第137話 水着選びはコツが必要
小物を買い終えたら、次は本命の水着選びの時間。他に水着を持っているらしい
「僕は無難なのでいいかな」
「何言ってるの。せっかくの海よ? 少しくらい背伸びした方がお得じゃない」
「背伸びって……ブーメラン型ってこと?」
「それは伸びる方向間違えてるわ」
やれやれと言わんばかりにため息をついたミクは、「例えばこんなのとか……」といくつか選んで渡してくれた。
どれも半ズボンタイプと王道な水着ではあるものの、そこそこ目立ちそうな柄ばかりだ。
「ミクはどれが好き?」
「この黄色と黒のストライプなんて、自然界じゃ生き残りやすい色合いよね」
「……僕、何かに狙われてるの?」
首を傾げてみれば彼女が自分を指差しながら「わ・た・し♪」なんて微笑みかけてくるので、そっと黄色と黒の水着は戻しておく。
「僕はやっぱり普通のでいいよ。この海柄とか好きだし」
「
「何を?」
今度は彩音がチッチッチッと指を振りながら近付いてきた。2人とも莉斗の母親のように何を買うかに口出しをしてきている。
それで助かる面ももちろんあるのだが、やはり好みがわかっていることに関してはある程度自由にさせて欲しかった。
「海で海柄なんて、全裸だと思われるよ!」
「いや、それはないと思うけど」
「通報されても文句言えないよ?」
「水着見せたら解決するよね」
「だからこのハート柄にしよう!」
「絶対にイヤだよ?!」
彼女が差し出してきたのは、カートゥーン系のアニメでしか見ないような白地にハートが沢山描かれた水着。
ムキムキの男がこれを着ていたら、むしろ面白さが出てくるというものだけれど、ひょろひょろの莉斗が着ればなんのユーモアの欠けらも無い。
「ええ、これ着ればナンパされないよ?」
「そもそも、その心配がないから大丈夫」
「他の人がしなくても私がするよ!」
「いや、なんで?」
なんだか様子がおかしいとは思ったが、どうやら2人とも水着選びでテンションが上がっているらしい。
とにかく、自然界で生き残るつもりもナンパ回避をする必要性もないので、何とか2人を説得して海柄の無難なもので許してもらった。
「まあ、脱がせたら同じだものね」
「水着なんてただの飾りだもんね」
「どうしてその前提なの?!」
「「……え?」」
何だかものすごくよからぬ事を企んで居そうな2人から少し距離を取りつつ、小さいサイズの置かれたエリアで悩んでいる
「2人はどんなのが欲しいの?」
「色違いのがいいよな」
「茜ちゃんとペアがいいです!」
ある意味両思いな双子を微笑ましく思いつつ、一緒に似合いそうなものを探してあげることにした莉斗。
しかし、それが誰も予想していないような困ったことに繋がってしまうのであった。
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