第8話 人生の転機
抜け殻の様になった橘
隣には、同じ様に悪さをして少し前に学校を辞めていた悪友の長井がいた
プラモデルを作っては、火で溶かし
普通の人には理解の出来ない行動に、橘の兄、健一は心配をしていた。
彼らはもう悪いことはしない、家族に迷惑は掛けないと誓ったようだが、覇気の無さは誰が見ても一目瞭然だ。
見かねた橘の兄、健一は橘、長井をスキーに誘った。
兄『おい、お前ら明日スキー連れて行ってやるから支度しろ』
橘『野球やってんだから、骨折とか出来ないから行かねぇ~よ』
兄『お前、何言ってるんだ⁉️もう野球やってねーだろ⁉️クビになったんだから』
長井『俺、スキーウェアとか、何も持ってないっす』
兄『いいんだよ、ジャージで❗ガキが生意気言うんじゃねぇ~よ』
橘も長井も渋々『どうでもいいや』と言う気持ちで、翌日スキー場に連れていかされていた🎿
今までは、バイクで近所や134号線を走るのが何よりの楽しみであった少年2人に取って、兄貴達とはいえ、子供達だけで車でスキー場に行く感じは、初めての世界で気分が上がった来ていた🎵
『何か来て良かったなぁ🎵』
『ほんとだなぁ🎵』
だが、スキー場に着いて、橘と長井の気分は一転した。
兄『おい、板借りてきてやったぞ』
橘『なぁ、ジャージの奴何て俺らしかいねぇーじゃんかよ💦』
兄『(笑)生意気言うなよ、連れてきてやって、リフト券買ってやって、板借りてやってるんだぞ』
長井『橘、仕方ないよ💦お兄さんありがとうございます』
兄『リフトで上まで行くぞ、あとは勝手に滑ってろ』
橘『リフトの乗り方だって知らね~よ』
兄『お前らには、目が付いてないのか⁉️観りゃわかるだろ』
橘『あいつ‥いつか殴ってやる』
長井『まぁまぁ』
何とかリフトに乗り、降りた所は上級者コース
橘と長井はそんなことすらわからない
上級者コースの急斜面のコブの上に立ち尽くす、薄手のジャージ姿の16歳の少年2人
端から観たら、地元の天才スキーヤー二人組
いつしか、中間付近には、上部から降りてくる2人を一目観ようと、ギャラリーが貯まっている
『何何?どおしたの?』
『何か地元の少年らしいんだけど、滅茶苦茶凄いらしいよ』
『えー観たいねぇ、確かに上で見たけど薄手の普通のジャージだから、只者ではないと思ってたんだよ』
長井『橘~、俺足が震えてこんな急斜面降りれねぇ~よ』
橘『わかるけど、俺ら立ってるだけなのに何であんなに下から俺ら観られてるんだ⁉️』
橘『あー、もう、ムカつく』
橘はいつまでも下で期待してみているギャラリーに腹を立て、思いきって行くことに決めた
橘『直滑降で降りてやる、長井、後からゆっくり降りてこい、骨は拾ってくれ』
そう言い残すと、急斜面のコブを気合いだけで降りていき、ギャラリーのいるジャンプコブに一直線に向かった
橘はそのコブで、初めのスキーとは思えないジャンプをした
それはまるで、空を飛ぶ鳥のように…
綺麗な空に吸い込まれるように…
だが次の瞬間、夢から覚める脚を踏み外した様に、重力を感じ雪の上に叩き付けられた
『ヴゥ~😣いってぇえ~😱』
ギャラリーは蜘蛛の子を散らすよう居なくなった
長井『大丈夫かー⁉️』
長井が斜面にうつ伏せで、雪にしがみつきながら、僅か10センチづつ位降りながら、下の叩き付けられた友達を心配している
地元では無敵の2人は、自分達の世界の狭さをマジマジと感じていた。
2人はその後、親の高校位は出なさいと言う勧めもあり、しかしまた同じ学校だと悪さをするからと別々の定時制に通うことになる
仕事も初め、今迄とは180度違う、少し早い社会人となった。
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