第24話 愉しいアソビ
初めこそ
「あーあ、お兄ちゃんを舐めてくれるのは美月しかいなくなっちゃったね?」
「それは美月が意地悪言うから……」
「お兄ちゃんは感覚が麻痺してるんだよ。2人がしてたことはゴムありの性行為と大差ないよ?」
「そ、そんなこと……」
「妹としてこんな兄を持ったことが恥ずかしいよ」
罵りながらも定期的に脇を舐める舌を動かされ、強く反論したいのに脳みそが働いてくれない。
莉斗は自分自身でも、妹の手のひらの上で踊らされているだけなのだと分かっていた。
「お母さんにも学校にも言われたくないこと、ずっと2人でしてたんだもんね?」
「っ……」
「お兄ちゃんがこんなことしてる間、美月は学校で辛い思いしてたんだよ」
思春期真っ只中。友人関係が最も大事だとすら思えるこの時期に、昔の恥ずかしいエピソードを暴露されて笑いものにされる。
気を遣ってくれる友達の視線すら嫌になって、それまで休み時間に一緒にトイレへ行っていたグループからは距離を置かれた。
自らぼっちを選んでのうのうと暮らしている兄に、そんな自分の気持ちが分かるはずがない。
「全部お兄ちゃんのせいだ」
「美月、ちゃんと謝るから……」
「何回も言わせないで、絶対に許さない」
美月は莉斗の顔を掴んで軽く頬に指をくい込ませると、鼻先が触れ合うような距離まで顔を寄せて言った。
「美月はね、お兄ちゃんのその快感に歪む無様な顔がたくさん見たいんだ」
「そ、そんなこと……」
「抵抗したら言い付ける。美月から距離を置こうとしても同じ。美月が好きな時に好きなだけさせてくれれば、これ以上酷いことはしないよ」
「もちろん、それ以外の時ならあの女に舐められてもいいよ」という言葉に、部屋の隅にいた彩音はホッと胸を撫で下ろす。
「でも、美月の命令は絶対だから。破った時はどうなるかわかるよね?」
「……」
莉斗は見下ろしてくる妹の瞳にゴクリと生唾を飲み込んだ。彼女からは絶対に逃れられないし、下手すれば一生好きなように使われるかもしれない。
そう思うと微かに震えてしまう指先を見てにっこりと怪しく微笑んだ彼女は、莉斗の左耳の穴を指で弄りながら右耳に向かって囁いた。
「でも、覚えとけよ。お兄ちゃんは美月のおもちゃだから。気持ち悪い顔見せて美月を愉しませるおもちゃ」
「っ……」
「飽きるまではお兄ちゃんのことも気持ちよくしてあげるよ。その後は……使い物にならなくしちゃうかもだけど」
愉快そうに目を細めながら「あはは♪」と笑う妹に莉斗は恐怖を感じつつ、実妹に対していけないことだと分かっていながらも密かに背筋をゾクゾクとさせていたのだった。
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