第3話:彼女
クラスは違うが、休み時間によく話し、結構お互いに好きなタイプだとか彼女が欲しいだとか共通点が多いということを知って、意気投合している。
学校帰りも一緒に帰って、他愛のない会話を繰り広げていて、笑顔が絶えない楽しい日々を送っていた。
だが、雅人はすぐに俺を裏切った。
「俺実は付き合っているんだよね」
は?俺は咳き込む。ある休み時間、他の生徒たちがガヤガヤと騒いでいる中、雅人は急にそう言い出したのだ。
「だれだれ。俺の知ってる人か?」
先にリア充になりやがって!という妬みの気持ちを隠して、雅人に訊く。
恐らくこの時の俺は目が気持ち悪いことになっていただろう。だが雅人はそんな俺の気持ち悪い目を見ることなく、澄まし顔をして自慢げな態度をとる。
「
「は?」
呆然とする。
雅人はこの学校、
「どうゆう経緯で付き合ったんだ······?」
俺は驚きを隠さず率直に訊く。
「まず、俺が転校して色々と不安になっている中、美歩たちのグループが積極的に話しかけてくれたんだ。そっから美歩と仲良く話すようになっていつの間にか好きになっててそのまま勢いで告白した感じかな」
全く話が整理できん······。
美歩のグループに話しかけられて、そっから意気投合?
美歩のグループは2組の一軍と呼ばれている。そんな一軍の中心メンバーである美歩を落とすってすげえな······。
「油断出来ねえな······」
「ん?」
「いやなんでもない」
くっそお。俺は中学に上がってまだ彼女もできてないのに、こいつは転校してすぐ彼女を作りやがったのか。うざいけど、ほんとにすげえな······。
「そいえば今日俺美術の居残りあるけど雅人は居残りある?」
俺は話題を変えた。
もうこの話題をしていると、自分の愚かさを呪いたくなるからだ。
雅人は、
「おう!俺もあるぜ」
と、笑顔を向けながら言ってきたので、俺も笑顔を返して「一緒に残ろうぜ!」ってテンション高めに言った。
「いいぜ!」
雅人がそう言うと『キーンコーンカーンコーン』と、休み時間の終了を伝えるチャイムが鳴った。
俺らはお互いの教室に帰っていく。
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