第129話 蒸れた肌は夏の風物詩
「
「何か用事か?」
「まあ、そんなところかな」
「わかりました、リビングで遊んでますね」
2人が部屋に寄り付かないようにしてから、彼を部屋へと連れ込んだ彩音は、頬を赤らめながら詰め寄ってくる。
「さてと、始めよっか」
「な、なにを?」
「約束したじゃん、耳舐めるって」
「本気だったの?」
「もちろん! クズな先輩にあってムカムカ……いや、ムラムラしてるからさ」
「変に言い直さないでよ……」
「ふふ、今更照れなくてもいいのに♪」
彼女はペロッと舌なめずりをすると、躊躇いなく莉斗の耳を唇だけでハムハムとした。
この何とも言えない刺激だけでも、彼の体が小刻みに反応してくれて、それを感じられるだけで満たされるものがある。
「も、もし茜たちに聞かれたら……」
「あの子たちいい子みたいだからね。ちゃんと言うことは聞いてくれると思うよ?」
「ま、万が一ってこともあるしさ」
「もう、これから楽しいとこなのにうるさいよ」
「んっ……?!」
彩音は口を塞ぐという名目で唇を重ねると、真っ赤になって口を噤む彼を愛おしそうに見つめた。
そして手で脇腹や太ももを撫でながら舌を絡め合い、お互いの体温を高めていく。
彼女が太ももの内側を
「あっ……莉斗君、くすぐったいよ」
「少し蒸れてるね」
「恥ずかしいから言わないで」
「ストッキング、脱がせてもいい?」
「……いいよ」
了承を得るよりも先に手をかけていた彼に微笑んだ彩音は、脱がせやすいように片足ずつ持ち上げてくれる。
スカートなせいで見えてしまっているけれど、今の雰囲気ではわざわざ口に出す程のことではなかった。
「中も汗かいてるね」
「今日、暑かったから……んっ……」
少し湿った肌を手のひらで撫でてあげると、彼女は下唇を噛み締めて耐えるような表情でその動きを見つめ続ける。
それが可愛くて、つい意地悪をしたくなってしまった莉斗は、スカートに隠れた部分にまで手を滑り込ませてみた。
「っ……莉斗君……」
「ギリギリを撫でられるの、どうかな」
「ぞ、ゾクゾクする」
「……可愛いよ、彩音さん」
下着に触れないように、局部に当たってしまわないように。ギリギリのラインに指を這わせる度、どこか期待したような視線と漏れる喘ぎ声にものすごく興奮する。
「ねえ、キスも」
「うん」
手の動きは止めないまま、唇をもう一度重ね合わせた。そのまま押し倒すように床に倒れ、体を重ねながらお互いのギリギリに触れ合う。
そのどうしようもなく昂る気持ちが、触れて欲しい部分に触れてもらえないもどかしさが、全てキスに変換されて相手を激しく求めた。
「はぁはぁ……莉斗君……」
「彩音さん……はぁはぁ……」
このまま越えてしまいたい。そんな考えが過ぎるのを、必死に理性で押さえつける。
我慢する意味なんてあるのかという心の声がそれを退けようとするが、やはり理性で跳ね返した。
「莉斗君、好き」
「僕も好きだよ」
今はただ言葉とキスと、軽い触れ合いだけ。自分にそう言い聞かせながら1時間ほど耳を舐め合い、疲れに身を任せてそのままうたた寝をした。
「……そういうことか」
「どういうことですか?」
「お前はまだ知らなくていいことだ」
「……?」
ただ、服がはだけたまま眠ってしまったことで、厄介なことが起こってしまったことを2人はまだ知らない。
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