第30話 フラグ?そんなものは投げ飛ばします

さて、ご飯を食べた後俺たち4人は海で泳いだり清水が沖に流されたり、清水が海で足をつったりしたが…まぁ、楽しく遊べたと思う。


しかしずっと強い日差しの中遊んでいると流石に喉が乾いたため俺は飲み物を買いに行くことにした。


「俺飲み物買ってくるけど、欲しい人居る?」


「あ!俺欲しい!コーラで!」


「私も一郎さんと同じコーラをお願いします!」


と、2人がそう言った。


「水瀬さんはなにか飲みますか?」


「私も一緒に行きますよ。流石に1人だと大変ですからね」


「ありがとうございます。じゃあ、行きましょうか」


「はい」


そして2人で海の家に向かい飲み物を買って帰る途中、水瀬さんが…


「あの…少しお花を摘みに行ってもいいですか?」


と、言ってきた。


「大丈夫ですよ。じゃあ、そこで待ってますね」


「ありがとうございます」


そう言い水瀬さんはお花を摘みに行った。


「ふぅ…流石にちょっと疲れてきたな〜」


俺は1人になり呟く。

まぁ、仕事の疲れよりは全然良いけどな!

今頃部長が仕事してると思うと気分は爽快だ。…いや、多分仕事してないと思うけど。


そして、そんな事を考えているうちに10分程が過ぎた。


「流石にちょっと遅いな。何かあったか…?」


俺は少し不安になり水瀬さんが向かった方向に向けて歩いた。


3分程歩くとある声が耳に聞こえてきた。


『なぁなぁ、俺と遊ぼうぜ?』


「すみません、今友達と来てるので…」


『そんな事言わないでさぁ…いいじゃん!俺と遊んだ方が楽しいぜぇ?』


「大丈夫です。今でも十分楽しいので」


この声は…水瀬さんだ。


俺は急いでその声が聞こえる所に向かった。

そして、俺はそこで衝撃的な光景を目の当たりにすることになる。


『はぁ…つれねぇな〜。ほら、こっち来いよ!』


「ッ…!」


ナンパAは遂に痺れを切らしたのか水瀬さんの左手首を掴んだ。


「ちょっ…!」


俺が声をかけようとした瞬間…


「ふっ…!」


ドシン…!!!


ナンパAは投げられた…。


『「は…?」』


そして奇しくも俺とナンパAのリアクションは同じであった。


「ふぅ…。ダメですよ?嫌がってる人の手を掴んじゃ」


と、水瀬さんは何事も無かったかのようにナンパAにお説教をしているが…


「嘘だろ…」


俺は戦慄した。


それはあっという間の出来事だった。

左手首を掴まれた瞬間…水瀬さんはそのまま半回転しナンパAを背負い投げしたのだ。


しかもその間約2秒にも満たない達人技で。

しかもだ。怪我をさせないように衝撃を上手く砂浜に逃がしたのかナンパAにはかすり傷1つもない。


「これに懲りたらこんな事をしては…あ!和泉さん!」


と、水瀬さんはこちらに気付いたようで走ってきた。


俺はさっきのを見たせいで勝手に身体が防衛本能を発揮しつい、構えてしまった。


「和泉さんすみません。少し遅れて…ってなんで初代ウル〇ラマンのポーズしてるんですか?」


シュッワッチ!…じゃなくて!


「い、今のって…」


俺は震える指でまだ寝転んでいるナンパAを指さした。


「あぁ…なんか、一緒に遊ぼうってしつこかったので何とか逃げようとは思ったのですが、手首を掴まれてしまったのでつい…投げてしまいました!てへっ」


と、水瀬さんは(ノ≧ڡ≦)☆みたいな感じで『つい投げちゃった!』と言っているが…アレは、つい、で出来る動きでは無い。


「み、水瀬さんはなにか武術でもやっているんですか?」


「はい!柔道を少したしなんでます。なんでも、『都会の男は危ないから覚えて損は無いよ』とお父さんが言ってまして、こっちに来る前に黒帯になりました!」


「ま、マジか…」


お父さんよ。今1番危ないのは水瀬さんだと思うのだが…これ如何に。

てか、普通『海』『美少女』『ナンパ』と来たら颯爽と助けて胸きゅんフラグが発生すると思うのだが…水瀬さんはそのフラグと共にナンパAを投げ飛ばしてしまった。


「皆を待たせてますから早く行きましょ!」


と、水瀬さん俺の手を引っ張り走った。


俺?俺は心臓がバクバクしてるよ…。

手を繋いできたことに緊張してるとかそう言うんじゃない。

いつ投げられるかと言う恐怖からだ。


「神よ…お救たまえ…」


俺は生まれて初めて神に祈ったと思う。


そして、その後は午後3時頃まで遊び着替えて車に戻った。

ちなみに車はレンタカーで、車種は4人乗りのスズキ スペーシアだ。

テレビのCMとかで広いとか言って居たので借りてみたが本当に広々としていて荷物も運びやすい。

まぁ、こんな事を言うとスズキの回し者だと言われそうなのでここまでにしておこう。


「さて!こっからペンションに向かうけど、必要な物とかある?近くにコンビニ無いから有るなら今のうちだけど…」


と、清水が後ろに座っている女子組に聞いた。


「陽菜ちゃん。何かある?」


「ん〜…私は大丈夫かな。花音ちゃんは?」


「私は…うん。大丈夫そう」


「清水、俺も大丈夫だぞ」


「いや、お前には聞いてねぇよ」


「…酷い!俺とは遊びだったのね!」


「俺らはどんな関係だよ!」


「仕事と仕事?」


「えぇ…そこに友人とか親友ってのはつかなの?ビジネスだけの関係なの?」


「…さぁ!行こうか!」


「ねぇ!どんな関係なの!?」


と、清水とコントのような会話を繰り広げてると…


「ふふっ…お2人は仲が良いんですね」


と、水瀬さんが微笑みながら聞いてきた。


「そうですね…。苦しい時、病める時、健やかなる時。傍に居たのが清水コイツですからね」


「いや、その言い方だと俺と真琴が結婚してる様にしか聞こえねぇぞ?」


「一郎さん…。私応援しますね!」


「ほらぁ!陽菜ちゃんが勘違いしちゃってるじゃん!」


「ありがとう、綾瀬さん。頑張るよ」


「何をだよ!何を頑張る気してんの!?」


「うるさいぞ清水。早く運転したまえよ」


「くっ…!俺が悪いのか、これ!?」


「清水さん?早く行かないと日が暮れちゃいますよ?」


「水瀬さんまで!?俺に味方は居ないのか?」


清水がそう言うと綾瀬さんが優しく清水の肩に手を乗せた。


「ひ、陽菜ちゃん…」


と、清水は希望を見たような顔をしたが…


「…早く行きましょ♡」


叩き落とされた。


「分かったよ!畜生!全員シートベルトしろよな!…出発だこのやろ〜!!!」


「「「お〜!」」」


海で遊びだいぶ打ち解けた4人であった。

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