第17話 さよならメモリーズ その8 (涼宮晴美編)
「こら!! 薫聞いているのか!!」
「えっ!? あぁ……」
どうやら少しぼーっとしてしまったのか、直が酷くご立腹であった。
「まったく、、では、星奈の出した案で可決でいいな?」
「あたしはいいと思うわ」
「晴美も良いと思います」
「もちろん、私は意義なしよ」
「じゃあ、最低の主人公は○クール○イズの誠で決定っと」
直が黒板にさも重要かのように某アダルトゲームの主人公の名前を書き込んだ。
相変わらず、まともな議題のない生徒会である。
そもそも、最近になって本当にこの生徒会が必要なのかすら怪しくーー。
「何、一人でぶつぶつモノローグしてんの?」
清美がよく漫画やアニメでコツンという可愛らしい音で表現されるが実際は鈍い音がする教科書の角で俺の頭を小突いた。
あの、、普通に痛いんだが……。
「どうしたの? 薫、頭なんか抱えてまーた何か悩み事?」
「お前の角攻撃のせいだよ!! 普通角で叩くか? 普通!? なぁ!?」
「先輩、落ちついて下さい」
「はーい、そこ私語多いよ。ちゃんと集中して聞く~」
「まったく、、これだから男子は……」
「おい!! なんだ、そのよくいそうな教師とちょっと嫌な感じの女子生徒の組み合わせ!!」
「ってか、あんたもツッコミばかりやってて疲れないの?」
「あのなぁ!! そもそも俺がツッコミ役にまわっているのはーー!!」
「晴美ちゃん!!」
直の叫び声により、今までの、、いつもと同じような空気が流れていた生徒会室の空気が、がらりと変わった。
星奈さんは、素早く晴海ちゃんのそばに駆け寄った。
「大丈夫です。ただ少しふらっとしただけで……」
そう言って笑っている晴海ちゃんの顔は真っ青で唇も薄紫色に変色していた。
「大丈夫なわけないだろ!! 直、晴海ちゃんを保健室にーー」
「あたしが行く!!」
俺を跳ね除け、清美が晴海ちゃんをおぶった。
しかし、晴海ちゃんをおぶった清美の表情はすごく苦しそうだった。
「お前も無理すんな!! おぶるなら俺がーー」
「そうやって!! 晴海の気持ちを振り回さないでよ!!」
清美は真剣な表情で、俺を怒鳴りつけた。
その怒りは今生まれたものではなく、ずっと……。
ずっと昔から溜め込んでいたようなそんな怒りだった。
「清美、とりあえず晴海ちゃんを……」
「うん、、わかってる……」
清美は再び俺を睨むと、生徒会室を後にした。
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