第24話部長…取引と行きませんか?
さて、次の日俺と清水は会社に出社していた。
「あぁ〜…!どうすっかな〜!」
と、清水が項垂れ始めた。
「ほんとにな…しかも俺は今回前回のような纏めて仕事をやりまくるって言う手が使えないし…悩みどころだ」
そう、昨日は一緒に最新の炊飯器で炊いたご飯で水瀬さんと食事を取ったのだが…
『今回は無茶ダメ絶対に!無理そうなら断っても大丈夫ですから!…分かりましたか?』
と、釘…いや、パイルバンカーを刺されている。
「「はぁ〜…」」
そう、清水と深いため息を着いていると俺達が頭を悩ます事になっている元凶…部長が現れた。
「ふぅ…おはよう…」
と、何故か俺と清水のデスクまで来て挨拶をして来た。
「お、おはよう…ございます部長」
「おはよう部長…はぁ…」
おい、清水!何友達に挨拶するみたいに気軽にやってんだよ!?
「ちょっと聞いてよ2人とも〜」
部長もか!?
はぁ…もういいや。俺もこのノリに合わせるか。
「どしたん、部長?」
「いやさ、娘がハマってるバントのライブがあるんだけどさ…チケットお父さんが取ってやる!って意気込んだけど…取れなかったんだよね〜」
「へぇ…ちなみにどこで買おうと思ったの部長?」
「ん?あ〜…近くの商店街。なんか、景品であるとかって噂だったんだけど…誰かが先に取ってたみたいでね…はぁ〜、娘になんて言おう…」
と、部長は清水と一緒にデスクで項垂れ始めた。
そして俺はその情けない姿を見ながらふと、思い出す。
「あれ?ライブのチケット…?」
俺は自分のバックから1枚のチケットを取りだした。
「まさか…」
いや、多分十中八九コレの事だろう…。
ククク…水瀬さん。あなたの言う通りいい事がありましたよ。
俺は悪どい笑みを浮かべながら部長の元へと向かった。
「部長…休みちょうだい…」
「なんで?」
「海行きたい。女の子と」
「え〜…ダメ、働けよ。仕事なら沢山あるぞ」
「え〜…」
「それに俺なんて家庭の危機だぞ?そんな中お前らだけ楽しむとか部長、許せない」
いや、何話してんだよこいつら。
清水…お前要求が直球過ぎるし、部長、あんた私情をガッツリ仕事場に持ち込んでんじゃないよ…。
俺はそんな2人を眺めつつ部長に話しかけた。
「部長…俺と取引と行きませんか…?」
俺がそう声をかけると部長はゆっくりと視線を俺に向けた。
「…取引…だと?」
「えぇ…。これを見てください」
俺は部長に昨日(水瀬さんが)手に入れたチケットを目の前に出した。
「そ…それは…!」
「えぇ、部長が欲しがっていて、父親としての威厳も保てるスーパーアイテムです」
「くっ…!な、何が望みだ!」
…かかった!
「望みはただ1つ…有給休暇が欲しいのです」
「…なに?有給休暇だと?」
「えぇ。先程清水が言っていましたが、少し遊びに行きたくてですね…日程は後で伝えます。それを受理して下されば…このチケットは貴方のものです。さぁ、どうしますか?」
俺がそう言うと部長は「…ニヤリ」と笑った。
「ふふふ…和泉くん。お主も悪よのぉ…」
「ふふふ…部長ほどではありませんよ…」
「「ふふふ…」」
そして悪巧みしている俺と部長を見て清水が一言…
「なんだコイツら。外の暑さで頭やられたか?」
清水。お前には言われたくないぞ。
そして部長と全てが終わったらチケットを渡す約束をして俺は会社の屋上に来た。
「さてっと…」
俺はスマホを取りだし水瀬さんに電話をかけた。
『はい。もしもし、水瀬です』
「あ、水瀬さんですか?和泉です」
『あ!和泉さん!どうでした?お休み貰えましたか?』
「はい!部長と
『…良かった〜。あ、それなら詳しい日程決めなきゃですね!』
「えぇ。俺もそれが話したくて電話したんですが…今決めちゃっても大丈夫ですかね?」
『はい!大丈夫ですよ!今ちょうど陽菜ちゃんも近くに居ますし』
「良かった。それなら…」
そうして水瀬さんと話し合いちょうど水瀬さん達の休みが始まる2週間後に決まったのだった。
そして俺は電話を終え…仕事へと戻ったのだった。
そして仕事が終わる18時頃、俺と清水は部部長に呼び出された。
「部長、お呼びですか?」
「おぉ、良く来てくれたな。早速本題に入ろう。君達の有給休暇申請、通しておいたぞ」
「「おぉ!」」
「一応これは取引だからな…。書類もちゃんと用意してある。確認してくれ」
俺と清水は部長が手渡してきた有給申請の受理された紙を渡してきた。
俺はそれを確認し、部長に封筒を渡した。
「では、これが例の物です。これで娘さんが喜びますね」
「あぁ。和泉くん、君とはこれからも仲良くやっていきたいものだな…ククク」
「えぇ、こちらこそ…ふふふ」
「やったぁ!休みだぁ!なぁ、真琴!水着買いに行こうぜ!」
…清水。君は少し黙ってようか
まぁ、色々あったがこうして俺と清水は休みをもぎ取ることが出来たのだった。
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