第13話:メッセージのやり取り
「おっしゃあ!!」
きたこれ!
俺は今めちゃくちゃ喜んでいる。なぜかって?明日、
俺と花音は遊んだ後も順調にメッセージを取り合っている。
学校についての日常的な会話。アニメや漫画などの趣味の会話。
そして、その漫画についての話で、俺はとある人気漫画を花音に貸すということを提案したら、それを承諾してもらえたのだ。
だから明日の昼休み、花音に漫画を貸す。
たかが漫画を貸すことと思うかもしれないが、俺からしたら結構重大なことなのだ。
だって好きな人と2人きりだぞ?このチャンスで絶対に距離を近づけてやるんだ。
俺はベッドの上に寝転びながら、腕を上に伸ばす。そして、照明の光をキャッチするかのように手をパーからグーにする。
「よし!明日が楽しみだ!」
そうテンションが上がっていると同時に花音から返事が来た。俺は誰からメッセージが送られてきたかだけを確認して、内容は後で確認することにする。なぜかって?そりゃ既読が早くついてしまったらキモがられてしまう危険性があるからだ。
好きな人との連絡の取り合いについて、既読をすぐにつけるのはダメだ。
大体相手の返信のスピードのマイナス10分がベストな返信速度と言われている。
花音からルインが来たのは俺が前に送って15分後。
だから俺は5分静かに待たなければならない。
······5分経ったか確認する。
「まだ1分かよ」
······また確認する。
「まだ1分30秒かよ」
······もう1度確認する。
「まだ2分······」
もう5分経っただろうと思い確認する。
「3分······もういい!3分も5分も誤差だ!確認しちゃえ!」
俺は耐えきれず、メッセージを確認した。
花音<明日、
おお!その返信だけで俺の心は跳ねた。
ちなみに、花音が俺のことを陸人と呼ぶのは俺が許可したからである。
『距離感じるの嫌なんで陸人って呼んでいいですか?』と、言われて断ることなんて出来るわけがない。
まあ先輩呼びも好きではあるが、下の名前で呼ばれるのも悪くは無い。
だけど、陸人って呼び捨てで呼ぶのに、きちんと敬語を使ってくるあたりも可愛い。
俺はメッセージを入力する。
陸人<俺も明日、花音に会えるの楽しみ!>
そして、また返事が来るのを待つ。
ただ受験生ということを忘れて、俺は連絡のやり取りに勤しんだのであった。
ぴこん!そして、俺が送信して1分も満たないうちにまた返信が来た。秒単位で返信······これはテンション爆上げだ。
花音<えええ!陸人も楽しみなんて嬉しいです!だけど陸人より私の方が楽しみにしている自信あります(^_^)>
思わず、にやけてしまう。
これは不可抗力だ。男なのだから仕方がない。
すぐ返信が来たので、俺もすぐ返信する。
陸人<いやいや!絶対俺の方が楽しみにしてる自信あり!>
そして、またすぐ返信が来る。
花音<いーや!私の方が楽しみにしてますよ!?>
そして、すぐ返す。
陸人 <いや!俺の方が楽しみ!>
周りから見たらどんなしょうもないやり取りをしているんだ、と思うだろう。
だが、こうゆう時間が今の俺にとってはなにより楽しかった。
結局、どっちが明日出会うことを楽しみにしているかの言い合いをこの日はずっとしていた。
イチャイチャなやり取り、これはもうある意味カップルと呼んではいけないのだろうか。
この子の彼氏になれたなら······。
その彼氏は幸せ者だろう。可愛くて、コミュ力高くて、優しくて、笑顔が素敵で、面白くて、話が続いて、話も盛り上がって······。
やっぱり俺は森上花音を好いている。
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