第2話 共通パートってスキップしがち その2

「ストップ」


 これから話を展開しようとしたところで、退屈そうに聞いていた少女が俺に【待った】をかける。


「なんだよ? これから面白くーー」


「で、そのお前のつまらない夢の話はいつまで続くんだ?」


 そいつの遠慮のない言葉は俺のガラスのハートを突き刺した。


 彼女は、俺に冷たい視線を浴びせつつ、少し高価な椅子へと深く腰かけた。


 突然だが、現在俺


 井上薫(いのうえかおる)


 は生徒会室にいる。


 俺たちの通う私立【蒼海学園(そうみがくえん)】生徒会室は校舎とは別の建物に設置されている。


 つまり、この生徒会室に来る人間は少なく……所謂、隠れ家的な場所になっている。


 ……そして、椅子に座り、口の中で飴玉を転がしているこの少女こそ。


 今期、蒼海学園生徒会会長。

 

 倉沢直(くらさわなお)

 

 俺の、幼なじみだ。


 この物語は、そんな【蒼海学園生徒会】で巻き起こった摩訶不思議な、それでいてわりと何でもないような【日常】の記録でありーー。


「薫、ちょっと暇だから一回、首ねじ切れたりしないか」

「ふ・ざ・けんな!! 何でだよ!!」

「ギリギリギリバッツーン! ってねじ切れたりしないか?」

「嫌だよ!! 好きにねじ切れさせろよ!! いやねじ切れないけどな!!」


 時には、いや、かなりのパロディ、オマージュを交えてお届けいたします。


「さっきからお前は、いったい誰に向かって話しているんだ?」

「いや、メタいからその発言はやめて!」


 まぁ……こんな感じの少し寒いノリになることがほとんどだと思うが……。


 まぁ……楽しんでもらえるのなら幸いだ。


 では、始めるとしよう。


 これは、俺の……俺たちの、生徒会での激動の2年間のほんの触りでしかないのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る