第11話 チキン南蛮

 チキン南蛮とは、鳥のもも肉や胸肉の一枚肉を唐揚げして、その上に甘酢あんをかけて、更にタルタルソースをかけた食べ物で有る。チキン南蛮の発症は宮崎県で有る。

 一枚肉を使う場合も多いが、鶏の唐揚げに甘酢あんとタルタルソースをかけた場合も有る。


 鶏の唐揚げ自体で十分に美味しいが、甘酢あんとタルタルソースのコクが一緒に成ると、新しい美味しさが生まれる!!

 私も、チキン南蛮は好きな料理の1つで有るが、その料理を昔から知っていた訳では無い……。チキン南蛮を最初に知ったのは居酒屋で見たメニューだった。


 しかし、その時は複数人の人達と飲食をしており、また当時の私にはメニューの決定権が無くて『こんな料理も有るんだ…』としか思わなかった。

 今日こんにちではスーパーの惣菜コーナー、コンビニ、更にはファミレスのメニューに成る程の定番メニューに成長したが、私がチキン南蛮を知った当時は、居酒屋のメニューでしか見る機会が無かったし、気軽には食べられなかった。


 私が初めてチキン南蛮を食べたのは、チキン南蛮の発症で有る、宮崎県内のと有る喫茶店で有る。

 別にチキン南蛮を求めて行った訳では無い。九州にドライブ旅行に行った時に、昼食で偶々たまたま入った喫茶店で食したのだ。


 その時は市街地で昼食を食べ損ねて、山あいの国道を走っていた。天気も薄曇りで、ドライブには向かない天気の日だった……

 車内の時計を見ると、時刻も14時近くで有って、ランチタイムも終了と成る店が殆どだ……


(折角、旅行に来ているのに昼飯は抜きか…)


 と思いながら車を走らせている私……

 山あいの国道なので、お店自体が殆ど無く、有っても民家ばかりだ。当然、コンビニも無い……


 昼食は諦めるしか無いなと思った時、道の遠くに喫茶店が見えた。

 私は『ここで食べないと、本当に昼食が抜きに成ってしまう…』と感じて喫茶店の駐車場にハンドルを切る。


 やや広めの駐車場には車は殆ど止まっておらず、時刻も14時を過ぎていたため、休憩に入ってしまったかと思ったが、喫茶店の看板に付いているパトライトは回転しており、店内も明かりが付いているため営業している感じだ。


 私は店内に入り適当な席に座ると、本当にマダムみたいな人がお冷や(水)を持って来た。

 私は『場違いな店に来てしまった!!』と思ったが、ここで逃げ出す訳には行かない。

 ここで逃げ出すと、本当に昼食が抜きに成ってしまうからだ!!


 マダムは『注文は?』と聞いてくるが、私は『すいません、まだ決まってな いので…』と言うとマダムは『決まりましたら、声を掛けてください』と言い、厨房か店の奥の方に戻っていった。

 私はお冷やを飲んで、店内全体を軽く観察する。


 店内は、昼間は喫茶店で営業して、夜はスナックに営業形態を変更する感じだ。

 山あいの店舗で土地が安い事も有る所為か、店内は意外に広くてカラオケの機械が置いて有る。店内の内装もスナックの店舗の内装に近かった。

 私以外に初老に近い男性も店内に居た。私を含めて、2人から3人のお客さんが居るようだ。


 私は、テーブルの横に置いてあるメニューを開いて、どんな食べ物が有るか物色する。

 喫茶店だけど、ハンバーグやトンカツ等の定食も充実しており、近隣の食事処も兼ねている感じだ。


 無難なカレーライスや、トンカツ、ハンバーグを定食で頼もうかと考えていると、チキン南蛮が私の目に付いた!

 その時の私はもう、チキン南蛮が宮崎県発祥の料理だと知っていたので、チキン南蛮を食べて見る事にした。


 マダム(スタッフ)を呼んで、チキン南蛮を定食で注文する。

 注文の品が出来るまでの間、週刊誌でも読もうかと思い、店内の本棚に向かうが新聞とレディースコミックしか置いていない……


 その時、私は初めてレディースコミックを読んだのだが、濡れ場が多すぎて……喫茶店で読むコミックとは言えなかった。

 それでも他に読む物も無いし、携帯電話(※)もバッテリー残量がとぼしかったので、レディースコミックをドキドキしながら読んで、料理が来るのを待った……


(※)当時はまだ、スマートフォンがブームになって無く、3G世代の携帯電話が主流だった


 揚げ物なのでやはり調理に時間が掛かり、かなりの時間が経ってからマダムがチキン南蛮定食を私の元に運んでくる。

 私はマダムに会釈をして、人生初のチキン南蛮を食べる!

 記憶は曖昧なのだが、チキン南蛮が乗っているお皿にはチキン南蛮、レタスとキュウリのサラダ。味噌汁、ご飯、漬け物だったはずだ……


 味噌汁を飲んで、チキン南蛮に挑む!

 一枚肉の鳥もも肉は、食べやすいように包丁が入っており、たっぷりの甘酢あんとタルタルソースがかかっていた!

 端から食べずにいきなり、チキン南蛮の真ん中部分を箸で掴み、甘酢あんとタルタルソースがこぼれ落ちないうちに大きな口を開けて頬張る! 恥ずかしいとか関係ない!!


 口に入れた瞬間……、かなり甘い甘酢あんと自家製だと思われるタルタルソー スの濃厚な味が一気に広がっていく…。その後にから揚のパリパリ感と、鶏肉の旨みが加わって『こんな美味しい食べ物有るんだ!』と心の中で感激した!!

 甘酢あんがかなり甘いので、ご飯と一緒に食べるのは私の中では少し微妙だったが、これがおつまみだったら『最高のおつまみだよね!』と思いながらチキン南蛮を食べた。


 どうりで、居酒屋のメニューに有る訳だ!

 衣もサクサクしており、鳥のから揚だけでも十分美味しい。

 チキン南蛮定食を完食して、お冷やを飲み干して、喫茶店を後にする……

『大当たりのお店に入れて良かった』と考えながら運転をして、旅行の続きを楽しんだ……


 私が、初めて食べたチキン南蛮の話で有る。

 その後は中々、チキン南蛮を食べる機会が無くて……数年後に、コンビニの惣菜コーナーで見かけて、そこから私の好きな料理に成っていった……


 チキン南蛮もお店によっては、鳥もも肉を使う店と鳥胸肉を使う店と出てくる。

 どちらも美味しいが、私はやはり、鶏もも肉の方が好きだ。


 今ではすっかりお馴染みに成ったチキン南蛮……

 美味しい料理が気軽に食べられる、買える事は嬉しい限りだ!!


 第11話 おわり

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