第9話 ツンデレとヤンデレ ラスト

 さて、改めて皆を紹介しよう。


 まず、この生徒会の会長である


 倉沢直〈くらさわなお〉。


 頭は某有名大学から推薦状が届き、運動も女子の平均よりも優れており、容姿は芸能事務所から声がかかるほどの美少女。


 正に完璧人間だが……。


「しかし、清美の『ツンデレ』は正直萌えたぞ。いつものに更に拍車がかかったみたいにな」

「だっ、、うっ、うるさい!!」


 この通り、【中身の残念】な【残念美少女】というやつだ。


 そして、からかわれている彼女が


 堀部清美〈ほりべきよみ〉。


 直と俺のクラスメートであると同時に頭脳はクラスで三本の指に入り、運動能力だけで、有名大学からスカウトの声がかかるほど優れており、更に容姿も何度かモデルをしたことのあるほどの美少女。


 直と比べてしまえば、劣る部分もあるのかも知れないが、彼女も言うなれば完璧人間であり、友好関係で言えば俺たちの中でいちばん広い……のだが。


「だいたいねぇ!! あたしだって薫と恋に落ちるくらいならそのへんのカラスと生涯を添い遂げるわよ!!!!」


 鳥類と比較されるは勘弁して欲しいな……。


 こんな感じで、少し、何かが人とズレている。


 ちなみに、先ほどではないけど、俺は清美は【ツンデレ】だと思っている。


「二人とも、そろそろやめてください~」


 今、二人を止めようとオロオロしているのが


 涼宮晴美〈すずみやはるみ〉ちゃん。


 先ほども紹介したように生徒会唯一の後輩であり、良心。


 頭脳はクラスではダントツ一番ではあるが、運動は苦手な模様、容姿はやはり姉の清美に似てゲーム関連のイベントで成績を残しているためかその関連雑誌には何度も載っている。まだ、幼さの残るかわいい系美少女。


 そんな彼女は、生徒会にいる時には誰かしらにいじられている少し可哀想な子。


 でも、そこが彼女の魅力の一つでもある。


 いや、いじられてる晴美ちゃんはかわいいなぁ。


「かわいいわね。みんな、誰から食ちゃおうかしら……」


 優雅に紅茶をすすりながら『危ない発言』をさらりと言ってのけるのが彼女、


 神楽坂星奈〈かぐらざかせいな〉。


 実は、本当なら俺たちの先輩にあたるはずだが、とある理由で一年留年し。俺たちと同学年になっている。


 そして、この星奈さん留年こそしているが、頭は世界の有名大学から推薦が来るほどに何ヵ国語も話せる天才で、運動神経も各国からスカウトが来るほど抜群、容姿もハリウッドから声がかかるほどな美少女である。


 ただ、他のメンバー同様に【残念な思考】の持ち主でもある。


 そして最後が俺、井上薫だ。


 頭脳平凡、運動神経、容姿。共に普通。

 

 【厨二病】の【オタク】と自分ではそう思っている。


 ただ、友人たち曰く俺は、ハイスペックな厨二オタクらしい。


 どういう意味か、聞いたら自分の胸に聞いてみろと言われた。まったく、ワケガワカライヨ。


 そんな個性豊かな5人で成り立っている。


「はぁ……」


 ため息をつきつつ、俺はみんな、帰ってすっかり静かになった生徒会室で一人雑務を行っていた。


「うっ……」


 またか。


 最近、この【謎の頭痛】に襲われる。


 それは、突然やってきて、そして何事もなかったように引いていく。


「疲れてん、のかな?」


 だが、弱音など吐いてられない。


 俺はブラックコーヒーを片手に作業を続ける。


 そして、一息ついていたところで背後に【気配】を感じ振り返る。


「流石ね、井上君」


 背後を振り向くと、そこには星奈さんがアニメによく出てきそう【魔女】の格好をして、笑っていた。


「星奈さん、まだ帰ってなかったんですか? もう遅いんだし、早くお帰りください」

「あら? そう言うわりには私を見て、嬉しそうな顔、してなかったかしら?」

「まぁ、そりゃ、、悪い気はしませんよ。たとえ俺を待ってるのが目的じゃないにしろ、、ね……」

「うふふ、鋭いわね、ねぇ、あなた何者?」


 星奈さんが笑いながら、俺の肩に手を置いて顔を近づけてくる。


「それは、こっちの台詞です。星奈さんはいったい何者なんですか?」

「それは、、いずれね」


 そう言った星奈さんを俺は少し。色っぽく感じた。

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