第83話 クリスマスの対策

 放課後、海斗と松本蓮、鎌倉美月は写真部の部室に居た。

海斗は時計を見た。

「今日、幸乃さん遅いね、美月」

「もー、今日は友達と買い物に行くって、言っていたじやん」

「あっ、そうか、忘れていたよ」

 松本蓮は海斗を見た。

「なあ、海斗、もう時期、期末テストだよ」

「そうだね、期末テストが終わると、あっと言う間に年末だよね。

今年も年越しは、山下公園に行こうよ!」鎌倉美月は答えた。

「海斗、違うよ! その前にクリスマスが有るでしょ」

「そっかー、クリスマスかー」

 松本蓮は本題を切り出した。

「海斗さあ、今日は幸乃さんが居ないから、ちょうど良いけどさ。今年のクリスマスは、どうやって過ごす?」


 海斗は気を回した。

「どうやってって、……えー! 蓮と美月は二人で過ごすって事?」

「そうじゃなくて、私達はいいの! 海斗を心配をしているのよ。未だ誰とも誘われていないの?」

「うん、未だだよ」

「海斗に特定の希望が無ければ、また皆でパーティーをしないか?!」


 海斗はしばらく考えた。葵は置いていくとうるさいし、美咲と梨紗と個別に行うのも気まずいし、幸乃さんに迫られても困るしな。ましてや最近は、桜井さんの動向も心配だよな。

「うん、蓮と美月には悪いけど、一緒に過ごしても良いかな?」

「その方が丸く行くと思うのよね、夏休みのように海斗が倒れたら心配だし。既に周りの女の子は、きっと気にしていると思うよ」

 海斗は決めた

「先手必勝だね、早速、明日から皆に相談するよ!」


 (翌日の教室で)

 海斗は休み時間に、仲間に提案をした。

「ねえ、皆、聞いて欲しい事が有るんだ」

 海斗の仲間は注目をした。

「ちょっと気が早いけど、今年のクリスマスは皆でパーティーをしないか?! ハロウィンみたいにね」松本蓮は調子を合わせた

「いいねー! パーティーしようよ」鎌倉美月も調子を合わせた

「やりましょ、パーティー」林莉子は賛同した

「素敵ね、クリスマスパーティー。私も参加したいわ、美咲も良いでしょ」

「うん、良いいわね。楽しみね」小野梨沙も賛同をした

「わーい! 楽しそうね。じゃあウチでやっても良いよ!」


 楽しそうな話題をしている海斗グループに、遠藤駿が輪に入った。

「ねえ、ねえ、俺も入れてよ!」

すると京野颯太は立ち上がった。

「伏見君! 何で僕達に声を掛けないんだ! 友達だろ?!」

 林莉子はときめいた。

「ねえ、美咲、京野君とクリスマスパーティーよ!」

 中山美咲は苦笑した。橋本七海も加わった

「そうよ! 私達も呼びなさいよ! 伏見君」

 佐藤美優は続いた。

「やっぱり、人数が多くなるから会場は喫茶「純」だね」

 小野梨沙は肩を落とした。海斗は仕切った。

「それじゃクリスマスパーティーは決まりだね。場所はマスターの許可を貰ってから連絡するね」皆は口々に言った

「やった! 楽しみだ」


 海斗グループも京野グループも笑顔になった。中山美咲は目先の心配をした。

「ねえ、喜ぶのは良いけど、その前に期末テストが有るわよ」

 皆は現実に戻された。遠藤駿は心が折れた

「そうだったよねー、あ~あ、期末か!」

 鈴木萌は思い出し応援をした。

「駿! 頑張ろうね。それで楽しいクリスマスにしましょう。中間テストの時みたいに追試にならないでね」


 遠藤駿はうなだれた。

「もー! それを言うなよ。トホホ」橋本七海は提案をした。

「駿、私達も勉強会をやろうよ」

「ホント! 七海と勉強会なら、俄然やるきが出た!」

 京野颯太は場所の提案をした。

「じゃあ、ウチに来るか? 空いている部屋も有るしね」

 橋本七海は喜んだ。あこがれの京野颯太の家にいけるのだ

「はい、行きまーす! 楽しみね」

 佐藤美優も楽しみにした。

「始めて京野邸に行くわね。ドキドキしちゃうわ」


 一方で、小野梨紗も勉強会を提案した。

「じゃあ、私達も勉強会をしようよ。今度は私のウチで!」

 林莉子はときめいた。

「わー、アメリカ人のお母さんに会えるのね。それも楽しみ」

 海斗は楽しみにした。

「久しぶりだな、ヘレンおばさんに会うのは楽しみだ! 蓮も美月も始めてだよね」

 二人は海斗の幼馴染みだけれど、小野梨紗との接点は無かったので首を縦に振った。

「エレンおばさんは日本語が出来ないから、英語で話しをするんだよ!」

 梨紗は眉間にシワを寄せ、首を傾げた。

「だから! エレンおばさんは日本語で喋ると怒るんだ! みんな大丈夫かな?」

皆は渋い顔をした。小野梨紗は口を尖らせて言った。

「ちょっと、ママは英語で喋らなくても、怒らないわよ!」

「冗談だよ! 本当はエレンおばさんは日本語が上手なんだよ。だから安心して!」


 中山美咲はちょっと怒った

「もー、海斗の意地悪! ねえ莉子」

「ホント信じちゃったじゃない! 良かった日本語が出来て」

 松本蓮は思い出した。

「あー、そう言えば、中学の時に不思議だったんだよ。海斗は何で英語の成績が良かったのか、分からなかったもんな」鎌倉美月も思い出した。

「ああ、今思えば、梨紗のお陰だったのね。小学生の低学年に、駅前留学みたいな事を、既にしていたんだもんね。梨紗と話せば英語耳が育つしね」


 小野梨紗は微笑みながら海斗を見た。

「へ~、海斗、私のお陰なのね」

「えー、違うよ、梨紗のお陰じゃないよ!」

皆は不思議な顔をした。梨紗の表情も曇っていった。

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