第3話 ツンデレとヤンデレ その1
「いやぁやっぱ、一仕事終えた後の、生徒会室は落ち着くなぁ」
「嘘だ!!」
「………………」
いつもの定位置に座り、伸びをすると同時に、何やら凄まじい剣幕で直が睨みつけてきた。
手には明らかに今まさに影響を受けたのであろう【日○らしの○く頃に】の漫画本を握って。
……まったく、本当に影響を受けやすいやつだ。
驚いた俺の顔を見て満足したのだろう、直は小さく笑みを浮かべ、再び漫画へと視線を移す。
「麗○たん萌え~だな」
「………………」
今期の蒼海学園生徒会にはいくつかの秘密がある。
「いやぁ、○生のかわいさはいつ見ても反則級だよな!! なぁ薫」
キラキラした目で、直が俺の方を見つめてくる。
やめろ!!!!
俺のわからないネタを全力で振ってくるな!!
直は、隠れオタクだ。
真のオタにもなれず、一般人とも微妙に話の噛み合わない、いわゆる【にわかオタク】だ。
「知らねぇよ。俺はCL○NN○DとかA○Rとかしか見ねぇし」
「けっ、これだから鍵厨は」
なぜか不機嫌そうな表情を直が浮かべる。
その反応に、俺は少し苛立ちを覚えた。
「お前だって好きだろう? 一昨日だってわんこ帽被って、わふーとか叫んでただろ?」
「L○tt○e B○ST○RSは別だ!! あれは鍵作品は鍵作品でも異色な作品だからな!!」
っぐ……確かに、あの作品は賛否両論。
最終ルートの評価は高いが、個別ヒロインルートは、正直……。
「って!! 俺は好きだぞ!! 特に○毬ルートは!!」
「あんなのただのお兄ちゃん好きなヤンデレじゃないか!!」
言ったな。
言ってしまったな、俺にとっての禁句を…………。
そうか……直、お前がその気なら俺も受けてたとうじゃないか。
「……○奈だってただのヤンデレじゃん……」
ボソリと呟いた俺のその一言を聞くと、直は漫画を机に叩きつけ、凄まじい顔で近寄ってきた。
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