第119話 言いなりにするには与えるべし

 今日の莉斗りとは実に清々しい気分だった。何故なら、課題が全て終わったから。

 夏休みはまだ半分も終わっていないと言うのに、こんなに早く終わらせたのは小学生以来かもしれない。


「お姉ちゃんと何かしてた割には早かったね?」

「っ……だから誤解なんだってば……」


 彩音あやねはあの時のことをまだ根に持っていて、時々こうしてジト目で睨んでくる。

 まだ会話してくれるようになっただけマシだが、信頼を回復するのはまだまだ先になりそうだった。


「莉斗、私たち意外とイチャついたの?」

「ち、違うよ! 向こうから襲われて……」

「それで感じたと?」

「っ……」

「はぁ、そろそろ調教してあげないとダメみたいね」


 ミクはそう言うと、彼の首筋をそっと撫で上げてから顎をグイッとやる。

 そしてじっと目を見つめてくると、怯える莉斗の顔を前に愛おしそうな表情でため息をついた。


「莉斗も私たちだけのものになりたいわよね?」

「それは……なりたいけど……」

「なら、どんな辛い調教も受けるわよね?」

「つ、辛いのは嫌だよ……」

「……あ?」

「ひっ?! う、受けます……」


 ほぼほぼ脅しのようなものに屈してしまい、にっこりと微笑んだミクに早速キスされてしまう彼。

 そのうちに彩音がどこからか持ってきた紐で腕を縛ると、2人がかりでベッドの上にポイッと放り投げた。


「な、何をするの?」

「心配はいらないわよ。莉斗が私たちのことしか考えられなくするの」

「薬でも飲ませるつもり?」

「精力増強剤なら飲ませてあげれるけど?」

「や、やめてくださいお願いします……」


 そんな会話をしている間にも脚を縛られ、シャツを脱がされてしまう。

 2人は少し汗ばんだ肌を人差し指で撫でると、くすぐったそうな反応を見て愉しそうに笑った。


「今からすることに耐えられたら、彩音さんもお姉ちゃんとのことは忘れてあげる」

「も、もし耐えられなかったら?」

「莉斗君の童貞をこの場で奪う」

「そ、それだけはご勘弁を……」

「じゃあ、必死に耐えればいいよ」


 無情にもそう言い放った彼女は、自分もシャツを脱ぎ捨ててから莉斗のお腹をじっと見つめる。

 それからミクと目配せをすると、「じゃあ始めるね?」と呟いて口を開けた。


「え、ちょ、まっ―――――――」


 静止する声を無視して、2人は彼のお腹に噛み付いてくる。かぷかぷと甘噛みを繰り返し、チロチロと舐めてはまた噛み始める。

 そんなことをされれば平然としていられるはずもなく、彩音がへそに舌を突っ込んだ瞬間に体が大きく跳ねた。

 それでも止めてもらえない刺激に、莉斗は自分の体が熱くなっていくのを感じる。


「そろそろ、これ付けよっか」


 そんな時に目隠しをつけられてしまえば興奮は最高潮に達し、いつの間にか口内に侵入してきていたどちらのかも分からない舌を自ら絡めに行っていた。


「莉斗、こっちも……」


 途中から舌の数が増えたような気がする。それでも変わらず絡め続けた彼は、気が付けば時間も忘れて欲望に溺れていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る