Episode2-1 団長のおっぱいが凄すぎて金玉が痛い
美しく咲き誇っていた花々が散り、新緑が芽吹き始めたこの頃。
交流試合も終わり、魔王軍の動きもないため第六番団には穏やかな空気が流れていた。
先日、諸事情があって副団長を降格になったわけだが、やることは変わらずに執務室でリオン団長と書類仕事に励んでいる。
「うーん、今日はいい天気だね~」
ググ~っと凝り固まった背を伸ばす団長。
うむ、今日も巨乳は健在である。
以前までなら書類に視線を落としたり、首を回すふりをして目をそらしていた。
しかし、団長直々にお許しをいただいた今は違う。
堂々と団長のおっぱいを見てもよくなった。男としてのレベルが一段階あがったのだ。
もちろん変態的行為はしないが、気持ち的に楽になったのは事実だ。
神経を使わず、自然体で居れるのだから。
視界にリオンっぱいが映り込む日が幾ばくか続いた結果。
俺の金玉は破裂の危機を迎えていた。
間違いなくアレが作られている速度が速くなっている。
絶対入団当時と比較して金玉1.5倍に膨れ上がってる。
お金を賭けてもいい。
それくらい金玉が痛かった。
「ん? どうしたの、ルーガくん? 汗かいてるよ?」
「……いえ、少し暑くなってきたなと思いまして」
「あー、わかるよ、その気持ち。私も鍛錬の後だからどうしても蒸れちゃって」
そう言いながら胸元を広げ、手で仰ぐリオン団長。
もうこれわざとやってんじゃないの?
思わずツッコミたくなるようなタイミングだった。
「団長、はしたないですよ。もう少し恥じらいを持ってください」
「大丈夫だよ。外では絶対にこんなことしないから」
「そういう問題ではありません。自分もいますから」
「……ふぅん? 気になっちゃう?」
気にならないと言えば嘘だ。
金玉破裂の危機を迎えているのだから。
かといって正直に答えるのも男のプライドが許さない。
だから、最近よく起こる問題を取り上げて話をそらすことにした。
「ええ、気になります。ここ数日で何度もボタンの目つぶしをくらっていますので」
「うっ……ごめんなさい」
彼女が素直に謝るのは罪悪感があるからだろう。
そりゃそうだ。近頃のリオン団長は充実しているのか、毎日のようにシャツのボタンを飛ばしまくっている。
そのたびになぜか俺の目が狙撃されてしまう。
毎度毎度ヒールをかけるマドカやカルラさんが優しく接してくれるくらいには被害を受けていた。
「あまり女性にこういう話をするのは気が引けるのですが」
「はい……」
「シャツのサイズがあっていないのではないかと」
「えっと、それはつまり……」
続く言葉を想像して顔を赤らめるリオン団長。
つまり、胸が巨乳から爆乳になったという話だ。
「そ、そんなことないよ! だって、この前、測り直したばかりなんだよ?」
「団長もまだ若いですから。成長期なのでしょう。俺と一緒ですね」
「うーん、そうなのかなぁ」
「間違いありません」
「ところで、ルーガくんはどこが成長したの?」
金玉です。
「……胸周りが少しばかり」
「あー、確かに。胸板厚くなった気がするもん。ね、触ってもいいかな?」
「……どうぞご自由に」
「やった! それじゃあ、さっそ――わっ!?」
喜んだ団長が勢いよく立ち上がった瞬間、ボタンがパ、パ、パァン! と弾けた。
「いやいやいやいや」
可笑しいだろ。
三つ連続で外れるって。
それはもう確実にサイズがあっていませんよ、団長。
「……団長」
「はい……買い替えに行きます」
シュンと落ち込む団長。
少し言い過ぎてしまったか。
こうなったら仕方がない。俺も一肌脱ぐとしよう。
深く呼気を意識して、丹田へと力を込める。
その瞬間、俺のシャツのボタンもはじけ飛んで行った。
「ル、ルーガくん!?」
「……どうやら俺もサイズがあっていないみたいです」
「ル、ルーガくん……!」
「今度の休日、一緒に買いに行きましょうか」
「うん! 約束だよ!」
団長に元気が戻ってよかった。
心なしか胸の揺れも大きく思える。
いや、待って。団長、そんな揺らさないで。
こぼれちゃう! ブラジャーからこぼれちゃうから!
というか、今の俺たちは互いにシャツを半脱ぎ状態なのだ。
こんなところを誰かに見られでもしたら……!
「リオン団長、ルーガ先輩。新しく届いた書類を……」
バサバサッ。
抱えていた書類を落とすマドカ。
彼女は俺と団長に交互に視線をさまよわせて――自分も脱ぎだした。
「いや、なんでだよ!?」
「ずるいです、団長! 私も負けません!」
「なにが!?」
「マドカちゃん! 執務室でそんなことしちゃダメだよ!」
「今の団長が注意できることですか!?」
「ごもっとも!!」
とにかく混乱したマドカを落ち着かせねばならない。
俺と団長、マドカがもみくちゃになりギャーギャー騒げば、それを聞きつけた人がやってくるわけで。
「……真昼間からなにやってんだよ、お前ら……」
入口に立ち尽くしたカルラさんの冷たい視線でようやく正気を取り戻したのであった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「「「すみませんでした」」」
三人仲良くそろって正座。
カルラさんは床に落ちた書類を拾いながら嘆息した。
「偶然が重なったのはわかるけどよ。リオンとルーガはもう少しトップとして自覚を持て」
「はい……」「以後、気を付けます……」
「マドカはわけわからん。脱いだ理由も皆目見当つかん」
「お恥ずかしながら、情事に混ぜてもらおうと思いまして」
「頭のネジぶっ飛んでんじゃねぇの?」
ルーガもそう思います。
普段のマドカからは考えられない珍行動だ。
なにが彼女を突き動かしたのか、これがわからない。
「……まぁ、いい。とにかくこの件はもう終わりだ。いいな?」
コクコクとうなずく。
流石みんなの姉御、カルラさん。
あっさりと事態を収拾させてしまった。これではどっちが上司かわからない。
「それで話は変わるんだが……ルーガ」
「なんでしょうか」
「お前って童貞か?」
「ど、どどど童貞したんですか、いきなり。童貞は俺じゃありませんよ」
「言語処理バグってんぞ。まぁ、そうだよな。ルーガは童貞に決まってるよな」
とても嬉しそうなカルラさん。
なんだ? ケンカ売られてるのか?
童貞の何が悪い! 俺は聖騎士だぞ! 清い身体を守っているだけだ!
「そうよ、カルラちゃん。ルーガくんは童貞に決まってるじゃない」
「全くです。ルーガ先輩ほど清廉潔白な人間はいません」
……ごめんなさい。
頭の中、おっぱいと金玉でいっぱいの人間でごめんなさい。
しかし、どうにかしてこの悩みから解放される術はないものか。
「悪かったって。ほら、ルーガ。お前宛てに手紙が届いてるぞ」
そう言って彼女は指に挟んだ一枚の手紙を俺に投げた。
ただの団員に送るにしては偉く丁寧な刺繍が施された封筒。
封に押された紋章は……。
「聖女様……?」
聖騎士隊のトップ・聖女様しか使用できない特殊な
丁寧に封を開けて、中から文書を取り出す。
『守護騎士団 第六番団所属 ルーガ・アルディカ
聖女・フレアの名の下に、貴殿に風俗街・ガリアナの単身調査を命じる。
詳細を伝えるため翌日、正午に大聖堂に来られたし。』
……これだ!!
第六番団を離れて、誰にも邪魔されることなくオナニーに励むことができる!
ありがとうございます……!
これで金玉の痛みから解放されます……!
天から恵まれたチャンスに聖女様へ感謝の祈りを捧げるのであった。
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