第2話 白い部屋
灰都幹也。23歳。大学卒業後、就職するが長く続かず、現在はフリータとして、必要な時のみバイトをしている。
気が付くとそこは白い部屋であった。光源もないのに視界ははっきりしている。
「う~ん...」
隣から、唸り声が聞こえる。左に目をやると、少年が横になっていた。
この意味不明な状況について何か知っているかもしれないため、少年を起こすことにする。
「おい、大丈夫か?」
「...」
知らない人の体に触れるのは、若干の抵抗はあるが背に腹は代えられないと思い、体をゆする。
「ふぁ~、今は...」 少年は右手首を見た後、上体を伸ばしている。
「ここをどこか知っているのか?」早口に聞く
「...、いや知らない。けど知ってそうな人が来たみたいだよ」と少年は前方に指を向けた。
指をやった方を見ると、作業着を着たおじいさんが歩いてきた。
「どうも、よろしくお願いします。灰都さんと阿部さん。作業担当の鴨居と申します。」
と柔らかな笑顔で手を広げた。
「詳しい作業内容については、作業場で説明させていただきますが、簡単にこの世界について紹介させてもらいます。」
「この世界は拡張仮想空間と呼ばれる場所です。今流行りのVRの進化系だと思っていただければ問題ありません。」
「ただ、この世界はまだ未完成でまだまだテストプレイが必要なんです。そこでテストプレイヤーとしてバイトを募集した通りです。手荒な真似をしたことについてお詫び申し上げます。まだ世の中には出す技術ではないので。」
(はぁ、とりあえずのバイトのために来たのに面倒なことになったな)
「つまり、俺はこの仮想現実のテストプレイをすればいいということか。」
「おっしゃる通りです。ステータスと心の中で念じてみてください。」
(・・・胡散臭いけど、ステータス)
すると、青白い画面が浮かび上がっている
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灰都幹也 LV1
HP 15 +5
MP 12
攻撃力 10
守備力 8
魔力 1
抵抗力 2
<スキル>
剣術 LV1
生命力 LV1
<称号>
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(うわ...なんだこれ。すごいな、スキル剣術まであるのか)
(小学生の頃、剣道をやっていたけど、その経験を読み取ったことだよな)
「ご覧になられましたか?」
と言いながら鴨川が覗き込んできた
「おや、珍しいですね、スキル持ちですか。初めて見る事例ですね。」
「まあ、ダンジョンに潜れば割とすぐ手に入るスキルですし問題はないでしょう。」
「歓迎します。ようこそ、深海村へ」
「ここで待っていても仕方がなさそうですし、僕は先に進みます。」
開かれた扉の先に灰都たちは進むのであった...
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