第5話 二次試験の筆記試験に合格して女騎士を仲間にするぞ

【牌画について】

 ・麻雀牌は、萬子は漢数字(一~九)、筒子は丸数字(①~⑨)、索子は全角数字(1~9)、字牌はそのまま(東南西北白發中)で表示します。台詞の中などではなるべく【】でくくって表記します。

 ・ポン・カンの後の(上)(対)(下)(暗)は、上家・対面・下家から鳴いたことと暗槓を示します。

 ・チーは表記の通りです。「チー②①③」ならカン②のチー。


 以下、本編


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 前回のあらすじ:王者の打ち筋で一次試験合格!


 一次試験に合格したあとの二次試験は筆記試験だった。文字は普通に読めた。筆記試験ってことは点数計算とか受け入れ枚数を数えたりするのかと思ったら、


 問.以下の手牌の待ちを答えよ。

 1.【四五六1123456 ポン(対)發】

 2.【四四四五③④⑤⑥⑦⑧ チー657】


 こんなんだった。まさかこの世界では両面以上の待ちが分かるだけで、もう上位何%とかに入れるのか・・・? 一番最後の問題がこれだ。


 25.【六七七七八八八九11123】


 正答率、めちゃくちゃ低いんだろうな・・・。もっとこう、せめて【1223344556678】くらいの待ち当てが来るのかと思ったわ。しかも、サクサクと25問を解いてから「さあ、待ち当ての次はどんな問題が来るんだ」と裏をめくったら白紙だし。待ち当てだけかよ。


 早々に全問解答して席を立つ。二次試験中のため大きくざわつきはしないが、ヒソヒソと静かにざわつく気配が伝わってくる。


「あの田舎者、もう席を立ってるぞ・・・」(ヒソヒソ

「こんな時間で終わるわけないし、どうせトイレだろ・・・」(ヒソヒソ

「難易度の高さを見て諦めちまったのかもな・・・」(ヒソヒソ


 なんでいまだに舐められてるんだよ。せめてもっとこう、詰将棋解答選手権の時の藤井聡太への反応みたいなのにしてくれよ。


 二次試験終了後にエルフィーが俺に話し掛けてきた。


「あんた、早かったわね。まさかあの時間でもう解き終わってたの・・・?」

「まあな。」

「や、やるわね。でも、あの早さじゃきっと間違いもあるでしょ? 二次試験も私が一番よ!」


 いや、悪いが結果は見えてるよ。ちょうど試験官から発表があった。見てろ、ざわつくぞ。


「二次試験の結果を発表しますが、その前に、全問正解者が1人居ました。『タロー』様です!」


 ほらな。会場がざわつく。


「あの途中退席した田舎者か!?」

「カンニングでもしたんじゃないか!?」

「しかし、二次試験会場は魔法禁止の呪術が掛かっていたぞ!」


 そんなんあったのかよ。


「そんな・・・あの早さでさらに全問正解!? あり得ないわ!?」

「フッ、俺にとってはそう難しいことではない。」

「最後の25問目は? さっき採点を終えた試験官が、正解者は1人しか居なかったって漏らしてたわよ? 私は直感で【六七八九】と答えたんだけど、どう?」

「25問目の【六七七七八八八九11123】は【六九】待ちだ。どちらでも平和一盃口になるのでダマが利く形だから覚えておくといいぞ」

「『ピンフ』に『イーペーコー』ですって・・・? 『サンアンコー』には気を付けていたのだけど、そんな盲点を付く問題だったのね・・・」


 二次試験の合格者発表は続いている。


「おっ、今エルフィーの名前も呼ばれていたぞ。お前さんも二次試験合格じゃないか、おめでとう。」


 普通に祝福の言葉を掛けて肩にポンと手を置いただけなのに、エルフィーはなぜか顔を真っ赤にする。


「えっ、あ、ありがとう・・・。ま、まぁ全問正解は逃したけど私が合格するのは当然なんだからね!」

「そうだな、俺も(仲間が合格してくれて)嬉しいよ。」

「そ、そう・・・。」


 最終試験は面接だった。麻雀の技量を見るのは二次試験までで、あとは面接で人間性に欠陥がないことを確認するのと、ギルドへ冒険者登録する書類を作るための個人情報などを確認するだけのようだった。といっても、履歴書とか戸籍とかそういうのが必要なわけではなく、ダンジョン攻略経験や冒険者としての職業を聞かれただけだが。ダンジョン攻略の経験と言っても、SFC版「風来のシレン」で食神のほこら99階や掛軸裏の洞窟99階を達成したことくらいしか無いし、それを言ったところでどうにもならないことは分かりきっていたので、素直に初めてだと伝えた。


 面接の終了後、他の合格者達と一緒にギルドへ案内されて、冒険者登録を行った。俺の登録名はやはり「タロー」になっていた。俺、面接でいちおう自分の名前を言ったぞ。


「ねえ、タロー! 私とパーティー登録もしましょう!」

「そういうのも必要になるのか。」

「あんた、何も知らないのね・・・。一緒に冒険する仲間はパーティー登録もしておくものなのよ。ほら、私とあんたで登録するわよ!」

「それなんだが、パーティー登録は何人でもいいのか?」

「どういうこと? たしかに普通のパーティーはお互いの苦手分野を補い合うために組むものだから職業の異なる3人以上で組むことが多いわね。あっ、もしかして私と2人きりじゃ恥ずかしいってこと・・・? そうよね、私達2人だけだと恋人同士みたいに思われるかもしれないわね・・・///// でもほら、いずれそういう関係になることもあり得るわけだし・・・って何言ってるの私!」(ゴニョゴニョ


 何か後半はゴニョゴニョ言ってて何を言ってるかよく聞き取れなかったが、前半に言ってた「普通のパーティーはお互いの苦手分野を補い合うために組む」というのは聞き取れた。やはりそういうものだろう。ドラクエ3でも「戦士・僧侶・魔法使い」の3人と組むのが基本だった(俺は素早さが高く装備に金が掛からない武闘家派だったが)。エルフィーは魔法を使えるとのことだったが、じゃあ俺が戦士系の役割を果たせるのかというと、そんなことはない。他にせめて腕っぷしが強い仲間も居たほうがいいのではないか。いくら新種モンスターは麻雀でしか討伐できないといっても、ダンジョンという環境を攻略のために進む上では、武器や魔法の力が必要になることもあるのではないか。心配し過ぎだろうか。


 ということをエルフィーに持ちかけようとしたら、戦士系の格好をしているロングヘアーの美女が話し掛けてきた。


「エルフィー、あんたも合格してたのね。」

「アイリ!? なんであんたが?」


 どうやらエルフィーの知り合いのようだ。紹介してくれよ。


「私はアイリ、女騎士よ。そこのエルフィーとは何度か一緒に冒険したことがあるわ。ねえ、そこのあんた。一次試験でも二次試験でも目立ってたあの田舎者よね。なるほど、たしかに近くでよく見てもみすぼらしい田舎者っぽい格好してるわね。魔力も感じられないし。でも『麻雀』が強いならいいわ、私の仲間にしてあげる!」

「ちょっとアイリ、いきなり出てきて何様のつもりよ! タロウは私の仲間になるのよ! ね、そうでしょ!?」


 どうやら2人は仲が良いようだ。しかも、アイリは女騎士だと。なるほど、大きめな胸部をしっかりと包み隠す硬い鎧を着て、腰に大剣を携えている。これはもう間違いなく女騎士だ。これは好都合だ。近年の女騎士は、武器で戦う以外にも、経理ができたり農家をしたり拷問に屈したりオークと暮らしたりといろいろバリエーションに富むような話を聞いたことがある。きっと頼りになる仲間となってくれるだろう。


「じゃあ3人でパーティーを組まないか?」


 2人はギャーギャー言いながらも同意してくれた。うんうん、仲が良いってのはいいことだ。


 というわけで、3人でパーティー登録をして、明日から早速ダンジョン攻略へ向かうことにした。寝る場所はどうしようかと思ったが、冒険者登録をした後に手付金をもらえたので、ギルドが紹介してくれた冒険者が集う宿屋にそれで泊まることができた。とはいえ、手付金にはそんなに余裕はないので、冒険者っぽい装備を整えることもできない。俺だけ上はGU、下はユニクロという服装のままダンジョンへ向かうことになるな・・・。まあいい。モンスターを討伐したらゴールドを稼げるのはこの手の世界観の基本だ(ちなみに通貨もそのまんま「ゴールド」だった)。よーし、明日から麻雀でダンジョン攻略だ!



 おまけ。

 1.【四五六1123456 ポン(対)發】→【147】待ち。

 2.【四四四五③④⑤⑥⑦⑧ チー657】→【三五六】待ち。

 25.【六七七七八八八九11123】→【六九】待ち。

 Ex.【1223344556678】→【258】待ち。

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