小さな要塞
「ルービスさん!」
心臓が止まりそうになった。
今の僕に女性の声は本当に危ない。
そもそもヴィンさんが「お前の事を探し回ってる女がいる」とか言うから少し神経が
「ルービスさん?どこかに行かれるんですか?」。
紹介しよう。彼女の名前はソニア。長い茶色の
簡単に言うと
顔は
そもそもこの美少女はどこから来てどこへ向かうのだろうか。
きっとこの子は
そうだ。それならば全ての
きっとこの子は異世界の
であれば、この世界の人間である我々はこの美しさを永遠に語り
人間として、いや!男として!この美少女ソニアの美しさを
こうしてはいられない。紙はどこだ?ペンはどこだ?1秒たりとも無駄にはできない。
僕の命が尽きる前に美少女ソニアの美の伝説を書き残さねば!。
「あのぉ…ルービスさん?白目の部分が真っ赤に…。」
「あ…あぁーっ、ソニア!久しぶりだね。」
まずい…ソニアを見るといつもこうだ。
気を付けないと…。
「どこかへ行かれるのですか?」
「
「え?」
「あっ、ごめん!何でもない。」
ダメだ。ソニアの前だとまともな思考にならない。
「ごめん。ちょっと急いでるんだ。事情はヴィンさんが知っているからあの人から聞いてくれると助かる。」
「ヴィンさんですか?わかりました。」
首を
「それじゃぁソニア。またね。」
「はい!お体に気を付けてください!」
そう言うとソニアは笑顔で僕に手を振ってくれた。
あぁ…眩しい。なんて可愛らしい笑顔だ。ソニアの笑顔は永遠に見ていても
後ろ
それにしても…僕はソニアを前にすると頭がおかしくなる。何とかしないと…。
なぜかって?ヴィンさんの
ヴィンさんって
1回ソニアを連れ去ろうとした
けどすぐにヴィンさんにボコボコにされていたよ。それから何度もソニアに言い
今ではソニアに言い寄る男はいないらしい。
ヴィンさん…いい仕事したね。
今度ヴィンさんに会ったら「グッジョブ!」って言ってあげよう。
少しソニアの事について語りすぎたね。
気持ち悪いって?仕方ないだろ。僕だって男の子なんだから。
そんなどうでもいい事を考えながら僕は身を隠せそうな場所を
人が
そこは…まるで忘れられた存在であるかのようなごく小さな
周りの
「こんな場所があったのか」
思わず声が出るくらい、小さいながらもしっかりとした
「まるでジャングルだな。」そんなことを1人ぼやきながら、
そろそろ外も暗くなってきた、早めに中に入ってしまおう。
とにかく今日は寝る所を確保しよう。夜が明けたら中を少し掃除して生活空間を整えよう。
そしていくつかある部屋を
2つ目の部屋。ここはまだましな方か?虫は
そして3つ目の部屋。恐る恐るドアを開けて部屋の中を
この部屋も特に植物の侵食はなく、虫も気になる程ではない。
しかし部屋の奥にある
その
遺体は完全に
だが性別や年齢等の情報は分からない。
「こんな所にたった1人で…寂しかったろうな。」
そう言うと、僕は目の前の椅子に座る遺体に向かって手を合わせた。
「明日ちゃんと
そして僕は部屋を出ようと立ち上がった時、遺体の足元に1冊の本があることに気が付いた。
その本を拾い上げて
どう考えてもこの遺体の持ち物だろう。
「ごめん。ちょっと読ませてもらうね。」
持ち主に
すると表紙のすぐ裏に小さく『記録』と書いてあり、ページ右下の
ワーグナーとは恐らくこの本の持ち主。つまり、椅子に座っている遺体の
「君はワーグナーと言うんだね?」
返答が返ってくるはずのない遺体に向かって僕は話しかける。正直、声を出さないと怖い。
隠さず言おう。今かなり怖いです。
『
「
この日付を見ただけで僕の心臓は
全身から
落ち着こうにも手が次々とページを
脳が次の文章を要求してくる。
結局僕は物凄い勢いでワーグナーの記録全文を読んだ。
「そう言う事だったのか…。」
この時、ようやく自分の状態に気が付いた。
全身から大量の汗が吹き出し、
だが、ワーグナーの残した記録はそれほどまでに
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