春
日々交々恨み辛みを歌って
過ぎ日に感傷と後悔をぶら下げて
そいつに未来を夢見ては
クソ食らえと未来というランプを消した
部屋のストーブの灯油も切れて
灯油缶も切れているもんだから
買いに行かなきゃいけないけれど
寒さが憂鬱を見せるから行きたかねえ
そんな事を宣っていたら春が来ていた
川沿いの桜の蕾もでかくなったな
未だ芽生えぬ僕の夢とは裏腹に
お前はもうすぐ咲いちまうのか
冬の間に出来た凍傷の古傷は癒えず
クソ野郎と嗤う春一番に唾を吐き
そんな自分が一番嫌いだと言うけれど
そう言う自分を僕は知らなかったんだ
早咲き桜と一緒に旅立った友人を見送り
ただ一人遅れた僕は何も為せず
しだれ桜が「ざまあみろ」と嗤ってくるから
居た堪れなくなって泣くしかなかった
そう言う春を何度も見てきた
今だってそんなに変わらないけど
それでも嗤った奴に「ざまあみろ」って言う為に
不器用な言葉を積み上げ始めたのさ
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