第50話 させられる我慢は体に良くないが、自主的な我慢は場合によりけり

「今日は私が莉斗りとを独占するから」


 放課後になるなりすぐにそう言って莉斗の腕を掴んだミクは、呆然とする彩音あやねをその場に残して足早に教室を後にした。


「ど、どうしたの?」

「いいから早く帰るわよ」


 何か用事があるのか、グイグイと引っ張られるがままに彼も帰路を歩む。

 普通に帰ってくる半分ほどの時間でミクの家に到着した莉斗は、彼女の部屋へと連れ込まれてベッドに押し倒された。


「ミク?」

「莉斗、今日は私だけを見て」

「う、うん……」


 ミクの様子のおかしさに戸惑いながらも、首筋にされるキスを大人しく受け入れる。

 ただ、やはりいつもと違ってかなり激しい。あまりの刺激に、彼は思わず彼女の肩に手を当てて引き離してしまった。


「はぁはぁ……今日、どうしたの……?」

「……だって、1週間ぶりの莉斗なんだもん」


 そう言われて思い返してみれば、確かに最後にこんなことをしてから時間が空いている。

 ミクがお父さんのところに行ったり、莉斗が熱を出したりしたというのもあるが、ここしばらくミクからは何もしてこなかったのだ。

 てっきりそういう気分じゃないのだとばかり思っていたけれど、話を聞く限りそうではなかったらしい。


「ほら、男の子ってアレをしばらく禁止すると、久しぶりにした時に気持ちいいって言うじゃない?」

「アレって何のこと?」

「……ばか、言わせないで」


 本当に初めは何について言われているのか分からなかったが、その反応を見て察せた。

 確かにそういう話は聞いたことがあるし、興味を持ったことだってもちろんある。禁止できたかと聞かれれば、彼はノーコメントにさせてもらうが。


「こうして舐めるのも、我慢すればたくさん興奮出来るのかなって思ったのよ」

「実験結果はどう?」

「っ……す、すごく興奮してるわ……」


 ミクはそう言いながら自分の下腹部を押さえると、体をビクビクとさせて艶めかしい声を漏らす。

 興奮によって大量分泌された唾液で口内をねっとりと湿らせつつ、彼女は熱い吐息をゆっくりと吹きかけてきた。


「莉斗は鈴木すずきさんにされてたんでしょうけど」

「あ、あはは……僕は禁止してなかったかも……」

「莉斗は一日でも我慢できないもの、仕方ないわ」


 ミクはそう言いながら自分の制服のボタンを外してしまうと、前を大きくはだけさせたまま抱きついてくる。

 そして胸をわざとらしく押し当てながら、見せつけるように舌なめずりをした。


「その代わり、私の興奮が収まるまでは休ませてあげないから」

「が、頑張るよ……」

「ふふ、朝まで付き合ってね♥」


 その後、結局莉斗の体は朝まで持たず、その埋め合わせとして翌日の夜に2回戦が行われることになったらしい。

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