第129話<ドラマチック>
コイツは確か毒を使う奴だったはず、という事はさっきのは毒霧か。
以前の戦いで勝利した俺は[魔王らしきもの]になり、強毒耐性を得ているから効かないようだが。
ガオンが勝手に決めた展開に乗せられ、考えが追い付かず失敗してしまった。
敵がコイツだと解った時点で、俺だけが戦うべきだった。
戦闘が始まったのだから、此れはもう生き死にの戦い。
勝った負けただけで決着が着く、子供の喧嘩では無いのだ。
ニヤついたセトが見下ろす仲間達は、苦しそうに這いつくばっている。
どうすれば良い、回復手段は俺には無い。
倒れた仲間の中には、頼れる強者ガオンまでもが含まれている。
彼のガオンですら、毒でやられてしまったのか…… 。
コイツと戦い倒してから、街で回復方法を得る。
もう今にも死にそうなゴブド達を見ると、そんな時間が在る様には思えない。
止まらぬ俺の後悔を味わう様に、セトはニヤニヤと俺を眺めている。
其の時だった。
突如、巻き起こる強風が辺りの毒霧を晴らす。
「……グッ。 ガハハ~、毒とは中々やるな~!! 」
強風は立ち上がり笑い声を上げる、ガオンの戦斧が巻き起こしたものだった。
強気な笑い声とは裏腹に、ガオンの立ち姿はふらつき。
今にも倒れそうだが、セトに立ち塞がる。
「……大丈夫なのかガオン? 」
「ガハハお任せ下さい魔王様、強者と戦うは戦士の誉れ!」
ガオンは真っ向からセトに駆け寄り、戦斧を降り下ろし。
守ろうとしてセトが繰り出した腕の触手ごと、セトを両断。
セトの緑色で大量の返り血を浴び、そのままガオンは倒れるのだった。
「ガオン-!! 」
悲痛な俺の叫び声が響く中、不気味に嘲笑う声が聞こえ。
分断された身体からセトは、再び再生され。
ドラマチックだったでしょと云わんばかりに、ニヤついた表情でガオンを見下ろすのだった。
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