第二章 俺だけが童貞の街

Prologue 2 日記:聖女様の勅命~ 

◇月■日



副団長から降格となった俺だが、以前と変わらず執務室で団長と書類仕事に励んでいた。


いくら見られるのが嫌じゃなくてもマジマジ眺めるのは失礼。


だけど、気持ち的には以前よりも楽になったのは事実。


その結果、何が起きたか。


金玉が破裂しそうである。


オナニーができない弊害がここにきてやってきた。


団長からの信頼と俺の性欲は比例関係にある。


彼女の油断する場面が増えれば増えるほど金玉が痛むのだ。


団長のおっぱいが凄いんだもん。前より凶悪になっていないか?


サキュバスという負い目が吹っ切れたのはいいことだ。


だけど、シャツのボタンがパァンしたら新しいのに着替えてくれませんか。


信頼されている証拠でもあるので言いづらい……。


とにかく溜まりに溜まった性欲をどうにか発散しなければ【剣聖】になる前に俺の愛棒が壊れてしまう。


そんな俺に聖女様から勅命が下された。


内容は第五番団が誘致した風俗街の単身調査。



これだ!!






◇月✕日



俺が選ばれた理由は第六番団にいながら手を出さない清き心を持ち合わせているからだそうだ。


あの、聖女様……すみません。


その男、アソコをパンパンにさせてお話を聞いていました。


別に風俗街に行きたいわけではない。


決してないが、なるべく早くに出発しようと思う。


これ以上、(俺の健康)被害を増やさないために。


マドカにその間の業務を頼むと、なにかすごく反対された。


しかし、聖女様の決定は覆せない。


すると、マドカを先頭に団長やカルラさんが大浴場に突撃してきた。


マドカは他の女に童貞を奪われるなら今ここで奪うとか言っていた。


混乱している様子だったので、なんとか嘘をついて追い返したが……。


今でも思い出す。


布一枚まとわぬ裸体。


絶壁のマドカでなければ耐えきれなかっただろう。


抜きたい。でも、抜けない。


やはり早急に一人になる必要がある。


改めて、俺は風俗街に調査へ行くことを決意した。





◇月@日



おっぱいの夢を見た。


夢精した。


人生で初めて仮病で休んだ。





◇月¥日



ここまでよくこらえてくれた愛棒も限界を超えてしまった。


いいよ……お前はよくやってくれた……。


情けない主人でごめんな。


なんとか匂いも消し去ったので気づかれていないと思う。


うぅ……みんなの優しさが辛い。


マドカ。薬くれてありがとうな。でも、これ何の薬か教えてくれない?


どくろマークついているんだけど、本当に大丈夫だよね。


カルラさん。おかゆ作ってくださり、ありがとうございます。その気持ちが嬉しいです。


え? また作ってくれる? あははっ、それは、その……はい……頑張って食べます。


リオン団長。……どうして今日は目を合わせてくれなかったんですか?


ねぇ、団長。正直に答えてください。


答えによっては死にたくなるからオブラートに包んで教えてください。





◇月卍日



風俗街へ遠征する前日。


俺は団長に淫夢魔サキュバスについての講義を受けていた。


というのも、今回の調査は風俗街で起こる奇妙な事件が原因だからだ。


ここ最近、男性の死亡率が高く、話を聞けばそのほとんどが前日に風俗街に通っていたという。


聖騎士隊は淫夢魔の仕業ではないかと睨んでいる。


事実を確かめようにもミュザークは知らないの一点張りで加護も反応しなかったらしい。


さらには奴も姿を消してしまい、事件解決のためにも『性欲が皆無』と評判の俺が出向くわけだが……。


夢精してしまい、一気にやる気がなくなってしまった。


そもそも俺は普段からリオン団長を筆頭にレベルの高い女性たちと1日の半分以上を過ごしている。


今さらそんじゃそこらの女の子相手に興奮など覚えたりしないのだ。


淫夢魔と言えど負けるつもりはない。


そこで団長と約束を交わした。


必ず童貞のまま帰ってくる、と。





◇月R日



おっぱいむにゅむにゅ~!


すご~い! 


やわらか~い!


きもちいい~!





◇月γ日



危なかった。昨晩は何か雰囲気に飲まれてしまって、自制が効いていなかったように思える。


街全体に淫夢魔の魔法が作用しているのかもしれない。


助けてくれた給仕のミューさんがいなかったら団長との約束を果たせなかっただろう。


新たな出会いに感謝を。


また彼女から風俗街についても有力な情報を得ることができた。


ミューさんは実はこの街の裏の支配者だったり……まさかな。


そんな話があるわけない。


それにしても彼女とはどこかで会ったような気がするのだが……本人に聞いてもはぐらかされてしまった。


なんにせよ黒幕まで近づいたのだ。


今日はゆっくり眠るとしよう。





◇月#日



ずっと誰かに尾行されている気がする。


あえて泳がせているが、いったい俺に何の用があるのだろう。


聖騎士という身分は隠している。


今の俺は成金貴族の跡継ぎという設定だ。


ミュザークを参考に振舞っているのだが、あまりにも怪しすぎたかもしれない。


ミューさんにも止めるように注意された。


やっぱりミュザークってクソだな。





◇月♡日



偶然、街中で絡まれている風俗嬢を助けたら、その子が黒幕候補が経営する店の受付嬢だった。


お礼をしたいから店まで招待したいと言う。


これは誘われている……?


黒幕からすれば聖騎士の俺がウロチョロしているのは目障りだろう。


だとしても、どこを経由して情報が洩れているのか。


……そういえばリオン団長が言っていたな。


第二番団のジャラク団長とミュザークはつながっていた可能性が高い。


ミュザークは風俗街を利用して金儲けを行っていた。


ならば、懇意にしていたジャラク団長が取り壊しを嫌がるのもあり得る。


おそらく利権も引き継がれているだろう。


慎重な判断を下すべきだが、乗らない手はないな。


腕を抱きかかえられた俺はされるがままに入店した。





◇月V日



しばらくぶりの日記となる。


端的に記録するならば、俺は聖女様の命を無事に果たすことができた。


聖女様からもお褒めの言葉をいただき、これで【剣聖】への道をまた一歩進めた。


褒美として俺は副団長として第六番団のもとに戻ることに。


隊舎に戻れば、みんなが出迎えてくれた。


パーティーまで開いてくれて、思わず泣きそうになった。


……なんて日記を書いていると、マドカが部屋まで呼びに来てくれた。


よーし、今日はたくさん飲むぞ。


みんなも俺の風俗街での話に興味津々だし、笑って楽しんでもらえるように精一杯語ろうじゃないか。


本日は無礼講だー!!






◇月!日



団長のおっぱい揉んだ。


ふわふわで手が乳に沈んだ。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る