第140話<光り>

こんな状況で、笑顔なのはウスロスだけで。

落ち込む俺と同様に、頂上の空気は静まり帰っている。


「試したい事が有る……」


そんな静寂を破ったのは、トウの一声だった。


「何か生き返らせる方法が有るのか!? 」


諦めかけていたエミリと俺の表情は、驚きを隠せない。


「……正直、試した事は無いから解らない。だが、やってみる価値は有ると思う」


そう言ってトウが取り出したのは、何やら液体の入った小瓶。


「自分が持っている特典スキル、不死鳥の涙は一日一回誰でも蘇らせる事が出来る。

其れを何か有った時用に、小瓶に集めておいたんだ」


一通り話し終えると、トウはガオン達の遺体に一滴ずつ垂らしていく。


「だが一日一回という縛りが有る以上、蘇れるかどうかは解らないがな…… 」


泣き続けていたエミリに期待を持たせすぎない様にか、トウは不安を付け足し。


真剣な表情でトウの説明を聞いていたエミリは、祈る様に皆を見つめている。






「やはり駄目だったか…… 」


諦めた様に、俯いたトウは呟き。


其れを聞いたエミリが両手で顔を塞ぎ、また泣き出しそうになると…… 。


不死鳥の涙を受けたガオン達の身体を目映い光りが包み、頂上中を照らすのだった。

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