レティらしさ
静かだ。
今、
しかし先程から誰も口を開かない。非常に静かだ。
静かすぎて怖いくらい。
そしてレティ、ソニア、ヴィンさんの3人は
まぁ、理由は言うまでもない。今日が
だが、今ケージには続々と
それを考えれば食が進まないと言うのは納得できる。
だからと言って何も食べないと言うのは体に
「食欲がない。」と口を揃えて言う3人に無理やりにでも食べさせようとこの場に
「このまま静かに今日が終わってくれればいいんだけどな…」
「例年と同じと考えれば、
ヴィンさんの言葉にソニアが返答する。
ここに送られてきた者たちの最初の反応は本当に
泣き叫ぶ者もいれば、
本当に様々だ。
僕たちが1番聞きたくないのが、泣き叫ぶ
これは毎年聞こえてくるが、何度経験しても慣れないな。
「とにかく今日はみんなで
そうだ。今日さえ超えてしまえば…。
僕なりの精一杯の提案だった。
「そうですね…その方がいくらか気が楽かもしれませんね。」
「そうだな。要塞の中で手作業でもしてりゃ気が
ヴィンさんとソニアが僕の意見に同意してくれた。
「…」
そしてレティは先程から一言も
顔を見れば分かる。これは相当悩んでる顔だ。
「レティ?」
「…」
少し心配になったので声を掛けてみたが、返事がない。
「レティ!」
「は、はい!」
先程よりも少し大きい声で呼びかけると驚いたように返事が返ってきた。
「どうしました?」
どうやら今まで上の空で僕らの話を全く聞いていなかったようだ。
「ソニア。ヴィンさん。悪いけど
「はい。」
力なく返事をするレティ。
「私もお手伝いしますよ?」
すかさずソニアが手伝いを申し出るが、「ごめんソニア。少しレティと話しておかなきゃいけないことがあるんだ。」と僕は返す。
「そう…ですか。わかりました。」
すぐに応じてくれた。僕にしては
「ルービスさん。レティさん。お願いしますね。」
そう言い残しソニアは自分の使っていた
後を追うようにヴィンさんも
「ルービス…さん。」
消え入りそうな声で僕を呼ぶレティ。
「裏に行こう。」
僕はそれだけを言うと4人分の食器を持って
レティも僕の後ろを付いてくる。
「レティ。悩む気持ちは分かるけど、君がそこまで悩んでどうにかなる問題じゃないんだ。」
少し冷たいかな?とも思ったが、ありのままの現実を言ってしまえば僕の言ってることが正しいはず。
「分かっていますよ。それくらい。」
レティも少し強めの口調で返事を返す。
「分かっているならいい。これ以上は何も言わない。ただもっと…何というか、元気出しなよ。肉食ってる時みたいにさ。」
「なっ…!」
顔を赤くするってことは多少恥ずかしいと思ってたりするのだろうか?
「今はそんな事関係ないじゃないですか!」
「肉食ってる時のレティが1番輝いて見えるぞ?」
さらに追い打ちをかけてみる。
「人を食いしん坊みたいに言わないでください!」
ちょっと待て。肉に関して言えばレティは立派な食いしん坊だぞ。
「ごめんごめん。それじゃ次からレティは肉なしだ。」
「なんでそうなるんですか!」
「いや、なんとなく?」
「それいじめと言うんですよ?」
「肉食べたいの?」
「っ…」
黙ってしまった。
「いらないの?」
さらに意地悪をしてみる。
「食べたいです…。」
「え?聞こえないんだけど。」
「食べたいです!」
今度ははっきりと言ってきた。
「そっちの方がらしいよ。」
「あなたは私のことなんだと思ってるんですか?」
あきれ顔で
僕は迷わず、「肉食系女子。」と答えた。
「なっ…」
また顔を真っ赤にするレティ。今度は恥ずかしいじゃなくて怒りかな?
「そう言う顔してなよ。」
やっぱり
今日気持ちが
でもこんな時こそ明るくって感じでね。
「…本当に意地が悪いですね。あなたは。」
そう言うレティの顔から怒りの感情はすっかり消えていた。
「で、話と言うのはこれですか?」
「そうそう。僕なりの
レティは「はぁ~…。」と
「
そう言った時のレティの顔からは
「本当素直じゃないよね。」
「黙ってください。」
こうして僕とレティは皿洗いを続行した。
そして皿洗いが終わり、
ふざけているようでもない
どうやらレティの中で答えが出たみたいだ。
僕は「分かった」とだけ返事をした。
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