第14話 鬼神スキルと料理スキル
まあそれはともかく。
戦闘の終わったアキヒサらが直面している問題は、「この仕留めた犬たちをどうするか?」だ。
鑑定してみると「キラードッグ」という魔物だと出た。
RPGのお約束としては、素材が売れたりする。
この毛皮なんてまさに売れそうだけど、毛皮の剥ぎ取りなんてできるはずもない。
「面倒だし、放置していると腐って迷惑だろうし。
このまま鞄に入れとこう」
動物を生きたまま入れるのが駄目っぽいのであって、死んでいるならば問題ないだろう。
にしても、このキラードッグたちはどうしてここに集っていたんだろうか?
そんな疑問の答えはすぐに判明した。
キラードッグたちが集っていたあたりに、角の生えたでっかいイノシシが倒れていたのだ。
しかしその身体は半ばで真っ二つになっていて、あちらこちら齧られていて、もう既にほぼ骨の状態である。
なかなか絵面がグロいが、このイノシシになにが起きたのかは、なんとなく察することができる。
「明らかにカマイタチの被害に遭ったんだろうな……」
やはり、被害が出てしまっていたのだ。
このイノシシはきっと、わけのわからないうちに死んでしまったんだろう・
この角イノシシを鑑定してみると、こちらも魔物で「イビルボア」と出た。
ちなみに高級食肉だそうだ。
――そりゃ集るわ。
「すまなかったイビルボア。
きちんと森の皆に最後まで美味しくいただいてもらうんだぞ?」
手を合わせて冥福を祈るアキヒサの隣で、レイが不思議そうにしていたが、真似をしたくなったのか手を合わせている。
それにしても、レイの鬼神スキルとはどんなものなのか?
このアキヒサの疑問に、パネルが反応する。
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鬼神スキル
その名の通り鬼神のごとく強い力を発揮するスキル。
一度戦い始めたら止まらず、敵をせん滅するまで戦い続ける。
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まんま狂戦士っぽいスキルである。
こんなものを三歳児に持たせるなよと言いたいが、今は初期化されたのだから、その前はそこそこ大人だった可能性もあるのか。
――うん、レイには穏やかな性格に育ってもらいたいな。
少なくとも、戦闘狂な性格がスキルとの相性が良すぎてダメだというのは、なんとなくわかる。
アキヒサのそんな決意の後に、キラードッグとの遭遇現場からしばらく歩いたところで、そろそろ夕刻となった。
ちなみに、まだカマイタチの道は途切れていない。
「どこまで行ってしまったんだカマイタチよ?」とアキヒサはちょっと遠い目になりながら、野宿の準備をする。
といっても、テント住宅を出すだけなのだけれども。
まずすることは、そこいらに散らかっている大木の片付けだ。
テント住宅を出せば自然と除去されるのは前回でわかっているけれど、散らかしっぱなしなのは気持ち的に良くない。
それにしても、これで鞄の中にだいぶん大木が溜まった。
――どこかで木材として引き取ってくれるかな?
そんなことを考えながら、テント住宅を出す。
どうやら屋根を触ったら大きくなるらしいことを、またもや家から逃げながら学んだアキヒサである。
テント住宅の敷地内に入って、アキヒサはレイに告げる。
「レイ、この柵の中は自由に動いていいけど、外には出ないでくれな?」
コレを聞いたレイはしばし首を傾げてから、コックリと頷いた。
素直過ぎで、逆に本当にわかっているのか気になる。
でもまだ出会って一日経っていないのだから、コミュニケーションはこれからだ。
焦らずに行こう。
家に入ると、やるべきことは夕食の用意だ。
けれど正直あの味気ないミールブロックとドリンクは、切ない気分になるので避けたい。
それにあの育児書にも「美味しいご飯を食べさせましょう」とあったし、やはり食育は大事ということだろう。
というわけで、台所に調理道具があるかを見に行く。
「あ、鍋とフライパンがあった。包丁はここか。あと食器がいくつか」
これなら、料理っぽいことができるかもしれない。
それに、アキヒサが元から持っていたという「料理」スキルの出番だろう。
ところでこの「料理」ってスキルは、どんなことができるうんだろうか?
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料理スキル
料理の手際が良くなり、『抽出』『攪拌』などの技を取得。
レベルが上がるごとに複数技を同時のこなせるようになる
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「なるほど、これは便利だ」
パネルの内容にアキヒサは感心する。
要するに、家電製品がやってくれることを、スキルがやってくれるということでいいらしい。
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