第134話<暗転>

「ククク……、 それではつまらないでしょう」


イヤ……、それ自分が面白くないって事じゃねーのか。


明らかに、魔王相手に言う言葉じゃねーだろ。


もう返す言葉も思い付かねーよ。


……って、また無言。



何なんだ、この展開は。

こんな強敵との戦闘って普通アニメだったらラスボスだぞ。


クライマックスシーンで俺がウオォオ~!!って倒す場面だろう。


それなのに、いつも通り振り回され……。


あ゛~~!!

ガンガンうるせ~セト!

ちょっと待ってろ。



「ククク…… 。勿論お手伝いさせて頂きます、魔力を貸すなんてのはどうでしょう」


怖えぇ。

やっと、まともな事を言いやがったよ。


それにしてもコイツ状況見てたんじゃないかって位に、丁度良い事言いやがる。


何か裏が在るのか?

コイツにしては気が効きすぎな提案だ。


だが今は其の提案に乗る以外に、方法が無いのも事実。


コイツが戦ってくれた方が話しは早かったのだが、そんなに都合良くはいかないか。


「よかろう。お主の魔力借りようぞ」


もう魔王っぽい返答とやらが解らなくなってきたが、成るようになれだ。


もう気にしてる余裕も無いけど、案の定ウスロス目茶苦茶笑ってるじゃねーか。


戦闘にならないだけマシかもだが、コイツ絶対俺が魔王じゃないって解ってるよ。


そんな事を考えていると、ウスロスの強大な魔力が俺に注がれ。


それと共に俺の意識が、どす黒い何かに覆われていく。


「ククク……、其れではお楽しみ下さい」

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