第26話 …無理したね?水瀬さん?

さて、部長と取引してから1週間が経った。

俺と清水は変わらず仕事に追われる毎日。

いや…こころなしか増えてる気がする。


「ふぅ…これで良いか」


俺は纏めたデータを部長に送信した。


「ん〜…!ふぅ。少し飲み物買ってくるか」


俺は立ち上がり少しストレッチした後自販機に向かった。


ブー…ブー…


「ん?電話?…知らない番号だ」


俺は無視しようか悩んだが出ることにした。


「はい、もしもし…」


『あ、あの…和泉さんの番号で合ってますでしょうか?』


そう、少したどたどしく話す声はどこかで…


「はい、和泉ですが…どちら様ですか?」


『あ!すみません!この前お会いした綾瀬です!』


綾瀬…綾瀬…あ!


「あぁ!水瀬さんのお友達の!」


『そうですそうです!お久しぶりです。今大丈夫ですか?』


「はい、大丈夫ですよ。どうしました?」


『えっと、花音ちゃんと連絡って取れてますか?』


「一応メールならしてますけど…どうかしたんですか?」


『実は…』


俺は綾瀬さんからの話を聞いて…


「分かりました。後は任せておいて下さい」


『ありがとうございます!よろしくお願いします!』


「えぇ、では失礼しますね」


『はい!ありがとうございました!』


そして電話は終わった。


「ふぅ…ちょっと本気出すか…」


俺は翼を授けるドリンクを買い自分のデスクに戻ると腕を捲った。


「社畜の本気…見せてやる!」


そこからは昼飯も食わずに頑張った。

ただひたすらに…。


そして時刻は19時を少し過ぎた頃…俺は全て終わらせ帰路に着いた。


途中、コンビニにより風邪薬やゼリーや冷えピタや栄養ドリンク等を買って。


そして1回自分の家に帰り、着替え俺は水瀬さんの家のインターホンを鳴らした。


『…はーい』


ガチャ…


そして出てきたのはピンクのパジャマ姿の水瀬さんだった。


「こんばんは、水瀬さん」


「こ、こんばんは…ど、どうしました?」


俺はそれを聞いて少しため息をつきながら…


「ちょっと失礼…」


「え…きゃ…!」


俺は手のひらを水瀬さんのおでこに当てた。


「ふむ…熱いですね。ご飯は食べました?」


「え、え…どうして?」


「密告があったんですよ」


そう、あの時の電話は水瀬さんが夏風邪を引いたと言う綾瀬さんからの密告の電話だったのだ。


『あの、花音ちゃん体型の事気にしてまして、ココ最近無理なダイエットしてるんです…そのせいで風邪を引いちゃった見たいで…お見舞いに行きたいんですけど、私は大丈夫だからの一点張りで…』


まぁ、こういう訳だ。


「陽菜ちゃんですね…もう、大丈夫だって言ったのに…」


と、水瀬さんは少し拗ねたように唇を尖らした。


「それだけ心配だったんですよ…あまり責めてあげないで下さい」


「分かってます…うぅ…」


「とりあえず、中に入っても良いですか?」


「…はい。どうぞ…」


水瀬さんは諦めたようにそう言い家の中に招いてくれた。


そして俺はリビングに向かうと買ってきたものをテーブルの上に置き、水瀬さんには自分の部屋に戻って貰った。


「さて、まずは体温計と…」


俺は必要な物を持ち、水瀬さんの部屋に向かった。


コンコンコン…


『どうぞ』


と、許可を貰い中に入った。


「あ、あまり見ないで下さいね…恥ずかしいので…」


と、言っても目に入る部分は許して欲しい。

例えば、ベットにペンギンのぬいぐるみがあることとか机の上に家族写真だろうか、が飾ってある事とか…うん。あまり見ないようにしよう。


「はい、分かりました。それよりもまずは熱を測りましょうか」


「…はい」


そういい水瀬さんは脇に体温計を挟んだ。


ちなみに俺は後ろを向いている。俺は紳士だからな。


ピピピ…


「終わりました」


「はい、確認しますね…って、38.4度ですか…」


「うっ…そんなジト目で見ないで下さい…」


「はぁ…どうしてもっと早く言ってくれなかったのですか?」


「だって…ご迷惑かと思いまして…」


と、指を合わせながら『しゅん…』とする水瀬さん。


ふむ、なんかしおらしい水瀬さんは新鮮で良いな。


と、思いつつ言う。


「全然迷惑じゃ無いですよ。こうなった理由は聞きませんので今はゆっくりと休んで下さい」


「…はい」


「じゃあ、まずは熱さまシート貼りましょうか。おでこを出して下さい」


俺は買ってきた熱さまシートを水瀬さんのおでこに貼り付けた。


「ひゃう…冷たい…」


「あと、水分補給に…ポカリと…食欲はありそうですか?」


「しょ、食欲は…」


と、言った瞬間…


『グゥ〜〜…』


「「あ」」


「ち、違!こ、これは…!」


と、水瀬さんはワタワタと言い訳を並べるが、身体は正直でまたお腹が鳴った。


だから俺は笑顔で言う。


「まずは、ゼリーがあるのでそれを食べて下さいね?」


「うっ…で、でも…」


「食べて下さいね?」


「は、はい…いただきます…」


「はい。桃とみかん、どちらが良いですか?」


「桃でお願いします…」


「分かりました。じゃあ、桃ゼリーとスプーンです。1人で食べられますか?」


俺はちょっとニヤつきながら聞いた。

それを聞いた水瀬さんは赤い顔を更に赤くし言った…


「だ、大丈夫です!そんなに子供扱いしないで下さい!」


「あはは!すみません、しおらしい水瀬さんが新鮮でつい」


「もぅ!…いただきます!」


と、水瀬さんはパクパクと食べ始めた。


…うん。食べてくれたか。ま、ダイエットは女性にとっては大事な事らしいからな。

けど、今回はちゃんと食べさせないと。


そして俺は一旦部屋を出て湯煎で温めるお粥と梅干しを用意した。


「ふっふっふっ。料理が出来ない俺でも温めるぐらいは出来るからな。今日は看病頑張るぞい!」


そういい俺はお湯を沸かし始めるのだった。



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皆様!おはこんばんにちは!

青の空です!


今日は後1話更新出来ると思います。


さて、嬉しいことにまた☆が増えておりました!

そして☆をくれた…


@kaito13222 さん

@natuyasumi さん

@tarnyboo1478 さん


本当にありがとうございます!!!



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