第80話<眠れない夜>
マオーとクイーンが、魔王城で戦っていた頃。
ガオンとゴブリンの二人は向かい合い、森の奥で剣を交わしていた。
「ガハハ、もっと剣は腰を入れて振らんとな」
「ハイ!命懸けでやらせてもらいます」
ゴブリンはガオンの言う通りに剣を振り、ガオンに立ち向かうのだが敵う訳もなく。
弾き飛ばされては倒れてを、ずっと繰り返している。
「ガハハ。もっと、こう振るんだ。こうだガハハ! 」
ガオンは戦斧を振り手本を見せるが、ゴブリンは立ち上がれなくなってきている。
息を切らし何とか立ち上がるゴブリンだが、ガオンは手加減なんて知らない。
ガオンに一撃入れたら終了という、この修行はゴブリンがガオンに頼んだものだった。
キラーアント戦で、魔王の役に立てなかった事が発端なのだが。
抽象的で大雑把な説明しか出来ないガオンは、明らかに教育者向きではなかった。
其れでも面白がって続けるガオンと、命懸けで諦めないゴブリン。
いつまでも、鳴り止まない剣と戦斧の激突音。
修行という名の、眠れない夜が始まっていた。
一方で領主の集めた兵士達20人は、馬に乗り魔王城へと向かい進んでいて。
夜になった現在は、野営の準備と食事を済まし。
会話する二人の見張り以外は、テント内で寛いでいた。
「魔王が居なくなったなんて本当なのか…… 、調べたのB級の女冒険者なんだろ」
「今回の調査で、其の女冒険者A級に上がったって聞いたぞ」
「ハハッ……。何がA級だよ、どうせ弱い魔物倒して騙してるだけだろ」
兵士は馬鹿にした様に鼻で笑い、枯れ木を火にくべる。
「街では勇者誕生だって、持ち上げられてるらしいぞ」
「……気に入らんな。倒した魔王とやらと、俺も戦ってみたいもんだぜ」
「まあ残党位なら居るかもしれんぞ、出来れば俺は戦いたくないけどな…… 」
「消えた大量の骸骨兵か……」
「もしも居たら厄介だぞ。昔は百を越える骸骨兵が、居たらしいからな」
「ハハッ……。昔の話しだろ、何だ兵士のクセに不安なのか」
「多少はな、どちらにしても昼には着くから解るだろうけどな……」
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