Facebookの女たち

 カイルに熱心に誘われたけど、彼の試合に行かなくて良かったと思った。刺されたくない。痴話喧嘩絡みだと刃物で刺されるイメージがある。別れ方が下手なのかなんなのか知らないけど、恐ろしい。ちゃんと説明して欲しかったからチクチクとメールを送った。


 「自分のことをカイルの彼女と思ってる女がいれば教えてくれると助かる。全然知らなかったからパニックになった。軽く”もう終わり”と言うのはやめて欲しい。心配したし。それ以外は特に問題ないけど。カイルが私がカイルのことをあんまり好きじゃないって思ってるのは知ってるけど、好きだから。」


 「軽く言ったわけじゃないし、知らなかった。あのページはもうなくなったと思ってた。どっちにしろどうでもいいと思ってたし。仕事をしてない時はジムとトレーニングにエネルギーを注がなきゃいけないし。」


 「本当に?じゃあ私がもうメールしなかったとしても気にしなかったってことね。どのページのこと言ってるのか分からないけど、あの女はカイル専用のページを持ってるんだけど。カイルと彼女が何をしてるのか詳しいことを書いて投稿してるし。カイルのことを監視したければ、友達申請するけど、私は監視したいわけじゃないし。前にカイルのページを見たから、カイルに関係がある人が表示されるだけ。それで昨日、あの女が表示されたわけ。」


 「この話はもうたくさん。忘れよう。堂々巡りするタイプじゃないし。自分の予定を管理するので精一杯。」


 「じゃあ、私がカイルの試合に行ったらあの女は攻撃してくるってこと?怖いんだけど。5年カイルと付き合ってるって言ってあの女を攻撃してた他の女がいたんだけど。私は女の争いからは距離を置く人間だから。だからカイルにはっきりして欲しかったのに。ミスター・人気者なんでしょ。前にグルーピーがいるのかって聞いたじゃない。」


 「?????5年。それはクレイジー。そんな投稿見てないし。」


 「莉緒って女が5年付き合ってるって言って2016年にFacebookで結菜を攻撃してた。私は自分の身の安全を心配してるんだけど。でもカイルは話したくないって言ったでしょ。私にはクレイジーな元彼はいないし。1人エキセントリックな人がいるけど、悪い人じゃないし。」


 「なんてこった。また彼は言った彼女は言ったか。僕は仕事とレスリングしかしてないし。君がこの話をやめたと思ったらまた話し始めたんじゃないか。僕はただでさえストレスをたくさん抱えているのに。」


 「他に誰かいるなら教えて欲しいんだけど。いるなら別に私がカイルと一緒にいる必要ないし。カイルのことは好きだけど、ストーカーじゃないし。それに家に行ったことないし。」


 「誰もいないよ。」

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