第7話 また三色を和了ってもう1匹ゴブリンを討伐するぞ
【牌画について】
・麻雀牌は、萬子は漢数字(一~九)、筒子は丸数字(①~⑨)、索子は全角数字(1~9)、字牌はそのまま(東南西北白發中)で表示します。台詞の中などではなるべく【】でくくって表記します。
・ポン・カンの後の(上)(対)(下)(暗)は、上家・対面・下家から鳴いたことと暗槓を示します。
・チーは表記の通りです。「チー②①③」ならカン②のチー。
以下、本編
-----------
前回のあらすじ:サーヤ(僧侶)とミオ(武闘家)も仲間になりそう!
さて、ゴブリン(赤)を倒したけれど、残り2匹がそれで手を引いてくれるわけではなさそうだ。ゴブリン(赤)の点箱から12000点をこちらに取り出して、続きをやるぞとばかりにスタートボタンを押して牌を卓内へ落としている。ゴブリン(黄)によってスタートボタンが押されて、牌山と配牌が出てくる。それなら続きをやるしかない。ゴブリン(赤)が抜けたけどどうするんだ? AIが代打ちをするのか? それともオールツモ切り扱いにするのか?
配牌【三五六七七①③⑥469北發中】
ドラ表示牌は【北】だ。今回もパッとしない配牌だが、やはりツモに期待するしかない。ここから456の三色あたりになってくれるのだろうか。まぁ和了れたらそれだけで御の字といった配牌だろう。第一打は表示牌の【北】にした。下家のゴブリン(赤)が座っていた席の手牌は、なんか普通に手出しで字牌を切ってきた。どうやら抜けた人の代わりに卓に掛けられている魔法がAI的な役割をしているようだ。便利だな。
その後、6巡掛けて【五】、【⑦】、【②】、【7】とツモる。
手牌【三五五六七七①②③⑥⑦67】
「手が整ってきましたね!」
「また567の『サンショク』になりそうじゃん!?」
サーヤとミオが期待の眼差しを寄せるが、雀頭が無いので三色にはしづらい形なんだよな。三色に固執するなら【①②③】あたりが重なったらそこを雀頭にする手順もあり得るところだ。特に【②③】なら断么九が確定するし。しかし、次のツモは場に2枚出ており期待薄のカン【六】だった。ならば当然、打【三】とする。
手牌【五五六六七七①②③⑥⑦67】
「良いツモですわ! これはたしか『イーペーコー』ですわね!」
語尾だけで誰が喋っているのか区別がつきやすいように「ですわ」とお嬢様口調で話し始めたアイリに、エルフィーが答える。
「でも、あと2つ567を作って『サンショク』にするのは無理そうね・・・。」
「えっ、どういうことですか・・・? 私、あくまでミオのサポート役なので『麻雀』はあまり知らないんです・・・」
サーヤが初心者と見るや、エルフィーは自分が解説役にならないといけないという謎の使命感から講釈を始めた。
「『麻雀』ってのは、『ジャントウ』1つと、3個1組の『メンツ』を4つ作るゲームなのよ。それは知ってるわね?」
「ええ、いちおう・・・」
「でも見て、あのタロウの手は【五六七】2つと【①②③】で『メンツ』がもう3つ出来ているので、『サンショク』に必要な【⑤⑥⑦】と【567】でもう2つ『メンツ』を作ることができないの。」
エルフィーの解説が終わるまで待っていたかのように場はツモ切りが続き、終わった頃にようやく引いた有効牌はツモ【8】だった。
手牌【五五六六七七①②③⑥⑦67】 ツモ【8】
「今回は『サンショク』になりませんわね・・・」
「そうね、【⑥】か【⑦】の単騎選択だけど、【⑥】も【⑦】も2枚ずつ見えて・・・あれっ? そういえばさっきもそんなことがあったような・・・?」
そう、ここで一盃口のみの苦しい単騎に受けて手替わりを待つよりも、面白い選択肢がある。
俺が打【六】とすると、仲間達がざわつく。
「【六】!!??? せっかくできた『イーペーコー』をぶっ壊すなんて、あいついったい何してるんだよ!?」
「分かりません・・・。でもきっと何か狙いがあるはずですわ・・・。」
「狙い・・・もしかして『サンショク』? でも【8】が来たから567の『サンショク』にはならないはず・・・あっ! まさか!?」
解説役のエルフィーは気付いたようだ。この手牌にまだ三色の可能性が残っていたことに。
手牌【五五六七七①②③⑥⑦678】 ツモ【⑧】
「リーチ!」
打【七】でリーチを掛ける。仲間達がざわつく。
「待ちは・・・【五】と【八】ですか・・・?」
「あれっ? 【八】なら三色じゃん! すごい! あいついったい何をしたんじゃん!?」
ミオも元気系キャラであることを強調するために、語尾にやたらと「じゃん」などを付ける過剰にサバサバした喋り方をし始めた。
対面のゴブリン(黄)がこちらの捨牌を見て考えている。【六七】という両面落としでのリーチをどう見るかだ。【五八】があり得ないわけではないのだが、あいつも【六】を切っておりワンチャンスになっていることだし、勝負手ならきっと切ってくるのではないか。実際、手牌は下の形になっていた。
ゴブリン(黄)手牌【三四八九九③④⑤345西西】ツモ【五】
【八】を勢い良く横に曲げるが、それはこっちの高目だ。
「ロン!」
手牌【五五六七①②③⑥⑦⑧678】 ロン【八】
「メンピン即三色! 12000だ!」
ゴブリン(黄)に向かってバリバリと電流が走って吹き飛ばした。前回も今回も12000ゴールドが出現したのだが、そういえばこれはゴブリンのHPによるものなのか、こちらの和了点に応じたものなのか分からないな。裏が1枚乗ってくれれば18000点になったので区別がついたのだが。
「やったじゃん!」
「『イーペーコー』がいつの間にか『サンショク』に・・・。これはもう魔法ですわね・・・」
「そうね・・・普通の魔法なら負けないのだけど、タロウの『麻雀』はもはや魔法みたいなものかもしれないわね・・・。」
魔法か・・・。まぁ俺も一盃口クラッシュの手筋を初めて見た時は驚いたものだし、そういう反応になるものかもしれないな。
「スゴイです! スゴイです! ねえ、私達も仲間にしてもらえますか・・・? さっきの通り、ミオの『麻雀』の腕じゃ不安ですし・・・。」
「なんだよサーヤ、失礼じゃん。でも、サーヤの言う通り、私はラッキーで試験に受かったけど、正直『麻雀』はそれほどだし、実際通用しなかったからな・・・。エルフのお姉さんがリーダーなんでしょ? お願い! ミオ達も仲間にしてくれる?」
リーダーのお姉さん扱いされたエルフィーが、悪くないとばかりに答える。
「そうね・・・。2人とも職業が違うからパーティーのバランスも良くなるし、旅は道連れって言うものね。いいわよね、アイリ?」
「ええ、困った時は助け合うのもまた騎士道ですわ!」
そんな騎士道とか言うキャラだったか? あと、俺の意見は? 俺はリーダーじゃないの?
「よし! 私は魔法使いのエルフィー。えーと、あなた達はサーヤとミオよね? これからもよろしくね!」
「ありがとうございます! 私は僧侶のサーヤです。宜しくお願いします!」
「私は武闘家のミオだよ! よろしくね!」
やれやれ、俺の意見を差し挟む余地もなく仲間が2人増えたようだ。まぁ別に構わないが。
さて、残りはゴブリン(青)1匹だが、ゴブリン(赤)と(黄)が2局で撃破されて怖気づいたのか、ゴブリン(青)はまるで仲間を呼んでいるかのような大声を発すると、奥の部屋から体格の一回り大きいゴブリン(黒)が現れた。これは中ボスの風格ですわ。ドアが空いた時に奥の部屋が少し見えたが、ソファがあってそこに仮眠をしていたっぽい。そいつは寝起きなのかボリボリと頭をかきながら現れて、身構えるアイリ達には目もくれず、すかさず対面のゴブリン(黄)が居た席へ座った。うーん、裏メンか何かかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます