第70話 酉の市に行こう
海斗達は、いつもの様に机を並べて昼食を始めた。
松本蓮は珍しく、お弁当を隠すように食べていた。小野梨紗は気付いた
「ねえ、蓮、どうして手で隠して食べているの?」
皆は蓮のお弁当に注目をした。松本蓮は言った。
「べ、別に隠してなんか、無いよ」
すると鎌倉美月が赤い顔をした。林莉子は松本蓮のお弁当をのぞき込んだ。
「あーっ! キャー何?! 美月と同じお弁当じゃない」海斗は関心をした。
「へ~、美月が乙女な事をするようになったんだ」
「今日は、たまたま材料が余ったから二つ作ってみたの」
林莉子はにや着いた。
「ねえ、蓮、ど~なの? 女房の作るお弁当は、美味しい?!」
松本蓮は真っ赤になった。
「うん、おいしいよ」
皆は二人を茶化した。
「ヒュー、ヒュー」
松本蓮と鎌倉美月は真っ赤になった。松本蓮は話題を変えようとした。
「あっ、そうだ、そろそろ酉の市だね。今年はどうする?」
中山美咲は思い出した。
「そうね、駅に広告が貼って有ったわね」海斗は提案をした。
「今年は三人だけじゃ無くて、皆で行こうか! どうかな?」
小野梨紗は浮かない顔をした。
「ねえ、酉の市って、鶏の市場? 鶏肉を買いに行くの?」
皆は固まり笑い出した。小野梨紗は恥ずかしい顔をして海斗に聞いた
「そうだね、鶏肉が売っているように感じるかもね。酉の市はね、商売に御利益が有る
「縁起物の小物が沢山飾り付けてられた熊手が売られているのよ。日本文化が好きな梨紗なら、必見の価値が有るわね」
「じゃあ、私も買おうかしら」松本蓮は言った。
「梨紗、あれは商売人が買うものだよ。値段が書いて無くて、お店の人と値踏をして金額を決めるんだ。しかも高額で慣れない人は買いにくいんだよ。金額が決まると、お店の人達が景気付けに大きな声で
「よよよい、よよよい、よよよい、よいって、三三七拍子を何度か繰り返すんだ。
見ていると面白いよ」
「ふ~ん、私も見てみたい! 真冬にお祭りなんて何か不思議ね」
「そうだね、冬のお祭りは珍しいかもね。それに沢山の屋台が出るから楽しいよ。
美咲と莉子は行った事ある?」林莉子は否定した
「私は無いわ、あの辺、夜の街が近くて不安だもの」中山美咲も続いた。
「私もそんなイメージかしら。あそこの最寄り駅は伊勢佐木長者町駅よね」
小野梨紗は思い付いた。
「伊勢佐木長者町って、凄い名前ね。ねえ海斗、億万長者が居たのかしら」
「伊勢佐木町と長者町を合わせた名前なんだよ。長者町と言うけど長者が居たと言う記録は無いらしいよ。あの辺は寿町や不老町とか、おめでたい町名が多いからその内の一つなのかもね」
「ふーん、お金持ちが居た訳じゃないんだ」海斗は提案をした。
「平日だし、時間は夜じゃ無くて放課後に行こうと思うんだ。俺達は昨年も行っているから一緒に行ってみない? 学園からだと関内駅で下りて、歩くようだけど、美咲と莉子はどうかな?」
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