8 Q:T-3【ステータスを確認してみよう】

>Quest Tutorial-3



※冒険者登録機構で希望のジョブの系統と成長見込みを参照しつつステータスを確認するのがNSVの本来のチュートリアル3にあたります。

ミツカ君はマルチ一択でさっさと申請したのでこれを飛ばしていました。



 ………



 これまた見覚えのある冒険者ギルドの訓練場に出ると、受付嬢の他にそこそこ役職が上くさい事務職員風の男と雰囲気のあるガタイのいい剣士風、魔女風の男女が立っていた。


 「ミツカ=ミサキだな。ルイーゼ支部管理部長のケニーだ。ロウェルから紹介を受けたが、何でも剣術が達者なようだな」


 おぉ、取り計らうとは言っていたが、まさか既に冒険者ギルドにまで話が通っているとは。全く粋な人だ。

 事務職風……恐らくこの場で一番偉いであろう男はガシガシと頭を搔きながら険しい顔をする。


 「ただこの【マルチ】という職業についてだが……正直見たことも聞いたこともないが、どうもこれが様式上通るみたいでな。ただ実態を見ないことにはこれで受け付けるわけにもいかない。何でもできると言ったようだが、今お前にできることをこの場で見せてもらいたい」


 まぁそうなるよなぁ。

 申請書を見たときの受付嬢の反応から相当なマイノリティーなのかと思ってはいたが、管理職ですら見たことも聞いたこともないとは……


 だが考えれば合点は行く。この世界での冒険は実際に命をかける危険を伴うと考えれば、マルチジョブでスイッチロールなんてある意味ゲームだからこそ極められたお遊びのぶっ壊れ技巧をわさわざ死に物狂いで突き詰める意義はない。各人が役割を分担して補正に肖りつつ、手堅くステータスを伸ばして完全分業でパーティー攻略を進めた方が間違いなく安全だろう。

 ……まぁそれだと、シナリオ終盤では世界中の全戦力を投入しても多大な犠牲を出した上で攻略が未遂に終わる可能性もそれなりにあるだろうけど。



 そうか……残念だなぁ。あの楽しみを分かち合える人はこの世界にはいないのかもしれないな。


 だが他にいないのだとしても俺はマルチでいたい。様式上通るとまで言われたのだから実力を示して認めさせよう。



 「何から見せればいいですか?」


 「まずはお前のステータスとスキルを確認したい。こちらに」


 控えていた受付嬢が何やら書類と、同じく魔女風が水晶のような魔道具を持ってくる。ギルドや闘技場に設置してあるステータス登録の端末だ。


 「あー、どうせ確認するから偽装しようがないわけだが、事前の申請書の誓約欄にある通り登録時点のステータスに虚偽の申告がないようにとのことだからな。まず登録情報が申告通りかどうか確認させてもらう」


 それこそ偽装は厳罰と書かれていたから誓約通り包み隠さず現状を書いたわけだが、正直に書いて偽装疑惑というか疑義がかかっていると。現状のステータスが余程不可思議に見えたのだろうか?この地点の現状として弱すぎということはないと思うが……

 いや、むしろここに来るまでの熟練度補正と経験値ボーナスで考えれば標準より気持ち高めで見られるはずだ。駆け出し冒険者としてはステータスは高めかもしれないが、ロウェルが話を通してくれているなら恐らく俺の身分は傭兵ということになっている。傭兵なら現状でも心許ないくらいだろうが、整合性が取れないほどではない。


 端末水晶に触れると、水晶の上に立体の画面が現れ現状のステータスが表示される。


 ミツカ=ミサキ Lv.21

 種族 / 人族 性別 / 男 年齢 / 16

 HP:3680/3680 MP:4040/4040 SP:3640/3640

 STR:480 VIT:620 INT:560 AGI:500 DEX:440

 【渡り人】【技巧剣士】【武芸者】

 【初級剣術 極】

 壱【一閃】

 弐【爪薙ぎ】

 参【矛角】

 肆【旋風】

 伍【咬牙】

 陸【剛蹄】

 漆【受太刀】

 捌【打ち落とし】

 玖【返し斬り】

 極【嵐】

 【中級剣術 3】

 壱【飛燕 極】

 弐【双飛斬4】

 参【川蝉5】

 肆【裂空】

 伍【蜿咬蛇】

 陸【五月雨】

 【初級盾術 極】

 壱【面受】

 弐【逸らし】

 参【弾き】

 肆【盾打ち】

 【中級盾術2】

 壱【岩亀4】

 弐【盾勁2】

 参【振らし】

 伍【犀角】

 陸【鉄盾靠2】

 【基礎体術 級】

 壱【拳 5】

 弐【掌底 2】

 参【蹴下 3】

 肆【蹴中 4】

 伍【蹴上 5】

 陸【手刀 2】

 漆【前蹴 5】

 捌【踵落 6】

 玖【肘鉄 3】

 拾【丹力 3】

 【防御術 段】

 壱【受け 5】

 弐【弾き 6】

 参【逸らし 6】

 肆【躱し 8】

 伍【受け流し 5】

 【格闘術 段】

 壱【殴打 極】

 弐【連打 7】

 参【打貫 極】

 陸【組み 7】

 漆【投げ 6】

 捌【極め 3】

 玖【絞め5】

 【投擲術】片手剣投擲 極

 【気功術】集気 極、錬気 極、集錬気3、纏気5、剛気3、瞑想

 【生活魔法】

 光初【閃光4】

 【回復魔法】ヒール 極、キュア 4

 【パッシブスキル】

  不屈の精神、悪食

  弱毒耐性6、弱麻痺耐性6、幻覚耐性9、苦痛耐性5

  疲労耐性5、錯乱耐性2、不眠耐性1、痛覚耐性3

 

 表示を見た職員たちは一様に目やら口やらをかっ開いて


 「何だこのスキルの数は……!?」


 「何なの……このステータス!?」

 

 「初級剣術 だと!?」


 一拍後には各々主張しているというよりは驚愕が胸の内に収まらず言葉で出たという具合にわめきだした。

 各人ドン引きと言った様子で一通りステータスを読み通し、


 「あー……そうだな……とりあえずは剣術を見せてもらおうか。ザイン」


 ガシガシと頭を掻いていたケニーがひとしきり掻き回した後に険しい顔でそう言った。


 呼ばれたザインというらしい剣士風の男が俺の前に立つ。


 「コイツは冒険者ギルドルイーゼ支部、一応、剣術指南頭のザインだ。今から木剣でザインと試合をしてもらう」



※ ※ ※


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