家族の絆
-ヴァール帝国ケージ、南ゲート-
「今日中には必ず資金を集めます。ですからどうか時間をください。お願いします。」
「
「必ずお支払い致します。どうか時間を…。」
「それならお前の娘を
この言葉を聞いた女の子は
「そ、それだけはどうかご
「お前たちの持ち金は1500万VB。親子3人の
もはや成す術のない男はその場に
「すまない…すまない…リリア、シフォン…」
「おい。後が
リリアと呼ばれた女性は、後ろに隠れるシフォンの頭を
「シュウさん。私がケージに行きます。シフォンの事、お願いね。」
男の名はシュウ、妻の名はリリア、娘の名はシフォン。
この家族は
家族3人でいるには
しかし妻であるリリアは自分がケージに行くと言うことを選択した。
「リリア…」
「ママ…どっか行っちゃうの?」
シフォンの
しかしリリアはそれをグッと
「その思い切りの良さいいねぇ。あんたの旦那より
「旦那は優しいですからね。あなた方とは違って。」
「おーおー。気の強いこと。」
「シフォン?ママと離れたくないよね?」
シュウは泣き崩れていたさっきまでの顔とは違い、穏やかな顔でシフォンに質問をしていた。
「離れたくない。」
シュウの問いかけに娘のシフォンはすぐさま答えを返す。
「そうだよな。パパもママとシフォンと3人でいたいんだ。」
「うん。3人がいい。」
「シフォン?今まで見たいな生活できなくなるけど大丈夫?もうおもちゃ買ってあげられないし、お人形さんと一緒に寝ることできないと思う。それでも3人で一緒にいたい?」
「パパとママと一緒なら我慢できる。」
なんていい娘を持ったんだ。とシュウは思った。
何よりも家族を大切にしてくれる娘を持つことができてシュウは満足だった。
「
シフォンを抱いたシュウはリリアの後ろに立ち、
「!?シュウさん?何を言って…」
「リリア。僕たちは3人で家族だ。誰かが
「シュウさん…」
先ほどまで
家族の
「そうか。ならばさっさとゲートをくぐれ。今日からお前たちは家族揃って下民だ。」
冷たくそう言い放つと、次に待つ平民の対応に当たった。
シュウ、リリア、シフォン。3人の親子が一生戻ることが出来ないであろう
「ごめんなさい。シュウさん。シフォン。」
リリアは申し訳なさそうな表情で夫と娘に対し謝る。
「謝らないでくれリリア。元はと言えば資金を集められなかった僕が悪いんだ。」
そしてシュウも申し訳なさそうにリリアに顔を向ける。
「そんなことないわ。シュウさんは1年間ずっと
落ち込むシュウに対し
「おかしいのはこの国よ。あんな
リリアの怒りの
「その辺にしておこうリリア。兵士に聞かれたら本当に命がない。」
少しずつ怒りのボルテージが上がるリリアをシュウが
「そうね…」
リリアもシュウの言葉を聞いて少し冷静になる。
「パパ。ママ。喧嘩、ダメ。」
「大丈夫だよシフォン。パパとママは凄く仲良しなんだから。」
リリアがニコッと微笑みシフォンに言う。
「そうだぞ。パパはママとシフォンが大好きなんだ。」
そう言うとシュウはリリアとシフォンを抱きしめる。
「これから辛いことがいっぱいあると思う。でも絶対に下を向かないように生きて行こう。大丈夫。絶対パパが2人を守るから。」
「シュウさん…」
「私もパパとママを守る。」
シュウはこの時、『3人一緒ならどんなに苦しいことも乗り越えられる。』そう思っていた。
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