前日
‐
ついに明日か…。
3の月最終日の前日に当たる今日、ケージ内は
それは、もはや
「明日は
もちろん僕もそう思っている1人だ。
これだけは何度経験しても慣れない。いや、そもそもこれに慣れるようでは人間として終わっていると思える程の
今年はどれくらいの
僕でさえここまで気が
レティの思いを考えるとさすがに
2日前は楽しく
レティは今も
そう、僕が必死になって
だってさすがに女の人に外で寝てくれとか言えないでしょ?
それに僕は木の上で寝るとかはもう慣れっこだからさ。
でもちょっと心配ではある。
いつもなら3食きっちり食べるレティが今日は朝から出て来ない。
「ごはんですよ~。」って声を
食欲がないと言っても何も食べないのは体に
そう思って僕は軽く食べられそうな物を作ってレティに届けることにした。
それにレティには少し話しておきたいこともあるしね。
「レティ。入ってもいい?」
部屋の前に立ってレティに入室の許可を
いきなり入って着替えシーンだったら命が無くなってしまう。
「ちょっと待っててください。」
返事が来た。言われた通り少し待つ事に。
もしかして本当に着替えてる最中だったのかな?そんなまさか。
程なくしてレティから「どうぞ。」との声が聞こえてきた。
僕はゆっくりと扉を開けて入室する。
「着替え中だった?」
「何を言ってるんです?」
レティの
「冗談だ。食事を持ってきた。食欲がなくても食べられそうな物を作った。少しでもいいから食べてくれ。」
「ありがとうございます…。」
やっぱり明日の事が
肉パーティーをしていた時のテンションとはまるで違う。
「レティ。ちょっと
「なんですか?」
レティはベッドに
「ちょっとここに連れて来たい人がいるんだ。2人。」
「連れて来たい人?」
「そう。僕がここで
「それは別に
そんなこと気にしてたのかレティは。
「その部分に関しては本当に気にしなくていい。こっちも
するとレティはきょとんとした顔になった。
どこまで腰が低いんだよこの王女様。
「2人のうちの1人はレティと同じくらいの女の子だよ。ソニアって言う子なんだ。」
「そうなんですか。会ってみたいですね。」
「あとの1人はハゲマッチョことヴィンさんだ。」
「…」
どうしよ。レティが
「安心してくれ。
「へ、へぇ…。」
レティの顔が引きつっている。
「ここに連れて来てもいい?」
「も、もちろんです。」
ちょっと
「あ!それと、僕がロシエルってのは
「
「いや、明かす程の事でもないと思ってさ。」
今度は僕がきょとんとした顔をするとレティは「はぁ~」と
「わかりました。
「そうそう。そんな感じで頼むよ。」
レティは物わかりがよくて助かる。
「それならば私の正体も
「それもそうだねぇ。王女様と一緒に生活なんて事になったらあの2人は
あの2人は良くも悪くも育ちがいい。
ソニアは言うまでもないけど、ヴィンさんも元は軍人だ。
今は身分が等しいと言っても元はアストレア王国の王女様って事が分かれば確実に
まぁ、いずれレティと僕の正体を明かすにしても今言うのは
と言うか、今まで考えてこなかったけど、僕の正体がアールベルトって事が分かったらヴィンさんが
あのハゲマッチョに
さすがにそれは考えすぎか。
ただの
「あ!」
ヴィンさんの事を考えていたらある重大な事を思い出した。
僕が突然声を上げたもんだからレティはビクっとしながら聞いてきた。
「どうしたのです?」
「レティ。もう一つ頼みがあるんだ。すごく大事なこと。」
「な、なんですか?」
僕の
「ヴィンさんの事をハゲマッチョって言ってたのは内緒にしておいて欲しい。」
かなり重い空気を放ちながら言う僕に対してレティは虫を見るような目でこちらを見ていた。
「…」
返事がないぞ。もしやレティはバラすつもりなのか。
「レティ。ヴィンさんはマッチョはいいがハゲと言うとめちゃめちゃ怒るんだ。そうなると僕の命が
ほとんど
「…わかりました。」
「さすがレティ。僕の命を救えるのは君だけだ。」
この時の僕には見えていなかったんだ。
レティが僕に対して向ける視線が、ゴミを見ているかのような視線に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます