2-3

 大人という単語を掻き消したいわたしは、目一杯否定してしまった……。こんな、小さな子に。


 その拒絶を聞き、この二人は怯えて、どこか行くんだろうなあ。という、わたしの予想に反して、


「なら、子ども、なんだ」


「じゃあ、あたしたちの秘密基地に行こっ! 大人は入れちゃダメなんだよっ」


 と、わたしの意思を無視に半強制的に、秘密基地とやらに連行される。


 ふたりの光るテルテル坊主に手をひかれて走る夜の道路。


 なぜか誰ともすれ違わない。車すら通っていない。


 お母さんに連絡しないと駄目かなあ。


 そういや、走ったのって何時振りだろ。


 考えながら、二人にとっての精一杯、わたしにとっての小走りで秘密基地に向かう。


 手を引くテルテル坊主が、電信柱と誰かの家の塀との間を通ろうとする。


 これ、わたし通れるの? 危ないんじゃないの? あ、危ない?!


 電信柱と塀の隙間を、すれすれの状態で通り。行けたぁ。と思った瞬間、わたしの視界は、ブラックアウトし、耳鳴りのように、歯医者に似たあの、きぃぃーーんという音が頭の中でしていた。


 ――一瞬、ふわりと花の香りがした気がした。

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