第141話<悪魔の笑顔>

余りの眩しさに、状況がどうなったのか解らない。


そもそも鳥の姿のトウが、何処から小瓶を出したんだ。


もしかしてアイテムボックスか?

アイテムボックスなら保存状態は変わらないはずだ。

だとすれば、一日一回という縛りをくぐり抜ける可能性は有るかもしれない。


そんな事を考えていると、強烈な光りがゆっくりとガオン達に収束していき。


消えると同時に、聞き慣れた笑い声が響く。


「ガハハ~!! 死んだと思ったが、なんだか生きてるな!! 」


「ガオン!!身体は大丈夫なのか? 」


「ガハハ~!!更に強くなった気がするので戦いましょう!! 」


さっき迄死んでた奴の台詞じゃないな、やはり心配した俺が馬鹿だった。


「何だい、寝起きから煩いね」


「ルミニーさん!!」


フラフラとよろめきながら、エミリはルミニーの傍に駆け寄って行き。


泣き出すエミリを、ルミニーは笑顔で優しく抱き締め。


エミリを抱き締めるルミニーを見て、ルドエルとリジョンは笑い合っている。


「……来世じゃなさそうですね」

「まだ肩身狭いのが続くみたいだな」




一方、ゴブド達も目覚めていく。


「……アレッ、命懸けで川泳いでいたんッスけど」


命懸けっていうか、本当に命懸かってたけどな。


「綺麗ニャお花畑ですわ……、はニャ? 」


「お嬢様お気を確かに……」


何だか夢の様だが、全員無事で安心した。


何よりも、泣き顔のままエミリが笑ってるのは可愛くて良い。


つられて、こっち迄泣きそうになってしまう。



そんな時だった、何か悪意というか妙な気配を感じる。


其れは数分前から、笑顔の消えたウスロスではなく。


いつの間にか、背後から俺の二の腕を笑顔でしゃぶる。

……ネズだった。


思わず笑ってしまう。

そうだよな。

コイツ達は俺を泣かしてなんかくれない。

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