第18話 身も心も綺麗にしたい
「お兄ちゃん、起きて」
「ん、
翌朝、美月に起こされた
妹がここにいるということは、一緒に寝落ちてしまった
「……あれ?」
「どうしたの、お兄ちゃん」
「いや、何でもない」
しかし、キョロキョロと部屋を見回してみても、彩音の姿は見当たらない。もしかすると朝早くに起きて家に帰ったのだろうか。
「寝ぼけてないで早く支度して。遅刻するよ」
「わかった、ありがとう」
相変わらず無愛想な表情のまま部屋から出ていく美月を見送った後、莉斗は体を目覚めさせるために大きく伸びをした。
「ねえ、莉斗君」
「っ……彩音さん、居たの?!」
「そりゃ居るよ、一緒に寝たんだから」
状況を聞いたところ、近付いてくる足音で目を覚ました彼女は、危険を察知して素早くベランダに隠れてくれていたらしい。
そのおかげで美月に変な疑いをかけられなくて済んだのだから、莉斗はその判断の速さに感謝しないといけない。
「それにしても、あのまま寝たから少し汗臭いね」
「確かにちょっと臭うかも」
そう言われて始めて気がついた。お互いに引っ付いて寝たことや、体温が上がったままだったせいもあって、普段の寝汗よりもすごい気がする。
このまま学校に行くというのは、ぼっちの莉斗ですら少し躊躇われた。
「シャワー浴びてから行こっか」
「え、彩音さんがそんなことしたら美月にバレちゃうよ」
「莉斗君は女の子に汗まみれで学校に行けって言うの?」
「そういう意味じゃないけど……」
莉斗だって出来ることなら、彩音にはスッキリしてから登校してもらいたい。
しかし、本来この家には兄と妹しか居ないわけで、彼が別の場所にいる時に美月がシャワーの音を聞いてしまったら、不法侵入者だと思われかねないのだ。
「だからシャワーは諦めて――――――――」
「莉斗君、頭を使おうよ」
「……え?」
しっかりと伝えたはずだと言うのに、彩音は莉斗を連れてこっそりと部屋から風呂場まで移動すると、2人っきりの脱衣所で服を脱ぎ始める。
「どうせ莉斗君も汗かいてるんだし、一緒に入っちゃえばいいの」
「なっ?! そんなの無理だよ!」
「逃がすわけないじゃん」
彼女はくるりと背を向けた莉斗の腕を掴むと、強引に自分の方を向かせてパジャマのボタンを外し始めた。
「もう恥ずかしいことなんてないよ」
「そ、そんなことないよ……」
「あれだけ可愛い声聞かせてくれたのに?」
「っ……」
彩音は彼が昨晩の自分の姿を思い出して怯んだ隙を見逃さない。
開ききったパジャマの隙間から素早く入れた手で背中を撫でると、軽い喘ぎを混ぜつつ莉斗の耳元で大人っぽく囁いてあげる。
「彩音さんが耳の奥まで洗ってあげるから……ね?」
「……お、おねがいします」
汗だくなクラスメイトと秘密の混浴。朝から体験するにはあまりにも刺激的なシチュエーションに、莉斗は呆気なく堕ちてしまうのであった。
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