第160話 イライラなレイ
「やっ!」
攻撃の足止めをされたのが悔しかったのか、レイはすぐさま攻撃再開だとばかりに飛び出す。
ジュゥウッ!
しかしまた光線がくるので、レイは再び足止めにあってしまう。
レイも先程この光線での火傷は結構痛かったらしく、まともに食らいたくないようだ。
しかしそのせいで、飛び出しては足止めを食らうのを繰り返すことになる。
「むぅ!」
攻撃を当てられないという経験がこれまであまりないレイが、地団太を踏んでイライラしている。
――レイは接近戦タイプだしなぁ。
接近しないと攻撃できないレイにとって、あの光線はやっかいかもしれない。
それにしても、あの光線が口から出ているということは、No.1はドラゴン型だということだし、ドラゴンブレスの一種なのだろうか? しかもレイのダメージ具合だと、先程のリュウの抑え気味のブレスよりも数段威力が強いと思われた。
ちなみにアキヒサは、あの光線を食らったら一発で人生終了をしてしまう自信があるので、大人しく後ろに下がって結界の中で待機である。
しかしこのままでは事態が進みそうになく、リュウがどうしたものかと思案していた。
ちなみにリュウは光線への耐性がレイよりも強いらしく、多少当たっても慌てる様子はない。
やはり本体はドラゴンボディなだけはある。
――って、そうだ!
「リュウさん、リュウさんがドラゴンになってプチっと潰すっていうやり方は駄目なのか?」
アキヒサが大声で呼び掛けて手っ取り早い解決方法を提案してみるが、リュウは首を横に振る。
「あんな雑な寄せ集めであれども、我の元となった生体兵器だ。
その程度で処理できるのだったならば、そもそも主は鬼神を造っていない」
なるほどな答えが返ってきて、アキヒサも「そりゃそうか」と頷く。
それにあの状態でも、どんな能力を持っているのか未知なのだ。
下手な刺激をして万が一あの状態から形態変化をして、結果手の付けられないことになることだってあるかもしれない。
「どうしたものか。
鬼神に壊させるにはまず、アレを機能停止させる必要があるか」
そう思案したリュウは、地面に片手をかざす。
ゾゾゾゾ……!
するとリュウの横の地面からなにかがせり上がってきて、同時にNo.1を囲むように腰の高さ程度の白い壁ができた。
「うおっ!?」
突然の超常現象にアキヒサはビビる。
物が突然生えるのは、非常に不気味な光景である。
そしてアイカ村のタワマンもこのようにして生えたのか、と納得である。
衝撃の光景すぎて、レイが慌ててアキヒサに報告しに来るはずである。
リュウが生やした物はどうやら機械のようで、その機械から白い壁に向かってケーブルが伸びている。
なんらかの装置のようだが、それをこの場で即生成してしまうのが、さすが生産系生体兵器といったところか。
No.1はその機械類も光線が薙ぎ払おうとするが、リュウはその光線に耐えられる強度にしたようで、ビクともしない。
「注意しろ」
リュウがアキヒサたちに短く言うと、その機械を起動させた。
ウオォォン!
低い起動音がして白い壁からうっすらと光が発せられ、No.1を覆う。
その光がNo.1に干渉しているようで、光線攻撃がピタリと止んだ。
「おお、いいぞ!」
効果がありそうなのでアキヒサが機械を応援していると、この隙を逃すまいとレイがすかさず飛び出す。
しかし。
バチバチバチ!
突然まるで雷のようにまばゆい光が生じた。
しかもスパーク音がすごくうるさい。
「まぶしっ!?」
あまりのまぶしさに、アキヒサは慌てて手で目を守る。
「……!」
レイもこれにはたまらず攻撃を止めて退避した。
――さっきの注意しろって、コレのことか!?
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