第63話不穏な足音
その日は清水と一緒に部長が案件を拾ってきた会社を巡っていた時だった。
「おい、清水〜。歩くの疲れた…」
「頑張れ…あと2件で終わるんだ…」
そんな事をボヤきつつ歩いていると…
『やっと見つけた…!』
そんな声と共に俺の背中にどこか懐かしい声と共に俺の背中に衝撃が走った。
「おわっ!」
俺は突然のことに驚きながらも外回りで鍛えた足腰を駆使し何とか踏ん張りその衝撃を与えた元凶を見た。
「痛っつつ…誰だよ。…ッ!」
俺はその元凶を見て固まってしまった。
そりゃそうだろう…脳裏に焼き付いて離れないその姿。相も変わらず人付き合いの良さそうな笑みを口元に浮かべこちらをいたずらっ子のように目を細め見てくるのは…
「香織…!」
「ん、覚えてくれてだね!そりゃそうだよね〜大切な幼馴染だもんね!久しぶり真琴!」
「…ッ!どの口が…!」
俺はついつい怒鳴りそうになってしまったがこちらを驚いた顔で見ている清水の声で我に返った。
「ちょちょちょ!真琴!誰だよその美人さんは!?」
「…清水」
「お、真琴の同僚の人かな?初めまして!真琴とは小さい頃からの知り合いの
そう言い香織は手を差し出した。
「あ、これはご丁寧にどうも…同僚の清水一郎です」
そう言い2人は軽く握手をし香織は満足したのかこちらを振り返り…
「ねぇ、今日はいつ仕事終わるの?仕事終わり会おうよ」
そう言ってきた。
「俺は社畜だ。だから今日は…」
と、断ろうとしたが…
「いや、そしたら残りは俺やるわ。久しぶりに会ったんだから話したいことも沢山あるだろ」
と、清水が謎の気を遣いそう言ってきた。
「ちょ、清水お前…!」
と、俺は断ろうとしたのだがそれを遮るように香織は嬉しそうに微笑み両手を胸の前で合わせ…
「ほんと!?ありがとう、清水さん!…って事だからゆっくり話そっか…ね?」
「……分かったよ」
「よし!んじゃあ部長には上手く俺が言っておくから任せとけ」
「あぁ、すまん。後は頼んだぞ清水」
「おうよ!じゃあな〜」
そう言い清水は手を振り去っていった。
そしてそれを見届けた香織は…
「じゃあ、近くにいいカフェがあるからそこに行こうか」
そう言い先頭を歩き始めた。
俺は少し距離を置きながらその後ろを着いて行った。
そして香織に着いていくこと約10分。
そこは隠れ家的なカフェで人は少なく密談には持ってこいの場所だった。
そこで俺と香織はコーヒーを頼み一息ついた。
「さて、改めて久しぶりだね、真琴」
「あぁ」
「最後に会ったのは高校卒業のときかな」
「あぁ」
「だよね〜。てか、背伸びた?」
「あぁ」
…ダメだ。香織と会話する度どんどん心の温度が下がっていく。何故香織は今更俺の前に現れた?その前にどうやって俺のいる場所を突き止めたんだ?分からない…。
そう考えているうちに俺は自分の思考に没頭していたのかいつの間にか目の前には湯気をたてているコーヒーが置かれていた。
「…ふぅ。うん、美味しい」
そう言い香織はなんてことのないようにコーヒーを1口飲み口元を緩めていた。
俺はそんな姿を見ながら疑問に思った事を聞いてみた。
「なぁ、なんで今更俺の前に現れたんだ?」
「えぇ〜?幼馴染の様子を見に来ちゃダメなの?」
「幼馴染だと…?」
「うん!そりゃ確かに高校生の時はさ喧嘩が強い人とかがカッコイイって思ってたけど社会人になったらやっぱり価値観は変わるよね〜」
「で、それがどうして俺の前に現れる事に繋がるんだ?」
「もう〜、そういうせっかちな所は昔と変わらないんだね〜」
「良いから答えてくれ」
「はいはい…」
そう言い香織は姿勢をただし思ってもみない言葉を告げてきた。
「ね、私たちやり直そ?」
「…は?」
と、俺がそう呟くと…
「だから〜、私達もう1回付き合おって言ってるの。昔の事は謝るからさ、ね?」
そう言い香織はニコッと笑うのであった。
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皆様!おはこんばんにちわ!
青の空です!
大変お久しぶりでございます。
皆様に置かれましてはいかがお過ごしでしょうか。
だいぶ間が空いてしまった為少し変なところがあるかもですが…許して下さい!
不定期更新ではありますがまだまだ続きますのでよろしくお願いします!
頂いたコメント等は夜には返しますので今暫くお待ち下さい!
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