Facebookの女 ポエム編

 そういえばカイルが他のアカウントもブロックしたと言ってたなと思い、結菜の名前を検索。メインアカウント以外にも2つ発見した。そのうちの1つはカバー写真どころかプロフィール写真もカイルとのツーショット。しかも痛い投稿の羅列。「happyの勝ち」、「たのしみだにゃ」、「優しさにきゅんきゅん中」「最高の笑顔ですごせるにゃ」、と30半ばの女が書いてると思うとホラーとしか思えない内容。にゃってのはカイルが猫を飼っているから自分も猫のつもりなのかも知れない。わざと全体に公開にして、他の人が読むのを期待してる模様。いいねはほとんどなくてコメントもほとんどない。

 

 メインのアカウントもそうだけど、途中からカイルの写真がなくなり、カバー写真も結構古そうで一昨年より前のものだった。しかも、カイルから私にやたらメールが来てた夜に、カイルがその女の家に泊まったという投稿がいくつかあって、女の妄想投稿疑惑が浮上。はっきりいつからかなのかは分からないけれど、途中から妄想の可能性が濃厚。最初は普通のアカウントだったけど、途中からカイルへの愛をつづるアカウントになったらしい。そのアカウントには友達はいないみたいで、普通のアカウントだった時にいた友達は全部ブロックして、妄想アカウントを見られないようにしているのかなと思った。妄想アカウントで一番怪しかったのは、カイルの誕生日前日の投稿なのに、翌日の彼の誕生日には触れていない点。でも、妄想だとすると痛いという意味のホラーではなく、本当のホラー。ねほりんぱほりんの偽装キラキラ女子の回で”闇を感じる”と言っていたけど、それと同じ闇を感じた。友達は「他の女を牽制する為のアカウントだと思う。」と言っていたけど、私も同じように思った。まだカイルと知り合う前の投稿で、「イギリスから帰国後、真っ先に私に会いに来てくれた。」という投稿があって、実際彼女が一番の存在なら、こんなアピール投稿はしないと思った。自分の立場を脅かす存在が他にいるかなにかの理由でのアピール投稿なんだろうと思った。英語のコメントへの返しから、SVOOが分からない人でそんなに英語は出来ない人だと判明。カイルは日本語があまり出来ないし、深い話が好きだし、早口だし、言い回しとか使う単語が結構独特で、どうやってコミュニケーションを取ってる(た)んだろうと思った。


 結菜のタイムラインを精査すると、莉緒という人が「カイルに5年付き合ってる彼女(私)がいながら、自分のことを彼女だと言ってるの?」と書き込んでいた。女同士のバトルが勃発していた。「彼は週の半分は私の家に泊まっている」云々。結菜が返したコメントは削除されていて、莉緒の「だから何?あんた最低な女だね。」というコメントだけが残っていた。「若さって、30代半ばは十分おばさんでしょ。」という莉緒のコメントがあったから、結菜は「私の方が若い。」みたいなコメントを返してたのかも。女の敵は女というか、卑下しておばさんという人は苦手。冗談として言うなら別だけど。30代はおばさんじゃないと思う。日本の男はおばさん扱いするけど。莉緒はカイルのFacebookに1年に渡り登場しながらも、girlfriend(彼女)ではなくfriend(友達)と呼ばれていて、私がなんでだろうと疑問に思っていた人だった。彼の投稿では彼女にしか見えなかった。しかも怖いと思ったのは、莉緒はカイルが試合で使っている帽子を被った写真とその帽子を家に置いている写真をFacebookで全体に公開にしていて、この2人の間で”カイルは私のもの!”的な心理戦が繰り広げられている気がして、こういう争いに巻き込まれた経験はないし、刺されたりしたくないし、知らずとは言え後から参戦(?)したのは私だし、こんなにゴタゴタしてるなら抜けたいと思った。ちゃんと付き合ってて安定しているなら結菜はこんな投稿はしないだろうし、ノロケじゃなくてただの痛々しい投稿で、しかも何かあったら投稿するというわけじゃなくて、機械的に10日間から2週間ぐらいの間隔で投稿しているから、多分妄想だろうとは思ったけど。ただ結菜と莉緒の言い争いから、二股をしていた時期があったのはほぼ確実だと思った。


 友達に話したら、Facebook絡みで聞いた話で、最近では一番変な話と言ってた。正直、怖いと思った。

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