Episode-Sub1-9 極上の1ゆっさ、2ゆっさ

 おっぱいに腕を挟まれながら、俺たちは川岸へとやってきていた。


 故郷の川の水は澄んでいて、きれいな青空の色が反射している。


 流れも穏やかで、深さも大したことがないので昔はよくウルハと遊んでいたものだ。


 俺もあの川みたいにきれいな心を取り戻したい。もう無理だとわかっていても思ってしまうのは諦めが悪いだろうか。


「わぁっ! すごくきれいです!」


 先ほどまで表情が沈んだ様子だったシスターは目を輝かせて、川へと駆け込んでいく。


「きゃっ。あはは、冷たくて気持ちいいですよ〜!」


 無邪気に楽しんでいる彼女は手を振っている。


 フレア様も小さく胸の前で振り返す。その表情から、よほど二人は親密になったらしい。


「彼女はいいですね。純粋な心で、変な気を遣わなくてすみます」


「シスターは本当にどんな風に育てられたんでしょうね」


「【お金玉公】と呼んでしまうほどですからね」


「フレア様……その名前で呼ばないでください……自分も恥ずかしいので。それにはしたないですよ」


「あの子は普通に呼んでいますよ? 私と差別ですか?」


「ち、違いますよ! それにシスターはこう……綺麗な意味で【お金玉公】と言っているので」


 ……自分で言っておいてなんだが、綺麗な金玉ってなんだ。


「ふふっ、安心してください。ちゃんと理解していますから」


 距離が縮まったのは俺とフレア様もだな。


 クスクスと笑い声を漏らす彼女は等身大なフレア・クレオドールそのままを覗かせてくれるようになった気がする。


「ところで、話は変わりますが……件の彼女、大丈夫なのですか?」


「ははっ、やはりお気づきになられていましたか」


「人の嘘を見抜くのは得意なんですよ」


「へ、へぇ~、さすが」


 自分の嘘も見抜かれているかもしれない。


 いや、こういう時こそ堂々としておこう。


「何か私にできることは?」


「現状は特には。ウルハからまだ何も聞いていませんので」


「ふむ……おおよその予測がつきますが、それなら待ちとしましょうか。あくまで頼られたのはあなたですから」


「彼女から何かがあったらお願いするかもしれません」


「構いませんよ。将来の妻として手を貸すのは当然ですから」


 上手い返しが思いつかなかったのでノーコメントを貫くことにした。


 それすらも察してくれていそうなフレア様はパンと手を叩く。


「さぁ、お話はこれくらいにして遊びましょう! 私も久しぶりに外で遊んでみたかったのです」


 彼女は立場上、自由に外で動き回るのは難しくなっている。


 その点、ここは田舎だし、聖騎士の権利関係に関わっている人物はいない。そもそも病原のジャラクを取り除けたから、しばらくは大聖堂内でも安全だろう。


「自分が見張っていますので思い切りはしゃいでください」


「なに言っているんですか。あなたも一緒ですよ」


「しかし、自分は水着を持っていませんし……そういえばお二方は着替えはどうされるんですか?」


 そう尋ねると、フレア様の目がキラリと光った気がした。


 あっ、マズイ。キラーパスを送ってしまったかもしれない。


「……見たいですか? 私たちの水着?」


「い、いえ! そういうわけでは!」


「見たいですよね? ね?」


 チラチラっと服の裾をめくるフレア様。


 あ、圧が凄い……。


「ライラ。こっちに来なさい」


 それでも煮え切らない俺に押しが足りないと見たのか、シスターを呼び寄せるフレア様。


 目の前に処刑台が用意されている処刑人の気分だ。


「どうしたんですか、聖女様? もう遊びは終わりですか?」


「違います。あなたもせっかく買った服が汚れるのは嫌でしょう。水着に着替えましょう」


「なるほど! そういうことですね! わかりました!」


「あっ、待ちなさい、ライラ」


「ほえ?」


 開放感に脳を支配されたシスターはためらいもなく服を脱ぐ。


 巨大なシスター山脈もまた束縛から解き放たれて、バルンと揺れた。


 彼女が着用していたのは瞳によく似た空色のビキニ。


 ひらひらとフリルが胸全体を隠しているが、それでも存在感は消しきれていない。


 一言で表すならば『柔』。


 フリルの下に続く決して太くなく、それでいてほどよい肉付きのおなか。


 付け根の左右でひも結びされたパンツは修道女服で隠されていた彼女のお尻を強調している。


「ふんぬっ!」


「【お金玉公】!?」


「ああ、気にせず。恒例なので」


 もはや慣れた動きで目つぶしを敢行した俺は痛みに悶えつつ、その場にうずくまる。


 なぜか? 元気になった愛棒を隠すためだ。


 たった一瞬。一瞬映像としてとらえただけで、元気になってしまった。


 恐ろしき破壊力……! シスターってエッチな職業なの……?


 とにかく多量摂取は不味い。理性がやられてしまう。


「ああ、もう……。なにやっているんですか、ライラ……」


「す、すみません~!!」


「大丈夫ですか、私の騎士? ヒールをかけますね」


「はい、ありがとうございまっ……!?」


 おかしい。いつの間に脱がれたのだろうか。


 ドン! と目に飛び込んできた白の柔肌と谷間。


 そして、桃色のワンピース型の水着。


 顔を上げれば、してやったりというフレア様の笑顔があった。


「どうでしょう? 私も結構冒険してみたんですよ?」


 ワンピース型の水着でお腹部分のシルエットが隠れている。なのに、谷間の部分だけ縦にカットが入っていて誰も触れたことがない胸が露出されていた。


「視線が集まっている気がしますね……気のせいでしょうか」


 わかり切っている事実を得意げに……いや、違う。


 フレア様はいたって平静を装っているが、耳はほんのりと赤みを帯びている。


 照れている。照れを隠してなお大胆な水着を披露してくれた。


 その事実が余計に本能をたぎらせて、俺は立ち上がれずに座り込んだままだ。


「【お金玉公】……?」


 心配になったシスターもしゃがみこんで、顔を覗き込んでくる。


 そうすれば当然視界におっぱいは入ってくる……!


 おっぱいが1ゆっさ、2ゆっさ……極上のものが4ゆっさ……!?


 暴力……質と量の暴力……!


「すみません……ちょっとだけ放っておいてください……」


「えっと、わかりました……?」


 何が起きているのかよくわかっていないシスターは首を傾げながらも納得してくれた。


「では、背中をさすってあげましょう。ほら、ライラも一緒に」


「フ、フレア様!?」


「いいですね! お手伝いします!」


「シスターも!? あっ、嘘、やだっ!?」


 フレア様とシスターがそれぞれ挟み込むように座り込み、背中をさすってくれる。


 それもなぜか密着しながら。


 ふにょん。ふにゅん。むにゅむにっ。


 薄い布一枚越しの破壊力は凄まじく、神経が敏感になった俺は背中をつつ~と滑る二人の指にさえ反応してしまう。


「いたいたいのとんでけ~」


 まるで子供をあやすように耳元で囁きだす天然畜生シスター。


「早く元気になって、私たちと遊びましょうね」


 きっとわかっていて、追い打ちをかけてくるフレア様。


 もうバキバキに元気です……!


 しばらくこのままだとわかるくらいにはハツラツです……!


 声に出せない心の悲鳴をあげる。


 雲一つない快晴のもと、突然として左右からの拷問に耐え抜く時間が始まった。


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