第128話<自由>

「何か空気が変です、其れにヤバそうな奴が居ますよ」


ゴブドとウルルが、警戒した視線を合わす。


「ガハハ修行にピッタリだな、お前達倒してみろ」


セトを二度見した二人は、悪い予感が当たったかの様に再び視線を合わす。


「コレは命懸けでもヤバそうですね……」


「そうニャる気はしていました、骨は拾って貰いますわよ」


「お嬢様、今回ばかりは私も手伝わして頂きますぞ」


「鼻が曲がりそうだから、私も助太刀しますわ」


ゴブド・ウルル・ジトー・ネズの四人が身構え、ガオンは腕を組み笑って見ている。



何か魔王である俺を差し置いて、話しが勝手に進んでいきやがる。


もうコイツ達の変な師弟関係とか自由度は俺では、どうしようもないな。


「……好きにするがいい」


一応其れっぽい事を言って見届ける事にしたが、俺の出番は無いかもしれない。


最近のゴブドはかなり強くなっていたし、一緒に戦うのが三人も居る。


確かにアイツはヤバイ奴だが、今のゴブドがそう簡単に負けるとも思えない。


そんな事を考えていると四人は駆け出し、戦闘の火蓋は切って落とされる。


ニヤついたセトが右腕を上げると、其の手は食虫植物の様な触手に変わり。


駆け寄るウルルに襲い掛かる、其の触手をジトーが払いのけ。


其の隙にゴブドが放出した粘糸を、ネズが巻き付け縛り。


糸巻き状態で、身動きの取れなくなったセトが転がり。


呆気なく決着は着いたかに見えた、だがセトのニヤついた表情は変わらず。


セトが口から何かを吹いたと同時に、辺りの霧は濃くなり。


視界は遮られ、其の数秒後。


其の場に立っていたのは、いつの間にか自由になったセトと俺だけで。


他の者は全て、苦しそうに胸を押さえ倒れているのだった。

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