状況説明
ここでざっと、マービンの知識にある情報をおさらいしておこう。
マービンが生まれたのは、<ナハトラ>という国で、このナハトラは、まるで海のように巨大な湖<レゾンドゥ>の畔にあるらしい。とは言え、マービンが生まれたのはレゾンドゥとは反対側にある、隣国<マゼオン>との国境付近の寒村<ドート村>だったこともあって、レゾンドゥは話でしか聞いたことがない。
ドート村にはまともな産業もなかったことで貧しく、農閑期にはそれこそ出稼ぎに出なければ現金収入もないという状況だった。
だから炭鉱夫として働いていたわけだが、この炭鉱、実は大昔からなぜか石炭が採れる辺りで<明らかに人工的に掘られた穴>として存在していて、単にそれを利用してるものらしい。だから、<古代の超文明>とかがあった可能性がある世界かもしれない。
なお、炭鉱があるのは<ボドル>という街の外れで、と言うか、炭鉱をあてにしてボドルができたと言った方がいいようだ。
ボドルは炭鉱のおかげでまあまあ発展していて、そのおかげで治癒魔法が使える魔法使いも集まっていて、落盤事故に巻き込まれたマービンもかろうじて命を取り留めたというわけだ。
で、この<魔法>。残念ながら生まれついての素質に依存しているらしくて、使える者は努力次第で使えるようにもなるが、使えない者には一生かかってもだめだとのこと。そしてマービンには、魔法の才能はない。残念。
加えて、俺は<魔法>と呼んだが、実際には<魔術>と言われるものだそうだ。と言うのも、<魔術>はあくまで素質さえあれば後は技術によって発現するが、<魔法>は百パーセント素養頼みで、魔術が技術なのに対して、魔法はその技術をすっ飛ばして結果だけを発現させる<能力>なんだとか。ただし、数は少ないので、一生のうちに一度も<魔法使い>にお目にかかったことがないってえ人間も珍しくないと。
<魔術師>は割とどこでもいるんだけどな。だから厳密にはマービンを<治癒魔術>で助けてくれたのも<魔術師>であって魔法使いじゃない。
が、こっちの世界の人間でも魔法使いと魔術師の違いを正確に理解してる奴は少ないようだ。だから単に『魔法使い』と言われるとまず間違いなく魔術師を指している。そして魔術師でさえ<本物の魔法使い>にお目にかかれた者は実は少ない。
そんでもって、マービンが今いるのは、ボドルの<貧民街>。出稼ぎの農民やそれこそ最底辺の連中が最底辺の暮らしをしている場所で、要するに<スラム>だな。
毎日のように死体が転がってたりするぞ。
ちなみにマービンが治癒魔術を施してもらえたのは、あくまで人足が減るからであって、善意からじゃない。
そんな社会だ。
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