2-3
大人という単語を掻き消したいわたしは、目一杯否定してしまった……。こんな、小さな子に。
その拒絶を聞き、この二人は怯えて、どこか行くんだろうなあ。という、わたしの予想に反して、
「なら、子ども、なんだ」
「じゃあ、あたしたちの秘密基地に行こっ! 大人は入れちゃダメなんだよっ」
と、わたしの意思を無視に半強制的に、秘密基地とやらに連行される。
ふたりの光るテルテル坊主に手をひかれて走る夜の道路。
なぜか誰ともすれ違わない。車すら通っていない。
お母さんに連絡しないと駄目かなあ。
そういや、走ったのって何時振りだろ。
考えながら、二人にとっての精一杯、わたしにとっての小走りで秘密基地に向かう。
手を引くテルテル坊主が、電信柱と誰かの家の塀との間を通ろうとする。
これ、わたし通れるの? 危ないんじゃないの? あ、危ない?!
電信柱と塀の隙間を、すれすれの状態で通り。行けたぁ。と思った瞬間、わたしの視界は、ブラックアウトし、耳鳴りのように、歯医者に似たあの、きぃぃーーんという音が頭の中でしていた。
――一瞬、ふわりと花の香りがした気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます