第15話:感謝
「「は!?付き合った!?」」
「しー!声がでけえよ」
5限目が終わった休み時間。俺は階段に
その結果、こんな展開予想もしていなかったのか2人はめちゃくちゃ大声で驚きの声をあげたのである。
「いや、ちょっと早くね?もっとさ2人で寝落ち通話したり、遊んで、連絡取り合ってからじゃね?まだ遊んで数週間しか経ってないじゃんか」
まあ、たしかに雅人の言う通りだな。付き合うにも段階というものがある。だからその段階というものを少しスキップしすぎだということだろう。
まあ、だが、今俺が幸せなら問題のないことなのだ。
「段階とかそんなめんどくさいものなくても今俺は1番気分がいいからそれでいいんだよ!」
俺は浮かれている。
だって、あんな可愛い完璧彼女が手に入ったから。逆にこれで浮かれない男子がいるのだろうか。
「俺と雅人に感謝しろよー!」
たしかに、天と雅人が
故に、俺がこの2人に感謝する理由は十分すぎた。
「まじでありがとうございます!先輩!」
だから、風を切るように礼をする。
「「よろしい!」」
2人はにこっとスマイルを浮かべる。
本当にこの2人がいなかったら、俺は花音と付き合えていなかった。なんなら雅人が転校してこなければ、天たちと遊ぶことはなかった。
だから本当に雅人と天には感謝している。その2人がいたから俺は花音と付き合えた。今まで退屈だと思っていた普通の学校生活が、『青春』の2文字を付け足した、満足できる学校生活へと変わったのだ。
「んでさ、デートとか行く予定ないの?」
急に雅人が訊く。
デート。俺は今まで付き合ったことはあるが、彼女とデートに出かけたことはない。
たしかに、デートはしたい。いや、めちゃしたい。
「今度誘ってみようかな」
「誘え誘え!」
照れていると、誘うことを推奨してくる雅人。
だけど、中々勇気が出ない。まあここで勇気を出さなければ負けだと思うので、頑張ってみようかな。
「よし!んじゃあ俺今度誘ってみる!」
「おー!いいね!」
「熱くなってきたね!」
2人にひゅーひゅーとからかわれつつ、俺は内心めちゃくちゃ嬉しかった。
自分がこんな青春を謳歌してもいいのか、やっと退屈な学校生活から抜け出せる、という満足感。
――最高に気分がいい。
「だけどデート行く前にまず2人で下校とかもありじゃね?」
天が提案した。
たしかに、それもありだ。というか大ありだ。
俺が1番夢に描いていた恋人との時間、それは2人での学校の登下校だ。
登校は時間が合わないだろうし、方角的に
だけど、下校なら。
下校なら、なんとか上手く行ける気がする。
「よし!今度2人で帰ろって誘ってみる!」
「おう!だけどSNSからじゃなくて直接誘えよ!」
天から念の為の注意を受けた。
んなこと言われなくてもわかってるよ。
「頑張る!」
そう、頑張れ自分。
勇気があれば、彼女なんてすぐに出来るし、勇気があれば、付き合っても良好な関係を築けるはず。
俺は小6の時に付き合った彼女に振られた、というか二股された原因は勇気の欠如だ。
俺が勇気を出さずに、もじもじと相手から来るのを待っていたから、他の男が手を出して、結果、二股されてしまった。
なら今回は勇気さえあれば、上手くいく。
上手くいくはずだ。
俺はそのときそんな安易な考えをしていた。
彼女が欲しすぎる先輩達と無邪気で可愛すぎる後輩達によるラブコメ ysi @ysi0520
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