第9話 ドラフト3球団指名

橘は横浜中華街にある定時制に通うようになった。

朝からお好み焼き屋で仕事をし、夜になると定時制で勉強をする

もちろん、授業をまともに受けるわけでもないが、定時制の野球部に入部したので、授業終わりの部活には必ず出る事にした。


準徳高校でやっていた、甲子園を目指す野球とは天地の差であった。

野球が出来る人は数名、あとは草野球レベルにも至らない。

ただその当時のキャプテンに

『どうだ⁉️今までやっていた野球とは全く違うだろ⁉️(笑)でもここにいる奴らも本当に野球が好きなんだよ😁橘がもっと野球の楽しさを教えてやってくれよ✨』


人に頼られたのは、いつ振りだろうか?

その夏、橘達野球部は

夜の甲子園と言われる、定時制通信制高校野球の大会、神宮球場を目指し戦っていた。


神奈川県大会決勝、横浜スタジアム🏟️

途中までリードをしていたが、惜しくも敗れてしまった。

定時制通信制大会とはいえ、神奈川県は学校の数は沢山ある、そして橘の様に昼間の高校でやっていた子達も沢山いるなか、神奈川県の神宮球場常連は、自衛隊の高校生部隊で部員の数、練習場何を取っても昼間の高校と変わらない学校だ💦


橘の通う定時制は、野球のグラウンド等はない

テニスコート2面分で、キャッチボール、トスバッティングをやっと出来るような状態であった。

そんなチーム相手に、学校初の快挙で善戦はしたが、あと1歩の所で負けてしまった😢


本来であれば、橘は高校2年生

甲子園を目指し戦っていた筈だが

橘はまだ高校1年生、神宮球場を目指し戦っていた。


プロ野球のスカウトも気になる頃だが、

横浜の繁華街では、目立つ16歳は

ヤクザの世界に毎週の様にスカウトをされていた


『お兄ちゃん❗』

『なんすか⁉️』

『喧嘩強いやろ⁉️』

『はっ👀💦』

『うちの若い衆にならないか⁉️』

『嫌っす💢💢💨』

こんなやり取りが頻繁にあった


あの日を境に、橘の人生は間違いなく180°変わった

前の世界とは違う常識が、ここの世界にはあった

同じ高校生なのに、みんなが大人と同じ様に働いている、片親が居ない何て言うのは当たり前

自分が今までどれだけ恵まれた環境に居たかが良くわかった。


1日で世の中が変わった💦

間違いなく、あの日を境に橘の人生は

思い描いた道から外れていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る