第3話
注文を受けた俺は希海さんにオーダーを告げてる。
数分後に出来たから持っていこうとしたら、希海さんに呼び止められる。
「それ私が持ってくから翔太君は休憩してて」
「え?いやでも……」
「良いから良いから、はいここで待つ」
俺は奥にある休憩スペースに押し入れられる。
希海さんは一体何をするつもりなんだ……?神崎さんと何かあるのかな。
休憩スペースに押し入れられてから更に数分が経ち、すると二人仲良く休憩スペースにやってきた。
「今日から働いてもらうことになったから」
本当に唐突すぎて全く話が見えないんだけど……?
☆
神崎さんがバイトとして働き出してからというもの、お店がいつも以上に賑やかになって忙しかった。
そりゃ看板娘が二人も居るわけだから黙ってるわけにはいかないだろうが、だからって連日忙しいんじゃ身が持たない。
その日の夜、いつもの時間より少しだけ遅めに店を閉めた。
「いやー、ここまで繁盛しちゃうとは予想外」
希海さんの事だから少しは考えてると思ってたけど、全く考えてないとは店長としていかがなものか。
けど今日は思った以上に疲れたせいもあり、突っ込む気力すらなかった。でも一つだけ聞きたい事があった。
「……希海さん、そろそろ教えてください」
「紗奈ちゃんをうちに居れた理由でしょ?そろそろ新しい人手が欲しかったから」
絶対に違う。もしそうなら俺なんて雇わないし、ましてや神崎さんまで働くこともなかったはずだ。
「本当の理由教えてください、さもないと昔――」
「わあああ!?分かった!ちゃんと言うから!」
そこまでして聞かれたくないならなんで俺なんかに話したのかな……?
神崎さんは俺達が一体何を言ってるのか分からず、可愛らしく首を傾げていた。
「紗奈ちゃんを雇った理由は翔太君と一緒が良いって直談判されたの、一度は断ったけどね?」
あの神崎さんが……?全く分からない……。
一度断ったとはいえ、そこまでして俺に執着する理由が分からない。友達だからなのだろうか?
「まあとにかく、これからよろしくね紗奈ちゃん」
「はい!宜しくお願いします!鷹崎君もよろしくね?」
こうして俺達は友達として、バイト仲間として、これからお世話になるのだった。
☆
そして翌日、朝に俺は一人でアパートを出ると凄く眠たそうな顔で門の前で待っている神崎さんの姿があった。
「ふあ~あ……あ、おはよ鷹崎君」
「おはよう神崎さん、凄く眠そうだね?」
「いつもはちょっと遅めだから、じゃあいこっか」
二人で一緒に学校へ向かう。昇降口につくとそれぞれの靴箱を開け、上履きと履き替え、教室に向かう。
教室に着いた俺達だけど、既に何人か来ていて俺が入ると一変して教室内の空気が変わった。
「……鷹崎君?」
神崎さんのおかげで何もなかったかのように時が動き出したけど、俺の気持ちが晴れることがなかった。
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