第9話

魔女のテレーザはエリザベータの前にお茶菓子と紅茶を置いてゆっくりと話し始める。


【テレーザ】

「姫様、これから申し上げることは、私たち魔女にとっても悩ましい問題です、どうかよくお考えになって選択してください」


【エリザベータ】

「分かりました、767条とはいったいどういった取り決めなんでしょうか?」


【テレーザ】

「それは、われわれ人魚として生まれてきた一族を一週間だけ、人間の姿に変えるという取り決め、しかしながら、ここ千年の歴史の中で、何人もの人魚が陸の異性に恋をして、そのうち結ばれたのはただ一人、成功率はきわめて低い魔法です。」


【エリザベータ】

「その魔法が失敗すれば私はどうなってしまうの?やはり死んでしまうの?」


【テレーザ】

「死んでしまうと言うよりは、消えてしまうの方が正しいですね、実質、死刑と大差は無いと思います」


【エリザベータ】

「それで、人として生きていける方法は無いと言うのね?」


【テレーザ】

「一つだけ生きていく方法はあります、ですがその説明をする前に、魔女の間の決まりとなっています、貴方の意思確認と魔法の説明をさせてください」


【エリザベータ】

「わたしの意志ですか?」


【テレーザ】

「はい、エリザベータ姫様の意思が大事になってきます、その前に、どんな魔法なのかも詳しく話したいですし、先に魔法の説明からはじめても良いですか?」


【エリザベータ】

「分かりました、聞きましょう」


まっすぐ見つめるテレーザ、それを見つめ返すエリザベータ。


少しの間緊張に満ちた空気が二人の間を流れていく。


そして、ゆっくりとテレーザの口から魔法の概要が語られる。

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