理はなさらないでください。大事な体ですから……」


リファー:「こんなところで死なれては困りますから……」


GM:では迷宮へ戻りまして。フィルギャのとこいく?奥の部屋進んじゃう?


ミミィ:怒られる気がするにゃ……


ヒルダ:フィルギャの所に行くわ


GM:はーい


フィルギャ:「あら、おかえりなさい。どう?倒せた?」


ヒルダ:「倒せたわ……」


リファー:「(はぎ取ったものを見せる)」


フィルギャ「どうやら本当みたいね。ありがと。清々したわ。これは約束のお礼ね」


GM:フェアリードロップを5個くれます。使え大賢者


リファー:フェアリーから出てくるフェアリードロップ


フェアリードロップは、妖精を召喚する際に魔晶石の代替品になるアイテムです。1つ1000ガメルのため、高レベルの妖精を召喚するならこれを使った方がお得。


GM:あと、セッション終了時に500点のボーナス経験点が貰えます


ミミィ:やったにゃ


フィルギャ:「あとはここの主を倒してくれれば私も外に出られるはずよ、頑張ってね」


ヒルダ:「頑張るわね……」


フィルギャ:「随分落ち込んでるわね?やっぱり気持ち悪かった?」


ヒルダ:「それもあるのだけれどね?身軽が自慢なのにサックリ捉えられちゃったのが悔しくてね?」


フィルギャ「そうなの。大丈夫よ、生きているならいくらでも鍛え直せるわ」


ヒルダ:「……そうね。立ち止まっては居られないものね?生きて居る限り……」


ミミィ:「(ほっ、怒られなかったにゃ)」


リファー:「(危ないことを言う……)」


まあ、こういったことを相談するのに向いた相手ではありませんが、危ないことって(笑)


ユスティーツェ:「…………(毒でやられかけたことを思い出して内心かなりキレている)」


フィルギャ:「そう言うならさっさと主を倒してきなさいな。そんな姿を見てると正直ちょっと不愉快だわ」


ヒルダ:「えぇ。やってやるわね」


ミミィ:「まだなんか気持ち悪いのがいるのかにゃ?」


フィルギャ:「迷宮なら主がいるはずでしょ?気持ち悪いかどうかはしらないけど。アイツがいたせいで奥には行ってないし」


ヒルダ:というワケで奥に行ってみようか


ユスティーツェ:突入


ミミィ:ねこまっしぐら


GM:うむ。やはりプレーンセンチピードから出てきた鍵で扉は開きます。壁や床中に根の這った部屋です。中に入ると無言でリカントと思われる拳闘士と、槍を持った半透明な謎の少女が構えます。


GM:まあ、戦闘です。


ミミィ:「あれ、ヒトにゃ?」


ヒルダ:「迷宮に召喚された人かもね?」


GM:瞳に意志は宿ってないように見えますね


魔物知識判定は、ヒルダの運気を吸ったかのようなリファーが連続で出目10を出し、成功。

拳闘士の方は、ガジュマル・グラップラーという名称で、ガジュマル・グラップという特殊な魔剣を操る拳闘士。ヒルダの完成形をイメージしたエネミーです。

少女の方は歌姫という名前で、どちらかといえばシナリオ上のギミックです。あらゆる攻撃の対象になりませんが、自分から積極的に攻撃はせず、自身の能力でガジュマル・グラップラーを再度行動させる(この時宣言特技なども再度宣言可能になる)という能力を持っています。

どちらのエネミーも、倒すことで特殊な魔剣を戦利品として手に入れることが出来ます。


ヒルダ:(データを見て素に戻り)え?めっちゃ強くない?


GM:ヒルダの完成形をイメージしたエネミーだしね


ヒルダ:4回(歌姫の能力が使える回数)も再行動されたら死ぬが?


ミミィ:うわぁ……


リファー:回避9。よし、念動の矢使おう※知力B分が命中力に加算される矢


ちょっと今回は全体的にバランスを読み間違えたように思います。5レベルに達してきたため、戦闘特技も増えて戦いやすくなるだろうと甘く考えていたかもしれません。

とはいえ最早データの修正は出来ず、戦闘が開始されます。先制はリーゼロッテが6ゾロで奪取。戦闘開始時の彼我距離は5mです。


リーゼロッテ:モラル弾いて鼓咆堅陣の構えですかね


ヒルダ:あ、リーゼロッテフィールド・プロテクション頂戴。モラルも欲しいけど無いと怖い


リーゼロッテ:了解しました


慎重な立ち上がりです。その後ミミィがパラライズミストを使用し、占瞳で命中を補強。リファーが念動の矢を放ちます


リファー:(コロコロ……)達成値19


GM:強いな(コロコロ……)避けられない


エルフであり、知力の高いリファーと、知力ボーナス分が命中力に加算される念動の矢は相性抜群です。キッチリ命中はしますが、適用ダメージは7点。ガジュマル・グラップラーのHPは120ですから、全体から見れば5パーセント程。


リファー:火力はへなちょこですね流石に


ヒルダ:よし。では恩寵囮投げ、行くわよ


ガジュマル・グラップラーが出目11を振りヒヤッとしましたが、1足りてこれは命中します。


ヒルダ:「同類として……無様な姿は見せられないわね……ッ!!―――――――せい、やァァァァッ!」


ガジュマル・グラップラー:「ッ――――――!」


GM:転倒しました


ヒルダ:ユスティーツェ!!


ユスティーツェ:(戦闘準備でヒートウェポンを使いつつ)キャッツアイマッスルベアー魔力撃


この一撃は出目が悪く、達成値3差。しかし、能力増強の腕輪と剣の恩寵で覆せる範囲です。


リーゼロッテ:「お兄様!もう一歩です!」恩寵


リーゼロッテの応援に後押しされ、攻撃は命中。20ダメージを与え、敵側の手番。


GM:ガジュマル・グラップラーは自身にウイングフライヤー、マルチアクションでユスティーツェに殴り掛かります。


攻撃は命中し、ガジュマル・グラップの特殊能力により、ユスティーツェの生命抵抗力が-1(魔力撃分のペナルティと合わせれば-3)されます。


GM:マルアク分はバッドスチーム


抵抗が下がりに下がったユスティーツェでは抵抗出来ず。18ラウンドの間命中、回避が-1されます。


ヒルダ:ヒールレスラーなの!?


一同:(笑)


まあエネミーですから。


GM:歌姫はグラップラーを再行動させ、再びマルアク!


ユスティーツェに集中砲火していきます。攻撃は命中し、ダメージはなんと6ゾロ


ユスティーツェ:流石に痛いし強いな……


GM:マルチアクション分はアナコンダコンストリクト(命中・回避を-2する魔法)


こちらはユスティーツェの出目が良く抵抗。ギリギリで踏みとどまります

ようやく敵の手番は終了。色々と相談した結果、リファーに妖精を召喚してもらい回復を任せることに。


ヒルダ:じゃあ先に動くわね。普通に投げるわ


GM:(コロコロ……)おっ当たった、良いぞ


ユスティーツェ:真銀王の剣の能力を使って魔力撃


GM:(コロコロ……)そっちもちゃんと当たった。


出目が良く、32点のダメージ。


ユスティーツェ:あと1あったら回ってたんだが


良い流れが来ているかと思われましたが……


リファー:サモンフェアリー(コロコロ……)(ピンゾロ)


GM:マジか


ヒルダ:(素に戻って)あっやべ


リファー:(素に戻って)おめーそこでゾロるなよ……


ユスティーツェ:こ、こいつ……


GM:まあ仕方ない


リファー:とりあえずウイングフライヤーはユスティーツェ様とヒルダにかけておきます。


こればかりは本当に仕方が無いため、リーゼロッテが神聖魔法で回復します。


ミミィ:とりあえずヴォーパルウェポンを主動作で前衛2人に


このラウンドで片をつけたい状況でしたが、再びガジュマル・グラップラーに手番が回ります


GM:先にマルアクでナチュラル・パワーを使っておく


歌姫の能力でHP、MPも多少回復するようにしていたため、ガジュマル・グラップラーのMPは元が15と非常に低くなっているため、再行動するまではナチュラル・パワーで最低限のバフをやりくりします。物理攻撃はヒルダに向けたものの、見事に回避され、再行動に入ります。


GM:マルアク。ヒルダさんにアナコンダコンストリクト。魔力低いから無理そうか(コロコロ……)達成値8て。


元の魔力が7しかない上、転倒から復帰したことにより行使判定が-2されているため、散々な結果に


ヒルダ:(コロコロ……)流石に抵抗


GM:OKOK。では手番返します


続く3ラウンド表、ヒルダがミミィの恩寵も使い命中させた投げが1回転するという健闘を見せます。


ミミィ:「逸れるにゃ!」恩寵


ヒルダ「ッ!セイヤーッ!」


ユスティーツェ:よし、魔力撃(コロコロ……)あっ(ピンゾロ)


GM:いつもの


こういう時は諦めが肝心です。その後リーゼロッテが回復し、そちらの方がダメージが出やすいだろうと判断したリファーのソーンバッシュ(必中かつ物理ダメージの森羅魔法)が飛びますが、やはり倒しきるには足りず、3ラウンド裏が開始されます。


GM:グラップラーは起き上がってナチュラル・パワー、そのMPでウイングフライヤー。物理攻撃はヒルダさんに(コロコロ……)(達成値15)


ヒルダ:(コロコロ……)(達成値19)


GM:避けるなあ。再行動でもっかいマルアク。魔法はフリージングブレス(氷属性の攻撃魔法)で


これまた近接攻撃は回避され、魔法も抵抗されて4点ダメージ。最初こそ緊張感があったものの、ここまでくると消化試合です。

その後ヒルダの投げ、ユスティーツェの魔力撃、リファーのソーンバッシュを立て続けに食らい、ガジュマル・グラップラーのHPを削りきりました。


GM:ガジュマル・グラップラーは倒れ伏し、次第に姿が薄れ、ガジュマル・グラップラーの持っていた武器だけがその場に残されます


剥ぎ取りで歌姫の持っていた槍もキッチリ回収し、街に帰還します。これらの魔剣のデータは最後に。


GM:「お帰りなさ~い♡良い魔剣は手に入ったかしら」


ヒルダ:「えぇ。いい物が手に入ったわ……良い物過ぎて、今の私にはちょっと手に余るくらいね?」


ガジュマル・グラップはSランクの魔剣であり、まだヒルダは装備出来ません。ちなみにこのガジュマル・グラップ、事前にヒルダのPLさんがデータを考えたものを今回のシナリオで登場させています。


マリア:「あらそうなの。なら使いこなせるよう頑張らなきゃね」


ヒルダ:「……そうね。強くならなきゃね?」


マリア:「報酬は渡しておくわね。また何か迷宮の話が出たら教えるわ」


ヒルダ:「頼むわね?」


GM:ということで今回は終了です。お疲れ様でしたー


一同:お疲れ様でしたー


経験点は3500点+560点、そこにフィルギャの依頼を達成したことで+500点。成長は3回となりました。報酬金は1万ガメルと剥ぎ取りが216ガメル。名誉点が26点。

この成長でほぼ全員が5レベルに達し、戦闘スタイルが確立していきます。

今後は毎週金曜日19時に投稿予定です。では、また次回。



***



魔剣データ


ガジュマル・グラップ

知名度:16 形状:敵を掴みやすい木製の拳甲

概要:相手を絞め殺すとされる特殊な木に準えられた投げを強化する武器

用法:2H 必筋:5 威力:15 C値:12 命中+2 追加ダメージ+1 備考:投げを強化する武器、魔法の武器

効果

○宿り木の木加工

特殊な加工により、握る事で宿り木の役割を果たします。この武器を装備している場合、ドルイド魔法を行使可能です。


○絞め殺し

この武器を用いて投げに成功した場合、相手の防護点・生命抵抗・精神抵抗から一つを選び、3Rの間-1します。この効果は重複しません。また、絞め殺しの効果が適用されている同じ魔物の他の部位にこの効果を使用した場合、後に選択された部位のみに効果が発生します(前の部位のペナルティは消滅します)。多部位の敵に命中した場合、ダメージを与えた部位のいずれか1つを任意に選択して効果を適用します。


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由来・逸話

とあるドルイドが絞め殺しの木と呼ばれる寄生植物に着想を得て造り上げた魔の拳です。

拳だけならばともかく、投げる場合には使いづらくなる森羅魔法の発動体を組み込み、更には握り込む事で密着する性質を活かして相手に苦悶を与える特殊な武器となっています。



***



歌姫の槍

知名度:15 形状:光そのものを模したかのような金色の槍

概要:楽素を消費することで特殊な効果を得る

用法:2H 威力:25 C値:10 備考:刃のついた武器、魔法の武器

効果

○華やかな舞

 この武器は楽器として扱うことが出来ます。


○特別な歌

 楽素を消費することで、それぞれの楽素に対応した特殊な効果を発揮出来ます。この効果を発揮するには主動作を使います。効果範囲は自身の呪歌の範囲と同じであり、この時任意のキャラクターを除外出来ます。一度効果を発揮するか、10秒(1ラウンド)が経過すると効果は失われます。

 ↑の楽素

 1つを消費するごとに打撃点を+1点します。最大で4点まで上昇させることが可能です。

 ↓の楽素

 1つを消費するごとに防護点、生命抵抗力、精神抵抗力のいずれかに+1のボーナス修正を与えます。最大で4点まで上昇させることが可能です。

 ♡の楽素

 1つを消費するごとにHPとMPを2点回復出来ます。最大で10点まで回復させることが可能です。

 ↑↓♡の楽素をそれぞれ2つずつ消費

範囲内のキャラクター1体を対象として、そのキャラクターの主動作を1回増やし、HPを10点、MPを5点回復させます。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


由来・逸話

歌姫が持つ不可思議な槍です。呪歌や特殊な歌に反応し、さまざまな恩恵を与えます。

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